このページの本文へ
ここから本文です

リードの詞作にも変化が現れた。それまでは“都市の語り部”的なストーリーテラーとしての持ち味全開だったが、ここでは自身の内面の弱さをさらけ出したような繊細な面も見せている。このあたり、VUフリークからの評判は芳しくないようだが、「キャンディ・セッズ」や「ペイル・ブルー・アイズ」が収録されているせいもあり、ぼくは意外と好きなアルバムだ。のちのリードのソロ活動に通じるような部分もすでに感じ取れるし。

なお、ここまでの3枚は、ディスクユニオンが<紙ジャケ復刻プロジェクト2005>第2弾として、8月20日に限定発売を予定しています。第1弾のビーチ・ボーイズのときは通販分が予約で埋まってしまい、ご迷惑をおかけしましたが、今回はまだ大丈夫。他店では手に入らない紙ジャケCD、しかも3枚まとめてご予約/お買上げの方にはオリジナル特典として紙ジャケ収納“むけるバナナBOX”を先着で差し上げますので、お早めにどうぞ。

このあと、69年中盤にVUは4作目のアルバムの録音を完了するが、移籍絡みの話が所属レコード会社MGMとの間でこじれ、これは陽の目を見ないことに。結局、彼らはアトランティック・レコード傘下のコティリオンに移籍し、新たにレコーディングした4作目「ローデッド」を70年9月に発表する。長女の出産のためタッカーは録音に加わらず、ダグの弟ビリー・ユールらがパーカッションを担当したが、このアルバムにはさらに複雑な裏事情が隠されていた。

「ローデッド~スペシャル・ヴァージョン」
» ショップへ

それは、マネジャーとの確執からかリード排除の動きが目立つようになったことだ。彼の重要作品「スウィート・ジェーン」や「ロックン・ロール」の作者クレディットがグループ名義になっていたり、マスター・テープからのミックスがリードに無断で変更されたり…。この“いじめ”に近い状態に嫌気がさしたのか、「ローデッド」発売直前の70年8月23日に行われたマクシズ・カンサス・シティでのライヴを最後に、リードまでもがグループを脱退してしまう。こうしてイニシアティヴがダグ・ユールの手に移った観の強い「ローデッド」だが、彼のポップで開放的な側面が目立つものの、やはりリードが参加しているだけに、出来自体は悪くない。今は別テイクや未発表ヴァージョンを大幅に加えたCD2枚組の「スペシャル・ヴァージョン」が流通しているので、そちらをお薦めします。

真の意味でのヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、リードが脱退するまでに上記4枚のスタジオ・アルバムしか残さなかった。「1969~ヴェルヴェット・アンダーグラウンド・ライヴ」や“Live At Max's Kansas City”などのライヴ盤、発掘音源を網羅した編集盤、そしてオリジナル・メンバーによる93年のリユニオン・コンサートの模様を収めた“Live MCMXC III”CD/DVDなどVU関連のアイテムは数多いが、まずはこの4枚から入るのがスジってもんでしょう。バナナはそっとむいてね。

大竹 直樹

1976年から株式会社ニューミュージック・マガジン→ミュージック・マガジン勤務。月刊「ミュージック・マガジン」編集長、季刊「ノイズ」編集長、制作部長などを歴任し、2001年に退社。現在は、株式会社ディスクユニオンでロック&ポップ担当マーチャンダイザー。音楽は単なる嗜好品ではなく文化だ、という考えは絶対に譲らず、ロック半可通との会話では情け容赦ない頑固者でもある。ふだんは明るく柔和な酒好きで、元気当たり前!

ここから下は、過去記事一覧などです。画面先頭に戻る バックナンバー一覧へ戻る ホームページへ戻る

記事検索 オプション

SPECIAL

日経BP社の書籍購入や雑誌の定期購読は、便利な日経BP書店で。オンラインで24時間承っています。

ご案内 nikkei BPnetでは、Internet Explorer 6以降、 Safari 2以降、Opera 8以降、Netscape 8.1以降またはHTML 4.01/CSS level 1, 2をサポートしたWebブラウザでの閲覧をお勧めしております。このメッセージが表示されているサポート外のブラウザをご利用の方も、できる限り本文を読めるように配慮していますが、表示される画面デザインや動作が異なったり、画面が乱れたりする場合があります。あらかじめご了承ください。

本文へ戻る