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「リタイアメント・プラン」に見るツアー運営と還元
全ての事業が年金プール金に…
1980年代からの構想が、巨額年金として選手に還元

 プロダクション設立当時の副社長で、ゴルフ20/20にも関わっているラフィン・ベックウイズ氏は「当時のコミッショナーであるディーン・ビーマンのアイデアで、事業展開と年金制度のグランドプランをつくり、ひとつひとつ実行してきたのが基礎となっている。当初は、テレビ放映権料やスポンサー料、各選手の賞金から拠出金などを運用し、分配するというものだったが、それ以外の事業が拡大して、膨大な年金を選手たちが、活躍年数、その成績という実績で分配されるようになった」と語っている。

 収入源は、このほかにもまだまだあるが、つまるところPGAツアーのブランド力をフルに活用して拡大してきたビジネス展開が、タイガー・ウッズをはじめとするスター選手たちの活躍で、より米ツアーの活性化とともに、急成長してきたのである。

 さて、年金制度だが、実は複雑なシステムがある。その選手がどれだけ活躍したかで金額が大きく変わる。基本的には、予選通過を果たしたトーナメント数が、年金支給額の基礎となる。年間に、何試合予選通過したか、そして賞金獲得額がいくらになったか、である。

 この仕組みは、ツアー選手だけに配布されるハンドブックに細かく記載されている。それによると、1試合予選通過すれば約3500ドルが各選手の年金用資金としてプールされる。最低5年間、最低15試合がこの基準で、さらに予選通過をすれば、プールされる金額が倍の7000ドルになる。もちろん優勝すればボーナス金がプールされ、在籍年数によっても数字は変化する。

 「予選通過し活躍するということは、選手個人のみならず、ツアー全体にとっても、その選手が貢献しているということになります。さらに優勝による活躍度で、それだけPGAツアー、ゴルフファンにたいして影響、貢献をしたわけですから、そのぶん支給額も増えるということになります。ですから、選手は巨額の賞金や年金制度のために、競争意識がさらに高くなる。これにより、多くの選手がトーナメントに参加する意識を持つことにもつながるわけです」と担当のサラ・モースさん。

 単純計算で、ある選手が年間30試合出場し、20試合予選通過したとすると、15試合までのプール金3500ドルの合計が、5万2500ドル。さらに15試合以上は倍額になるから、7000ドル×5試合で3万5000ドルとなり、トータル8万7500ドルが年金資金としてプールされる。10年間、同じペースの成績ならば、選手ひとりのプール金が、87万5000ドル。そのプール金と数々のビジネスでの利益をさらに資産運用してPGAツアーのビジネス展開が行われているわけだ。

 「例えば、ワールドゴルフビレッジやPGAツアープロダクションなどの場合、セント・オーガスティンの町に対して、50年間の税金免除を受けています。町の活性化につながり、ワールドゴルフビレッジにやってくる人は、年間30万人います。ゴルフ殿堂の表彰式など、世界中に知れ渡る効果は絶大ですからね」(前述・ベックウイズ氏)

 それらで得た資金をさらに運用して、選手たちのリタイアメント・プランとして還元しているわけだ。

 丸山茂樹選手は「20億ぐらいの年金が貰える計算になるのではないか」と洩らしていた。彼の場合は、優勝が3回あり、賞金ランキングも30位、40位以内などの経験があるので、在籍年数とボーナスなどを加算すると、そういう計算になるのだろう。

 米ゴルフ誌によれば、タイガー・ウッズが受け取る年金は「200億円はいくだろう」と書いてある。

 ただし、高額の年金を支払う制度に対して、社会貢献や地域貢献なども忘れていない。チャリティ活動など率先して行っているほか、ツアー活性化を図るための顧客管理やサービス、あるいは業種ごとにオフィシャルパートナーシップを結び、現在は45社以上と契約している。

 「顧客のデータベースは、200万人ほどに及びます」とPGAツアー広報は言う。ツアーを支え、拡大させ、管理して、相乗効果を図るマーケティング。これらは、単にプロゴルフツアーというスポーツ団体の集まり、イベントという興行運営、選手管理主体の運営ではなく、巨大企業としての運営、経営である。

 ブランド力をより強化し、魅力を与え、そこに携わる選手たちに年金として還元していく……日本ツアーが、今後、真剣に取り組むべきテーマである。


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