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こんなにある、デジタル放送に二の足を踏ませる理由

2005年6月3日

(林 伸夫=日経BP社編集委員室 編集委員)

テレビ放送のデジタル移行が徐々に進んでいる。メリットは高精細な映像(ハイビジョン)をノイズなしに視聴できること、放送に合わせて送られてくるデータ放送により重層的な情報が入手可能、双方向性のサービスも利用可能である点などだ。しかし、送られてきているせっかくの高画質を十分に楽しめる道具立てが揃っていないことなどから、見たいと思う人がなかなか増えてこない。

約2割の人が「地上デジタル放送は見たくない」

gooリサーチとjapan.internet.comが5月11日に発表した定期レポート「地上デジタルテレビ放送に関する調査」の第14回結果はちょっとショックなデータが出てきた。地上デジタル放送を「見たくない」とする人が過去最高の19.8%に上昇したのだ。(gooリサーチの発表資料

同調査は2004年4月より定期的に行われている。初回調査では「見たくない」と答えた人は14.7%だった。以来14回調査の今回に至るまで、この数字はじわじわと上がり続けついに19.8%に達した。

調査は、東京23区、名古屋市、大阪市に住む、10代から50代以上の男女合わせて1000人を対象に実施。一応、地上デジタル放送の電波が届いている地域の人の答えだ。放送が始まって1年半がたち、それがどんなものか、感覚的に分かり始めている頃だ。実際のその画面を見たり、使っている人の評判を聞いたりして、「なあ〜〜んだ、この程度のものなら、高い金を出してまで買うことはないな」と一般消費者は思い始めているということのようだ。

起死回生が狙える期待の星と思われていた地上デジタル放送対応機器が、思惑に反して急速に失速、多くのAV機器メーカーは収益悪化に苦しんでいる。なぜか。

欲しいと思わせる道具立てが少なすぎるからだ。せっかくバラ色のコンテンツを提供できる枠組みができたのに、視聴スタイルを異常と思えるほど厳しく制限したために、思っていたほど便利で楽しめる機器に仕上がっていないのが評判を落としている。その結果が、上記の調査結果などにも表れている。

理由の一つに、ハイビジョン映像を直接録画蓄積できる機器の商品化がなかなか進んでいないことが上げられる。さらに、直接録画できる装置でも、ハードディスクなどにイッパイになった番組を「そのままの状態で」保管しておく手だてが極めて限られる、といった不便さ、もどかしさが、市場の広がりを阻害している。記録型のDVDドライブを搭載したハードディスクレコーダーでは、番組をDVDに保管して蓄積することもできるが、画質は従来のスタンダード映像(SD)、同時放送されているデジタルデータ放送は記録されない。それでは、従来の地上アナログ放送を楽しむのと大差ない、という気持ちにさせられるからだろう。

先に上げたgooリサーチの調査結果にはこんなデータもある。地デジ放送をすでに視聴している人の満足度は、「満足/どちらかといえば満足」と答えた人が50.6%、「不満/どちらかといえば不満/どちらともいえない」、つまり満足していないが49.4%だった。

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