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徹底討論!〜メッタ斬り!版直木賞レース予想(前編)

2006年1月12日

(芥川賞レース予想はこちら

(アライ ユキコ=フリー編集者)

第134回直木賞選考委員/
阿刀田高・五木寛之・井上ひさし・北方謙三・津本陽・林真理子・平岩弓枝・宮城谷昌光・渡辺淳一

東野圭吾「容疑者Xの献身」

豊崎 東野圭吾危うし! 1月6日公開の記事でも言ったように、土壇場でわたしは「ハルカ・エイティ」支持に回ってしまいました。

大森 僕は、不安材料はかなりあるけど「本命」マークを打ちました。まあ、どっちにしても今回は東野圭吾が焦点でしょう。

豊崎 東野さんは、120回(「秘密」)、122回(「白夜行」)、125回(「片想い」)、129(「手紙」)、131回(「幻夜」)と直木賞を落とされ続けております。

大森 今回で6回目。

豊崎 今回落とされると、芥川賞を落とされ続けた島田雅彦の記録と並ぶというたいへんな不名誉が待ってます(笑)。おまけに、この作品で落とされると、今までよりずっとダメージが重いだろうと予想されるわけで。

大森 キャリア的にも年齢的にも、これが最後のチャンスに近いしね。でも、意外性を核にした、こういう本格ミステリー小説が直木賞を取った例は過去にほとんどない。

豊崎 だから、勝負に出たんじゃないですか。候補に上がるたんびに「人間が描けてない」と言われ続けた東野さんが、天才数学者・石神による美しい「献身」という人間ドラマを入れ、直木賞仕様に作品を仕上げたんですよ。ラストにあんなバカみたいな泣きを入れてまで。わたしは、従来の東野さんなら決してあんな号泣オチはつけなかったと思います。

つまり、これほどの売れっ子作家が節を曲げて、膝を折り、あたかも土下座するかのように「直木賞をください」と表明している、と。そのあられもない思いに対して選考委員の先生がたは、どう応えるんだっていうことですよ。

大森 いや、それは穿ち(うがち)すぎだと思うな。そもそも直木賞を狙うなら、こういう一発ネタの大トリックをフィーチャーしたりはしなかったはず。「容疑者Xの献身」は、直木賞のストライクゾーンを思い切り外れている。

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