古処 誠二『遮断』(新潮社)
ホームで余生を過ごす老人・真市に届いた無記名の手紙。それは、かつて真市が終戦間際の沖縄で遭遇した事件に深くかかわるものだった。沖縄の人々は、米軍に追いつめられた日本兵の一部に“スパイ行為”を疑われており、そこに多くのむごたらしい悲劇が生まれていた。19歳の真市は、そんな悲劇の中である赤ん坊を託される。その命を守るために安全の地を求め、戦場をひたすらに進んでいった。
森 絵都『風に舞いあがるビニールシート』(文藝春秋)
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に現地採用された里佳は、上司のエドと結婚する。“風に舞いあがるビニールシート”とは最低限の安全も尊厳も守られず、過酷な運命に翻弄され命を失っていく難民たちの状況を指す。エドは世界中の“風に舞いあがるビニールシート”をだれかが引き留めなくてはと、危険な地域に出掛け、フィールドワークを貫く男だった。
激しい不安にさらされる中で1年に10日しか会えないような結婚生活は7年で破綻。その数年後、エドはアフガニスタンで少女を助けようとして命を落とす。その話を聞いた里佳は、ある決意をする。という表題作をはじめ6つの短編を収めた作品集。
■大森 望(おおもり のぞみ)氏のプロフィール
1961年生まれ。翻訳家。
「本の雑誌」「週刊新潮」「小説すばる」などの書評欄を担当。「このミステリーがすごい!」大賞選考委員のほか、各種小説賞の選考にも多くかかわる。個人サイト「大森望SFページ」の日記にも文学賞ネタがたくさん!
著書多数。『ライトノベル☆めった斬り!』(太田出版/三村美衣と共著)、『読むのが怖い!』(ロッキング・オン/北上次郎との共著)、『現代SF1500冊 乱闘編 1975-1995』 『現代SF1500冊 回天編 1996-2005』(太田出版)、『特盛! SF翻訳講座』(研究社 3月12日発売予定)など。
訳書、編訳書に、コニー・ウィリス『犬は勘定に入れません』(早川書房)、シオドア・スタージョン『輝く断片』、『不思議のひと触れ』(河出書房新社《奇想コレクション》)など。
■豊崎 由美(とよざき ゆみ)氏のプロフィール
1961年生まれ。ライター。
「GINZA」「本の雑誌」「TV Bros.」「文藝」などで書評を多数連載。岡野宏文との共著『百年の誤読』(ぴあ)の海外小説版を「ダ・ヴィンチ」で連載中。最近刊は、過激な袋綴じ付録でも話題の『そんなに読んで、どうするの?』(アスペクト)。他の著書に『それ行けトヨザキ!!』(文藝春秋)など。
池袋コミュニティ・カレッジにて書評講座「書評の愉悦 ブックレビュー読み書き講座」を開講中。
■『文学賞メッタ斬り!』(大森望 豊崎由美/PARCO出版)
笑って読める痛快文学賞ガイド。読書サイトエキサイトブックスのコンテンツ「文学賞メッタ斬り!」(2003.6/12)をベースに単行本化した。
小説を心から愛し、膨大な量の本を、多岐のジャンルにわたって読んでいる大森望氏と豊崎由美氏が、日本の主な文学賞について徹底討論。各賞の成立事情や選考過程はもちろん、選考の内幕や賞をめぐる文壇ゴシップやトラブル・けんか・騒動にも斬り込む。歴史や賞金額だけでは判断できない賞の「格」や「権威」についても、歴代受賞作を基にスバリ判定する。
「選評」をさかなに選考委員を品評する「選考委員と選評を斬る!」や、2003年から2004年の主な文学賞受賞作を100点満点で採点した「巻末特別付録 文学賞の値うち」など、ここまでやっていいの?と思える常識やぶりの企画を満載。文学賞を切り口にしたブックガイドとしても重宝。ただいま第2弾を準備中。
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