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ゲームの枠をとっぱらいたい

もう長いこと、ゲーム業界の衰退説が唱えられている。家電量販店へ行けばよく分かる。15年くらい前は店頭に並んでいたゲームソフトが、今は、店の4階の隅にあったりする。

危機感を感じてる関係者は多く、最近の任天堂の動向からも、それをなんとかしたいと思っていることがはっきりと読み取れる。「脳トレ」シリーズにも、その思いが垣間見える。ゲームとしてはけっこう変化球だった。しかし、この「お料理ナビ」(そして、最近出た「旅の指差し会話帳」シリーズなど)は、変化球ですらない。完全にゲームの皮を脱ぎ捨てている。

11月に発売予定の次世代機「PS3」を発表したとき、ソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)は「もはやゲーム機ではない」という表現をした。逆に、任天堂は「ゲーム機としての完成度」を前面に出してアピールした。DSもこの路線を共有していると思う。だが実際は、ゲームの皮を脱ぎ捨てた、こういったソフトを出してきている。このへん、けっこう興味深い。

個人的に筆者は、理念先行型でないのなら、ゲーム機用にゲーム以外のエンターテイメントソフトや、お役立ちソフトを出していくのは有意義だと思っている。ハードの可能性も広がるし、めぐりめぐって、ゲームソフトのあり方にもよい影響を与える可能性があると思うからだ。

ゲームのマンネリが言われて久しい。「いわゆるゲーム」にとらわれることから脱却することが、ますます重要になってきている。新しいムーブメントは、意外とこういった方向からじわりと押し寄せてくるのかもしれない。

麻野 一哉(あさの・かずや)

1963年生まれ、兵庫県出身。チュンソフトを経て現在フリーランス。「弟切草」「かまいたちの夜」「街」「トルネコの大冒険」などに関わる。著作に『日本文学ふいんき語り』(麻野一哉・飯田和敏・米光一成/双葉社)、『八百比丘尼の斎』(麻野一哉著/チュンソフト)など。Web本の雑誌にて、鼎談企画『脳を鍛える!ゲーム化会議』を連載。

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