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Human Inside 中嶋常幸
これからのゴルフ人生
文●松本正志
写真●阿部 了

2005/11/29

自分にとってのシニアツアーとレギュラーツアー


世界トップレベルのショットメーカーが嵌ったワナ

 「今年の全英シニアオープンが開催されたコースはターンベリー。あの86年,グレッグ・ノーマンと最終日最終組を戦ったコースだけに,昔を思い出させるものがあったね。あのときは最終日の1番をダボでスタートして,すべてが狂ったわけなんだけど,今回も同じ1番ホールは4日間,ボギー,パー,ダボ,ダボだったんだ。距離も短いし,何てことないホールなんだけど,妙に取り憑かれているとしか思えない(笑)。プレー中,ああ,僕は何年たったらこのホールのダボを卒業できるんだろう,なんて考えてたよ。

 ただ,道具の進化もあって,シニアといえどもティショットで300ヤードという世界になっているし,シニアだからといって,レギュラーと比べてティインググラウンドを前に出すわけでもない。それに,去年と今年の全米シニアPGAでも感じたけど,上位に来るのは,あの頃自分と一緒にプレーしていた”昔の名前“ばかりなんだよね。今年の全英シニアに勝ったローレン・ロバーツにしろ,全米シニアPGAに勝ったジェイ・ハースにしろ。みんなそう。だからといって,もう自分はシニアの選手なんだから,という気持ちにはならないんだよ。

 意識の上では,あくまでレギュラーツアーのプレーヤーだと思ってはいる。若い選手と一緒に回りながら,自分はシニア選手だからな……なんて考えるわけがないでしょ。でも,シニアの試合に出るときに,僕はバリバリのレギュラーのプレーヤーなんだ,とも思わないんだ。何ていうか,どちらにも特別な感覚がないっていうか,ひとりのゴルファーとして,トーナメントを境目なく楽しみたいっていえばいいのかな。今は,そんな気持ちでプレーしている。

以前は確かに,そうは思えなかった。だって,トム・ワトソンがチャンピオンズツアーに出るっていう話を聞いたときに(編集部注*ワトソンは99年9月にシニア・デビュー。2試合目のバンク・ワン・チャンピオンシップでシニア初V),実はトムに手紙を書いた。あなたはまだやれる,頼むからシニアになんて出ないでレギュラーでプレーを続けてくれって。彼は”力を認めてくれてありがとう“って返事をくれたけどね。

 当時を振り返ると,微妙な時期だったんだろうね。95年のフジサンケイ以来,さっぱり勝てなくなっていたし,ワトソンをはじめ当時のビッグ・ネームが大挙参入して,アメリカのシニアツアーがすごく盛り上がってきた頃だった。やっぱり,プロゴルファーとしては,優勝の喜びがあってプレーの楽しさがあるわけじゃない。その意味では自分にも”励みが欲しい“という気持ちはあったし,もし,あのまま日本のレギュラーツアーでの”居場所“がなくなってしまうのなら,アメリカのシニアツアーもいいかな,なんて漠然と頭に描いてもいたんだよね。ただ,レギュラーツアーでやれることを,やり残したままにはしたくないという思いも強かったんだ」

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