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オーディオに凝ったことがある。 もう20年以上も前のことだけれど、いい音が聴きたくなってどんなオーディオがいいのか、音に詳しい知人たちに聞き漁った。そのうちの一人が「君はどんな音が聴きたいの?」と僕に訊いた。 はて、と僕は自問した。どんな音なのだろう。スピーカーやアンプなどで、それほど音が違うというのは、機械的な容量などで決まるだけかと思ったら、そんなに浅い話ではなかった。 それから僕の音探しが始まった。 いまではかなり少なくなったけれど、当時はまだ試聴できるオーディオルームを備えて店舗があって、時間を作っては、自分がいちばん聴きたい音探しをしはじめた。そのうちにふと気がついた。 自分の聴きたい音の尺度が定まっていない僕にとって必要なのは、最も素直な音を出してくれるオーディオだと思った。 探しあてたのは、タンノイの今では巨大な「エディンバラ」というスピーカーとアキュフェーズのプリアンプとメインアンプ、そしてCDプレーヤーだった。
フリーハンドで図面を書くような味のあるJBLとマッキントッシュの組み合わせとは逆に、この組み合わせは、むしろミリ単位で精密に描くような音だと思う。オーケストラでは、第一バイオリンがどこにいて、第二バイオリンがどこで……とまるで立体的にその位置関係が見えてくるような感覚で音を聴くことができる。 僕は、マニアではないけれど、こだわり人間なのかも知れない。知らない間にCDも500枚ぐらい集まって、音を堪能するようになった。 不思議なことに、自分の音の尺度が安定すると、外で音を聴いたときに、これは悪い音だと解るようになったことだ。 人間の耳で聴こえる音の領域は、20Hzから20,000Hzぐらいまでだという。また年齢とともに8000Hzぐらいに落ちるらしい。けれども、聴こえる音の範囲だけで、音楽を聴いた場合と、人間の聴こえない範囲を含めた音も含めて聴いた場合とでは、脳の反応が大きく違う。 能楽のときに使う笛は、人間が聴こえる音(波長の範囲)をはるかに越えて、聴こえない音(波長)もかなり多く奏でているし、舞台の下に大きな壷をいくつも並べて、水をしたためている奈落は、聴こえない幽玄の音の領域を担当しているから、荘厳な気分になれる。 音は、人間にとって脳の働きを大きく左右するのだ。そんな話を、内藤雄士プロコーチと車の中で話していたら「僕はゴルフコースにいくときに、車で音楽を聴きながらいくんですよ」と言って、スイッチを入れた。 それは、カーナビとオーディオ、テレビなどが一体化している最新のHDD うーん。欲しい……と僕のモノフェチの本能が騒いだ。
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