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デジタルコンテンツを絶滅危惧品種にするな

2005年8月25日

ネットを通じての音楽配信、ビデオ配信が本格化してきた。アップルのiTunes Music Store(以下iTMS)の日本上陸以来、価格破壊は起こるわ、配信曲数の競争が始まるわ、無料配信を売り物にするサイトまで登場してくるなど、動きは目まぐるしいほどだ。

CDショップやビデオレンタルショップに出かける時間がない忙しい人でも、思い立ったときに即座に購入して楽しめる。これこそ、長らく待ち望んでいたこと。素晴らしい時代到来と毎晩祝杯を上げる毎日だ。しかし、その汎用性の無さたるや、ため息の出るものが多く、このままいくとこれらのデジタルコンテンツの多くは絶滅危惧品種に追い込まれるのではという不安にさいなまれる。

iPod用、ネットワークウォークマン用と別々

8月4日スタートしたiTMSでは開店から100万曲の品揃えを誇るという華々しい出だしだが、協力を得られていないレコード会社もまだ多い。たとえば、最有力レコード会社ソニー・ミュージックエンタテインメントが入っていないのは痛い。ジャズ大好きな私としては、これまで買いそびれていたマイルス(・デイビス)の何曲かを手に入れたいとおもっても日本のiTMSではものの役に立たない。仕方なく、ソニー・ミュージックの楽曲が買えるMoraからお目当ての曲を購入すると、iPodには流し込めない。この曲を持ち出そうとすると、OpenMG対応機器、たとえばネットワークウォークマンなどの携帯音楽再生機器が必要だ。お気に入りの楽曲を外出先に持ち出したいと思えば、2台以上の携帯機器を持って出ろって?

しかも、Moraからの再生はWinodwsマシンでしかできない。わが家のリビングルームにはAV機器とともにパソコンも設置してあるが、インテリア・デザインポリシーを尊重してMac miniを採用している。この状況の中ではマイルスを聴くには、わざわざCDを買ってくるか、ネットワークウォークマンをステレオに接続するか。残念ながら、Windowsマシンを追加するのはスペース的にもインテリア・デザインポリシー的にも無理がある。

ちなみにiTMSから購入した音楽はWindowsマシンでも再生できる。iTunesはWindows版も用意されているからだ。したがって、リビングにWindowsマシンしか置いていない人でも、問題は起きない。この点はアップルの度量の広さに軍配が上がる。しかし、その曲はiPod以外では持ち出せない。この点は引き分け。

かくして、私の身の回りには再生機器ごとに重複した音源や、再生機器に「限定個別対応」した音源が散在している。なんとも、非効率、不経済なデジタルコンテンツのありようだろう。

どんどんすたれていく“標準規格”

こうした状態を楽しめる酔狂なユーザーならこんな話よくあることさと、笑い話で終わるかもしれない。しかし、今後、一般の大多数の人たちがネット経由で音楽やビデオを購入する時代になったら、笑い話では済まなくなる。

1年分のお小遣いを貯めてiPodを買った中学生が、大好きな曲をダウンロードしたけど、通学の電車で聴くことはできませんでしたなどといったことが頻発する。「注意書きを良く読まなかった中学生が悪い」「アップルがDRM(デジタル著作権管理)を外にライセンスしないのが悪い」などという反論が即座に飛んでくるのは承知の上でこれは書いている。そんなことがまかり通る世の中でいいのか?

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