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同じ「標準品」でもアップルがやるとこんなに違う

2006年1月13日

(林 伸夫=日経BP社編集委員室 編集委員)

基調講演では、さまざまな製品が一挙に発表された。(写真:三井公一=サスラウ)

1月10日、CPUをIntel製の最新チップ「Core Duo」に入れ替えた最初のMac、そしてMacユーザーのデジタルライフを豊かに彩ってくれるソフトウエア群がお披露目となった。累計4200万台に上るiPodを売り、有卦(うけ)に入っているAppleがよって立つ基盤固めをさらに推し進めようと本気を出してきた。

登場したもののうち、大物は即日出荷のiMacと2月出荷のMacBook Pro、そしてiLife '06、iWork '06。来日した製品担当のキーマンたちに、開発のココロを聞いた。

インタビューに応じたのはRichard Kerrisテクニカルマーケティング担当ディレクター、Linda Fragerワールドワイドプロダクトマーケティング/ポータブル担当シニアプロダクトマネジャー、Jai Chulaniワールドワイドプロダクトマーケティング/コンシューマーデスクトップ担当シニアプロダクトマネジャーの3人。それぞれソフトウエア製品全般、MacBook、iMacを担当している。

最大の話題は何と言ってもIntelの最新チップ「Core Duo」を搭載したMacの登場だ。ソフトウエアを動かす最も中心部分のハードウエアをすげ替え、何事も無かったかのようにユーザーにそっと手渡す。こんな神業をやり遂げた企業はApple以外にはない。もし、iMacユーザーのデスクに、ある日新しいiMacが置かれていても、「今日はなんだか快適に動くなあ」としか感じさせないかも知れない。外見のデザインが従来製品と同じ、しかも中で動いているソフトが昨日までとまったく変わらぬ動作をしていれば、気が付かないのも当然だ。

小規模なユーザーベースしか持たないコンピュータシステムならいったんビジネスを休止して、総入れ替えを行うといったことも可能だ。実際UNIXベースのシステムではこのような取り組みが行われることがある。しかし、何千万人ものユーザーが日常的に使っている道具としてのコンピューターを「中身が入れ替わったこと」など全く感じさせずに移行させるのは、走る車を止めずにエンジンを入れ替えるようなもの。まさに究極の離れ業だ。

2度目の「走りながらのエンジンすげ替え」

Macはソフトウエア史上、前代未聞の大きなトランジションを過去にも経験している。

まず第一の大きなトランジションは68000CPUからPowerPCへの移行だ。ソフトの機能向上、あるいは、盛り込みたい新機能を実現させるにはCPUが追いついていかなかったため、AppleはMotorolaとIBMの3社の共同開発でRISCベースのプロセッサを開発、CPUを乗せ替えた。1994年のことだ。今度も基本的には同様のことが起こった。

Appleは写真やビデオを編集するソフト群をたくさん持っている上、HD映像(日本ではハイビジョン映像と呼ばれている)を効率良く編集するプロ向けのFinal Cut Proなど、他社にはない強みをたくさん有している。しかし、それらのソフトが扱うデータは日に日に大きくなる一方。ポータブルタイプのPowerBookなどでは十分な性能を確保できないというジレンマを抱えていた。これを克服するには消費電力が少なく、しかも性能が数倍伸ばせる全く新しいCPUが必要だった。この要求にぴったりだったのが一つのシリコン基板の上にCPUを2つ詰め込んだ形の「Intel Core Duo」だったというわけだ。

next: 移行しても互換性高く、高速

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