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直木賞候補作紹介

東野圭吾 『容疑者Xの献身』(文藝春秋)
 天才的な数学の才能を持つ高校教師・石神は、アパートの隣りに住む女性、靖子に恋をしている。ある日靖子は、訪ねて来た別れた夫をはずみで殺してしまう。それを知った石神は、彼女に協力を申し出る。自分の言う通りに行動すれば、完全なトリックで警察から逃げることができると言ったのだ。

そんな石神の前に現れたのは、大学時代の友人、湯浅。天才的物理学者で、警察に協力して、いくつもの難事件を解決してきた男だ(同じ著者の『探偵ガリレオ』シリーズにも登場)。天才同士の熱い頭脳戦が繰り広げられる。

姫野カオルコ 『ハルカ・エイティ』(文藝春秋)
 大正時代、滋賀県に生まれたハルカが、戦前・戦中・戦後をたくましく生きていく物語。

師範学校を卒業して先生になったハルカは、見合い結婚する。まもなく夫は戦地へと出発、舅姑との3人暮らしが始まる。ハルカは、姑・ミヤの優しい人柄に助けられ、また、持ち前のたくましさで暗い時代を明るく生き抜いていく。敗戦後、夫の事業がうまくいかず、職業婦人の道を歩き出したハルカは、女性としてさらに魅力的に、奔放に開花していく。

少女時代、個性的な友人たちと過ごす日々のなかで触れる当時の風俗、食べ物、遊びに関する細かな描写が印象的。

恩田陸 『蒲公英草紙』(集英社)
 舞台は明治初期の日本、峰子という女性の50年前の回想として語られる物語。峰子は、幼いころ、名家のお嬢様・聡子のお話相手としてお屋敷にあがった。聡子の聡明さ、正しさ、美しさに峰子は魅了され、二人は友情を深めていく。

お屋敷の人々は特殊な能力を持つ一族(同じ著者による『光の帝国』にも登場する常野一族)と関係が深い。彼らとの交流のなかで不思議なエピソードがつむがれていく。 そんなある日、村のある家で子どもたちを集めてお話を聞かせていた聡子と峰子に、災厄が降り掛かる…。

恒川光太郎 『夜市』(角川書店)  夜市は岬の森の中で開かれる。そう“学校蝙蝠”が教えてくれたのだという。夜市には何でも売っている。大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司に誘われて夜市へ行った。裕司は幼いころ、“野球選手の才能”と引き換えに、弟を人さらいに売ってしまったという。裕司は今夜、弟を買い戻しに来たのだ。どうやって? 弟は見つかるのだろうか…。

第15回日本ホラー小説大賞を受賞した幻想的作品。

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