ヴォーカルもギターもピカイチ、親しみやすい才媛ボニー・レイット
ふだんCDを聞く時間は限られているが、女性シンガー(・ソングライター)のアルバムをプレイヤーにセットすることが多い。といっても、最近の若手にはあまり興味が持てず、一時代を築いた人、現役を退いた人、円熟味を増しながら新たな領域にチャレンジする人など、ヴェテランと呼ばれるアーティスト中心である。
行きつけのバーでもよくかかるキャロル・キングやジョニ・ミッチェルはもちろん、一時期のリンダ・ロンスタットやカーリー・サイモン、このところの活発な活動が嬉しいエミルー・ハリスやルシンダ・ウィリアムズなど、好きな女性シンガーは数多いが、ある時期、ぼくが「英語で歌う女性シンガーの中でいちばん好き」と公言してはばからなかったのが、この9月に3年ぶりの新作「ソウルズ・アライク」をリリースするボニー・レイットだ。
日本ではツウ好みの地味な存在に映るレイットだが、海の向こうでは何度もグラミー賞を獲っているし、全米チャート・ナンバー・ワンのアルバムもあり、評価は非常に高い。なのに、現在、国内盤CDで入手可能なのはオリジナル・アルバム1枚とベスト・アルバムのみ。あまりに悲しい有様なので、今回は素晴らしき女性シンガー/スライド・ギタリストとしての彼女にスポットを当てることにします。
すでに10数枚のアルバムを出しているレイットだが、まずお薦めしたいのはワーナー・ブラザーズ時代前半のアルバム群。ぼくはセカンド・アルバムを最初に買って彼女のトリコになったが、ここでは順を追って紹介する。
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1971年のデビュー・アルバム“Bonnie Raitt”は、ある意味、渋さの極致。収録曲の大半がブルース・ナンバーのカヴァーで、ジュニア・ウェルズ(ブルース・ハープ)やA・C・リード(サックス)が加わった演奏もアコースティック・ブルースの轍を踏み外さない。それでも女性らしい柔らかさを持ったレイットのスライドは非凡な面を見せるし、力みとは無縁のヴォーカルを聞いていると、なんか時間がふんわりと流れていくよう。大幅にアレンジを変えたバッファロー・スプリングフィールドの‘Bluebird’、ポール・シーベルの‘Any Day Woman’も、いいアクセントになっている。
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72年のセカンド「ギヴ・イット・アップ」は、オリジナル・アルバムでは唯一、日本盤CDが生き残っている。以前、当コラムの「【不定期通信】苦節○年のレコード漁り(2)」で触れたので重複は避けるが、ウッドストック(地名)の精鋭が勢揃いした素晴らしい出来。このアルバムを彼女の最高傑作に挙げる人も多い。ぼくも異論なし、です。
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