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初めてメジャートーナメントを見たのは、1992年の全米オープンだった。場所は、ぺブルビーチ。ゴルファー憧れのコースである。 ![]() サンフランシスコからレンタカーでモントレー半島まで向かう。その道すがら少し寄り道をしてスタンフォード大学を通り過ぎ、180キロほどのドライブをしてモントレー半島についた。私たちが泊まったホテルは、メディア指定の宿で、モントレーの町の先に位置するフィッシャーマンワーフだった。ちょうど半島を1周すると17マイルあることから名付けられた17マイルドライブに入って行くとぺブルビーチ、そしてスパイグラスヒル、スパニッシュベイ、ポピーヒルス、そしてサイプレスポイントとゴルフコースがある。 有名なカーメルという小さな町は、フィッシャーマンワーフとは反対側の太平洋岸にある。驚いたのは、少し歪んだ碁盤の目のような町の道路には信号がなく、自然を中心に町が形成されていると感じたことだ。きっとこの半島で生きている主人公は、森の木々であり、草花であり、野鳥、リス、鹿という動植物なのだ。道路は、大きな木をやたら伐採して強引に道を敷くのでなく、むしろ大木に遠慮がちに迂回している。 それでも乱開発の勢いが強くなって、ついには世界的に有名なハリウッドの俳優クリント・イーストウッドが、市長に立候補して、自然保護を訴えて当選した。そのイーストウッドが個人の資産を投じて土地を買占め、そこの自然を保護している。 トーナメント取材中の1週間、私たちは美味しいシーフードとワインを堪能した思い出がある。 このモントレーの近くには、カレラとモーガンのワイナリーがある。カレラは、ピノ・ノアールが有名である。このカレラが誕生したことで、カリフォルニアのピノ・ノアールの評価は、大きく変わったといわれている。いまではブルゴーニュ・ワインを凌ぐ人気とも言われている。 モーガンは、シャルドネが有名だ。そしてシーフード料理にもよく合う。リーズナブルなプライスだし、港町のレストランで、暮れゆく海の景色を眺めながら楽しんだことが、いまでも忘れられない。ワインは、誰と、どんな風景で、どんな食事で、どんな時間を過ごしたかで、心に残る味わいがある。 そのモーガンは、モントレー半島に行く途中の町、サリナスにある。そう、『エデンの東』の舞台になった町である。ジェームス・ディーンが主演した映画。原作は、ジョン・スタインベックだが、ここは彼の故郷でもある。彼は、しばしばカーメルを訪れている。『怒りの葡萄』でピューリツァー賞を獲り、その後『エデンの東』が生まれた。後に、従軍記者も経験し、その記事をまとめた『かつて戦争があった』という短編集は、秀逸だと思っている。 そんなスタインベックが、こよなく愛したカーメルの町は、まさにアメリカの理想の町だなと思った。自然と共存し、他人を信用し、人生を楽しむ……そんなサンクチュアリが、ひとつ存在してもいい。
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