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ワインが美味しい、と生まれて初めて思ったのは、早稲田大学に入学した直後だった。1966年だから、いまから40年近く前のことである。田舎から出てきて生まれて初めて飲んだワインを、こんなに美味しい酒があるんだ、というのが正直な印象だった。
確か、あのときは、代々木上原の寮にいた頃だったか。ホームパーティでチーズフォンデュと一緒に白ワインを飲んだ記憶がある。でも、そのときのワインの名前も味も、いまではとっくに忘れてしまい、美味しかったという思い出しか残っていない。 ワインの味わいや香りなどの違いが少し解るようになったのは、かなりあとのことである。ようやくその違いなどが理解できるようになると、また別の愉しみが増える。僕にとって、ワインは香りが4割で味わいが5割、そして残りの1割が余韻だと思っている。それを含めてワインの味わいになるのだと思っている。 たとえば、ル・モンラッシュは、開けた瞬間に部屋中にバラの香りがして、それだけで至福の想いに耽ってしまった記憶がある。 調べてみると、ワイン好きなプロゴルファーがいっぱいいるようだ。オーストラリアの白鮫、グレッグ・ノーマンは、ワイン好きが高じて「グレッグ・ノーマン・エステート」というワイナリーまで所有してしまったという。彼のフルボディの赤ワインは、まだ飲んだことがないが、きっとノーマンみたいにパワフルなのかも知れない。 なかでも「マクラーレン ヴェールシラーズ リザーヴ」は評価が高いという。また「クナワラ・カベルネ・メルロ」などのラベルには、あの鮫のマークやサインがついている。 ほかにも、アーニー・エルスが、友人のワイナリーオーナーであるジャン・エンゲルブレヒトと一緒にプロデュースした「エンゲルブレヒト エルス ヴィンヤーズ」という南アフリカのワインもある。 ジャンボ尾崎も、ワインに凝っていて、それはそれは僕たちの手が届かないほどのヴィンテージ、幻のワインを集めている。優勝したら、とても高価なワインを飲むことが、自分に対するご褒美だと言っていた。 ジャンボ尾崎は、僕と同じ世代で、まだシニアツアーには行かずにレギュラーツアーで頑張っているところが、いかにも僕たち世代の代表のような気がする。 ジャンボがワインに凝り始めたのは、かれこれ20年近く前になるという。マスターズや全米オープンに挑戦している頃に、レストランで飲んだワインの味わいに興味を持ったのがきっかけだった。するとジャンボは、すぐにワインに関する本を買いあさって、徹底的に勉強したという。 そういうひたむきな、オタク的熱心さは、ワインに限ったことではない。ゴルフでも追求するあまり「練習すればするほど、ますます悩みが増える」というほどだから、ワインに関する知識と、味わいを体に覚えこませる能力は、凄いのだと思う。 この間、内藤雄士コーチと一緒にラウンドしながらレッスンしていただいた。そろそろ年齢のことも考えて、賢いシニアゴルフを目指したいと思っていた矢先だったので、とても参考になった。それにしても、内藤コーチのワンポイントは、すぐにショットの内容に現れる。これが一流プロを教えるコーチの真骨頂なのだろう。かといって、難しいことは言わない。僕たちレベルでも出来うることを適切に指導してくれて、見違えるようなショットが出た。 この祝杯をしようと、帰りに銀座の「煙事(えんじ)」という美味しい燻製を出してくれるお店に出かけた。ここは居心地もよく、ワインと一緒に供される、なんとも言えない風味を醸し出す黒豚ベーコンや、牛タンはたまらなく美味しい。ゴルファーにとっても、ワインは、どんな時にどんな場所で、誰と一緒に味わうかが大切なことだと思う。 最近、優勝が遠ざかっているから、きっと尾崎家には、いっぱいお宝が眠っていることだろうと、余計な心配をしてしまう。是非、優勝して美味しいワインを味わって欲しい。
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