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“Nick Of Time”
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キャピトル・レコーズに移籍し、89年にリリースした“Nick Of Time”で、レイットに大きな転機が訪れる。これがグラミー賞の最優秀アルバムに選ばれ、同時にポップ・ヴォーカル、ロック・ヴォーカルの女性部門でも最優秀賞を受賞したことによって、一躍レイットは時の人に。アーシーさも湛えたルーツ・ロック寄りのサウンドが、これほどまで支持を受け評価されるとは、ぼくも驚きました。自作曲もあり、スライドを弾く場面も増えたが、これは“何もしないところが長所”とも言えそうなドン・ウォズのプロデュース手腕によるところも大きかっただろう。

“Luck Of The Draw”
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同路線の91年作“Luck Of The Draw”もグラミー受賞アルバム。ブルースをルーツにした米南部系ロック・サウンドに照準は絞られた印象で、ファンキーな演奏とも相俟って、聞き心地はとてもいい。ヴォーカルには自然なソウル風味も滲み出ている。これもプロデュースはドン・ウォズで、バンド・メンバーもほぼ固定され、このパートナーシップはもう少し続くことに。

“Road Tested”
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94年の“Longing In Their Hearts”を挟んで95年に発売された“Road Tested”は、レイットにとって初の2枚組ライヴ・アルバム。やはりキャピトル移籍後のナンバーが多くチョイスされているが、ワーナー・ブラザーズ時代の曲もちらほら、初出となるトーキング・ヘッズ‘Burning Down The House’のカヴァーまで披露する。ブルース・ホーンズビー、ルース・ブラウン、チャールズ・ブラウン、キム・ウィルスン、ブライアン・アダムズ、ジャクスン・ブラウンがゲストで登場。ここではCDを挙げておくが、これはDVD版もあるので、そちらもお薦めだ。ちなみに、ぼくは動くレイットの姿を楽しんでます。

ここまでが第2期のピークかな。このあと、レイットはミッチェル・フルーム&チャド・ブレイクとの共同プロデュースで98年の“Fundamental”、2002年の“Silver Lining”と意匠を凝らしたサウンドに挑んできたが、まだ第3期のピークには至っていない。でも、今年55歳を迎える才媛が、こうして緩やかに走り続けていることが、ぼくには何よりも嬉しい。

大竹 直樹

1976年から株式会社ニューミュージック・マガジン→ミュージック・マガジン勤務。月刊「ミュージック・マガジン」編集長、季刊「ノイズ」編集長、制作部長などを歴任し、2001年に退社。現在は、株式会社ディスクユニオンでロック&ポップ担当マーチャンダイザー。音楽は単なる嗜好品ではなく文化だ、という考えは絶対に譲らず、ロック半可通との会話では情け容赦ない頑固者でもある。ふだんは明るく柔和な酒好きで、元気当たり前!

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