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アニメーションや音楽のクオリティの高さが、その世界に関わりたいと思わせる。そこに、ちょっとだけ関与できる。その距離感が、新しいゲーム感覚を生み出している。これは、新しいゲーム体験でもあるし、新しいアニメーション体験でもある、と感じる。

“世の中では、「スローライフ」ということが言われている。あくせくするばかりでなく、大切な人と過ごす時間や地元の自然といった目の前の幸せを、ゆっくり時間をかけて楽しもう、という考え方だ。「ロコロコ」は、この考え方を取り入れた最初のゲームと言えるのではないか。前回のコラムで、飯田氏が「『エヴァンゲリオン』の世界は、私たちの世界を映す鏡になっている」と語っていた。これは、ゲームの世界全体にも言えること。だとすれば、「スローライフ」の考えを取り入れたゲームは、今後、どんどん増えていくことになるだろう。「ロコロコ」は、その先駆けとなる作品だ。”といった流行分析をnikkeibp.jpの担当の人がしてくれた。

確かに、ハードスペックの向上は、ゲームの表現力の幅を大きく拡げた。ゆったりと眺めるだけでも楽しめるゲームが、これからは、もっとたくさん登場するだろう。

クリア後に変化するプレイ感覚

もうひとつだけ補足。ロコロコは、「ゆったりと眺めるだけでも楽しめるゲーム」であるだけではない。普通に進めていけば、クリアできる。簡単です。だけど、クリアした後には、やり込み要素が満載。

ロコハウスのパーツ集め、ロコハウス編集と鑑賞、ミニゲーム、ピコリ集め、ゴールするロコロコの数など…

特にタイムアタックが熱い。各コースで、ロコロコを20全部ゴールさせると「もくひょうじかん」が表示される。この「もくひょうじかん」を目指すと、ガラッとゲームの感じが変わる。切磋琢磨してタイムを競うレースゲームのようになる。コースを取り、シビアなタイミングを狙い、ロコロコを集めずに身軽なままで、最短コースを見つけて、突き進む。

のんびりと楽しんでいたゲームが、テクニックと攻略が必要なゲームらしいゲームに変わる。同じゲームなのに、プレイヤーの気持ちが変わることでプレイ感覚が変わる。プレイヤーとゲームのインタラクションやジレンマの距離感が変わってくる。

甘っちょろいゲームだと思ってるゲームマニアの人も、ぜひ遊んでみてください。

米光 一成(よねみつ・かずなり)

1964年生まれ・広島県出身。コンパイル、スティングを経て現在フリーランス。「ぷよぷよ」「トレジャーハンターG」「バロック」「キングオブワンズ」などを企画監督脚本。ゲームデザイナー、ライターなど幅広く活動中。池袋コミュティカレッジで「発想力トレーニング講座」講師をつとめる。立命館大学教授。著作に『日本文学ふいんき語り』(麻野一哉・飯田和敏・米光一成/双葉社)、『デジタルの夢でメシを食うためにボクらは!』(米光一成編著/マイクロマガジン社)など。「こどものもうそう」ブログを更新中。web本の雑誌にて、鼎談企画「脳を鍛える!ゲーム化会議」連載。「ユリイカ」9月号(特集「理想の教科書」)に、「対決する学生のための国語教科書試案」を寄稿してます。

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