破壊・再構築から様式へと移行したロキシー・ミュージックの成熟ぶり
常日頃、アメリカン・ロック好きを公言してはばからない大竹ですが、別にブリティッシュ・ロックを嫌っているわけではありません。当コラムでも書きましたが、以前はグラム・ロッカーのような恰好もしていたわけですし。ただ、グラム・ロック出身のアーティストの中で長きにわたって興味を持ち続けられたのが、デイヴィッド・ボウイとロキシー・ミュージック(本当はロクシー・ミュージックと書きたいのですが、あまりにこの表記が一般化しているので今回は特例)くらいしかいなかった、というのもまた事実。彼らを除けば、明らかに時代のアダ花的要素が強かったジャンルなので、それもやむなきことかな、と。
で、今回は初心に帰る意味あいも込めて、久しぶりにロキシー・ミュージックのアルバムを聞き返してみました。これが、古さを感じさせず、けっこう良くて…。
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まずは1972年のファースト「ロキシー・ミュージック」から。これはジャケット(内ジャケのメンバー写真も)だけで“キマリ”の一枚ですね。冒頭の「リ・メイク/リ・モデル」をリアル・タイムで聞いたとき、ブライアン・フェリーの不安定なヌメり声ヴォーカル、発信音のようなイーノのシンセ、唐突に吹き鳴らされるアンディ・マッケイのサックス、勝手気ままにリードをとるフィル・マンザネラのギターが作り出す“乱調の美”とも言うべきアンサンブルに、居心地の悪さを覚えながらも好奇心が先に立って、イッパツKOでした。既存のロック・フォームを崩さないのはグレアム・シンプスンのベースとポール・トンプスンのドラムだけ、と言ってもいいくらいで、他の曲もすべて、どっかヘン。そこが、やみつきに…。プロデュースはキング・クリムズンの作詞家として知られるピート・シンフィールドでした。
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73年のセカンド「フォー・ユア・プレジャー」もジャケが秀逸。LPではA面にあたる前半5曲をクリス・トーマスが、B面にあたる後半3曲をジョン・アンソニーがプロデュースしているが、それぞれコンセプトが異なる。グラム・ロックの次代に位置するポップなニュー・サウンドをトーマスが、イーノのシンセやテープ・オペレイションを駆使した前衛(プログレ)的なサウンドをアンソニーが担った、とも言えようか。全体的には前作を遥かに凌ぐ完成度の高さで、これは傑作だと思う。シンプスンに代わり、ベーシストとしてジョン・ポーターがゲスト扱いで参加。
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ここで、バンドの一方の“顔”だったイーノが、あっさり脱退してしまう。元カーヴド・エアーのエディ・ジョブスン(キーボード、ヴァイオリン)を補充し、ベーシストもジョン・ガスタフスンに替わったロキシーは、同じ73年にサード「ストランディッド」を発表。トーマスが単独でプロデュースにあたり、それまでバンドの個性だった不自然な奇妙さや混沌から抜け出す方向性を与えている。ずいぶんすっきり、まとまりの良い印象。破壊・再構築から様式へ。安定した歌唱/演奏でサウンド・メイキングも緻密だが、微妙な緊張感が漂い、以後、これが新たな個性となっていく。
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