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目に見えない勾配と攻め難さの謎
緑のフレームに包まれた1番ホールに立つと、正面に男体山が待ち構えていた。右へ日光連山を配し、左に大きく開けた視界が解放感を招く。山に向かうフェアウェイが鮮やかな遠近法をなぞり、遠い打球音がひとつそこに呑みこまれたとき、風景のどこかでカッコウが鳴いた。 自然が息をし、そこに日光があった。 「フラットなコースに見えますが、2%の勾配で、高低差は55メートルありますね」と支配人の若林梅夫さんが手をかざした。 その手の先の2番ホールの位置に大谷川の第2発電所があり、インのはずれ12番ホールの位置に第3発電所があるのだという。17番と18番は隣り合わせのほぼ同じ距離にもかかわらず、セカンドで持つクラブは3番手は変えなければいけないと笑った。バンカーの数は全体で33、池はひとつも掘られていない。そんなハザードの少ないコースにもかかわらず、日光カンツリーは攻め難いコースと唸るゴルファーは多い。分かったようで分からない謎めいたコース、そんな話を耳にすることがある。 「なあに、そのうち赤松が伸びて立派なハザードになるよ」 若林さんの脇を、キャディさんが元気な声をかけて出て行った。なるほど、ブルドーザーは入れないのだろうと合点したのは、電動や乗用カート全盛のいまでは珍しい手引き車である。手引き車はすでに需要がなく、生産は中止されていると聞いている。将来に備えて最近、電動カートに切り替えた小山カントリークラブから手引き車を譲ってもらったと若林さんは言った。すなわち、将来においてもカート道を作る予定はないということだ。
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