「ビデオ」が教えてくれたこと iTunes Music Store(2)
(林 伸夫=日経BP社編集委員室 編集委員)
ついにiPodは音楽プレイヤーからビデオプレイヤーに脱皮した。iTunes Music Store(iTMS)は10月12日から、ビデオコーナーが新規に追加され、ミュージックビデオが購入できるようになった。10月17日の週から発売開始となる新型iPodをつなげば、購入したビデオを外に持ち出すこともできる。音楽配信の新境地を切り開くアップルはついにビデオのオンライン配信ビジネスにも踏み込んで来た。
米iTunes Music Store新装開店時点で用意されたビデオは約2000本。人気アーティストの音楽ビデオが揃っている他、米三大ネットのABCでオンエア中の人気テレビ番組「Desperate Housewives」および「Lost」の新旧エピソードなどが入手可能となった。この配信はディズニー社との契約で可能となったもので、上記以外にディズニーチャンネルで最も人気の高い番組が1.99ドルで手に入る。
「Desperate Housewives」は、たまたま日本でも9月からNHK/BS2で毎週水曜夜10時からオンエアが始まったのでご存知の方も多いだろう。邦題はそのまんま「デスパレートな妻たち」。私生活の裏側や表向きは知られたくない本音までも公開してしまう開けっ広げな演出が視聴者をくすぐり、日本でも大いに人気が高まっている。NHKが放送するにはちょっとセクシーさが度を越しているのではという声も聞え、人気はさらに高まりそうだ。
テレビ放送の翌日から入手可能
こんな番組が放送日の翌日から入手可能になる。これは画期的だ。通信回線の速度、PCやiPodの記憶容量などの関係で、配信されるコンテンツは現在のところ320×240画素のサイズだが、パソコンやハンドヘルドデバイスで持ち出すにはちょうどいい大きさだ。これが過去のコンテンツも含めてダウンロード可能になるなら、放送を見逃してしまった人などにとっては、とても嬉しいサービスになるかもしれない。
発表会でアップルのスティーブ・ジョブズCEO(最高経営責任者)は「音楽配信ビジネスで新機軸を切り開いたが、これと同じことを映像の世界で実現する第一歩」と協調した。今回アップルと協力体制を組んだウォルトディズニー社のロバート・アイガーCEOは「史上初めて、人気テレビ番組が放映の翌日にオンライン購入できるようになった」とiPod向けビデオ配信が始まったことを高く評価する。
コンテンツの解像度はまだまだ低いが、こうした仕組みがユーザーに受け入れられるようになれば、すぐにDVD品質、HD(ハイビジョン映像品質)のコンテンツが流されるようになる。このような仕組みを活用することで、ビジネスチャンスが広がると考えるコンテンツホルダーが多くなっている。せっかく収益の上がるビジネスモデルを指をくわえて見ているほど世界は悠長ではない。アイガー氏の頭の中には、ネット経由でフルクオリティの映画配信をするビジネスモデルが既に描き上がっていることだろう。
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