お盆に“鐘”のインスピレーション
作曲家が曲を作るきっかけのひとつとして、外部からの刺激が挙げられる。見える物、聞こえる物、そうした存在にインスピレーションを得て曲を創り、世の中に送り出す。
作曲家に刺激を与えるものは、それこそ数多い。水のせせらぎ、風にそよぐ木立、鳥のさえずり、あるいは都会の喧噪だったりもする。そうした中で、古今東西、多くの作曲家にインスピレーションを与えた音がある。そのひとつが「鐘の音」だ。
ちょうどお盆も近いことだし(ちょっとこだわり過ぎか?)、今回はお題を「鐘の音楽」してみようと思う。
ヴァイオリンでもピアノでも
クラシックにそれほど馴染みのない方でも「あ、これなら聴いたことがあるよ」という曲のひとつに、19世紀のピアノ音楽の巨人---実はピアノ音楽だけでなく、あらゆる音楽ジャンルに作品を残したばかりでなく、常に時代の最先端を行った前衛音楽家でもある---フランツ・リスト(1811〜1886)の「ラ・カンパネラ」というピアノの名曲がある。「全編これ鐘」といったピアノ曲だ。仮にこの曲をまったく知らない人に「この音楽、何を表現していると思う?」と聞いたら、100人中95人は「鐘」と答えることだろう。それほど見事に鐘の音を鍵盤で表現している。
ちなみに「ラ・カンパネラ」とは、「小さな鐘」の意味である。
この曲は“ウルトラ名曲”だけあって、名演がたくさんある。恐ろしい技巧を持ちながらも大変に美しいピアノの粒立ちを聴くなら「ホルヘ・ボレ」の演奏が、まずお薦め。円熟した“大人の魅力”である。
若々しく瑞々しい演奏をお好みなら「ユンディ・リ」。この演奏からは、青春の飛翔が聞こえる。若手演奏家にありがちな「弾き飛ばし」をせず、じっくり作品を深堀しているところに好感が持てる。
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