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USGGAのプライド メジャーはなぜ、選手たちを虐めぬくのか?<前編>
1打をただの1ストロークで終わらせないために

 では、細分化とは、どういうことなのか。「全米オープンのコース設定によるグリーンは固くて止まらない」といわれる。「止まらない上にグリーン周りを刈り込んで、転がり落ちるように造っている。おまけにラフは深いし、フェアウェイは狭い」とも。だから選手を虐めて喜んでいるのではないか−−という結論に到達するようだ。

 実際に、砲台になったグリーンへのショットが、ほんのわずか短かったためにコロコロとフェアウェイまで戻ってきてしまったり、そこからアプローチをしたらまた上り切らずに元の位置まで戻り、さらに、さらに……と結局オンさせるのに同じところから4回もかかり「こんなのやってられるか!」と腹を立ててプレーを切り上げ、クラブハウスに帰ってしまった選手も過去にはいた。

USPGAのプライド メジャーはなぜ、選手たちを虐めぬくのか? USPGAのプライド メジャーはなぜ、選手たちを虐めぬくのか?
競技委員としてトーナメントを見守る
川田太三氏
ドナルド・ロス設計の名コース、
パインハーストNO.2

アメリカ屈指の難コースとしても知られている。
前回の開催は99年で、
ペイン・スチュワートが優勝 


 ここではっきりさせておきたい。USGAは、ただ闇雲にサディスティックなコース設定にしているのではない。今回のパインハーストNO.2コースにも、しっかりした基準が設けられていた。「止まらない」と選手たちを苦しめたグリーンだが、「フェアウェイから正確にヒットすれば3バウンド目にはスピンがかかる」という基準があった。フェアウェイから打っても止まらないのは、グリーンのせいではなく正確にヒットできなかった選手のミスなのだ。

 フェアウェイをちょっとはずれて、ファーストカットのポジションから打ったら…これも止まりにくい。だったら、ワンクッションさせるとか、止めやすいフェードボールや、もっと極端なカット打ちを駆使しなさい。ただではグリーンに止めさせないよと、より高い技術を求めている。状況によっては、敢えてグリーンサイドのバンカーに打ち込み、そこからパーセーブを狙った方が確率の高いケースだってある。そんな柔軟なイマジネーションをもまた求めている。ラフに打ち込んだら……これは、グリーンを狙ってもけっして止まらないだろう。確実にフェアウェイに打ち出すか、リスクを承知で強引に狙うか。勇気ある決断を迫られる。

 ここにも基準がある。ファーストカットをはずしたら0.25ストローク、ラフに打ち込んだら0.5ストローク分ペナライズされるように設定されているのだ。単純にファーストカットからだと4回に1回はボギーになり、ラフからだとボギー(あるいはそれ以上)になる確率は5割ということになる。グリーンから転がり落ちてもアプローチショットをうまく寄せられるか、距離のあるパットを沈めれば結果はパー(仮に4としておく)で、スコアカードに書き込まれる数字は「4」となるが、その内容はファーストカットからのショットがあれば「4.25」だし、ラフからのショットがあれば「4.5」だったことになる。

 これをフェアウェイから打っても、ラフからのショットでも止まるようなグリーン設定にしたのでは、ゴルフというゲームがただの飛ばし合いになりかねない。


次回9/28更新につづく

かわた たいぞう

1944年2月20日生まれ。米国オハイオ州立大を経て立教大学卒業。
日本ゴルフ協会理事。マスターズ、全米オープン、全米シニアオープン、全英オープンなど世界のメジャー大会の公式競技委員を務める。コース設計家としても知られている。
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