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One Voice
第3回 奇策が窮策であり愚策だった、あの一打
文●三田村昌鳳
写真●宮本卓

2005/11/18

 マスターズが開かれるオーガスタナショナルゴルフクラブで、何度かプレーする機会があった。それは世界から集まるメディアのために試合後の月曜日、3組ほど枠を与えられている。いまは抽選で、過去7年間以上プレーしていないメディアに限定されているけれど、昔は、金曜日の朝に申し込み用紙に記入して、先着順でプレーできた。

 そのチャンスで初めてプレーしたのは、もう30年近く前のことである。プレーは、惨たんたるもので、スコアも確か110近く叩いた記憶がある。まずどうしていいのか解らなかったのが、グリーン上だった。日本では経験したことのないアンジュレーションとスピードに翻弄された。3パット続出で、4パットもいくつかあったはずである。今では日本でもグリーンが速くなってきているから、そのギャップは多少違うけれど、当時、日本人選手たちが「ガラスのグリーン」と表現していたのは、スピードやグリーンの質の差異が極端にあったからだと思う。

 ガラスのグリーンという表現は、当時ジャンボ尾崎が宿舎で、絨毯の上にガムテープを貼って、その上でパッティング練習をしていた、といえば速度が想像できると思う。

 最終日、優勝争いが展開されたときと同じピンポジション。これだけでも興奮する。

 それにオーガスタである。当然のことだけれど、美しさとオーガスタという響きに心は動揺する。

 12番ホール、155ヤード、パー3……。僕は、このティグラウンドに立って、あ然とした。どうしていいのか解らない自分がいた。見るとグリーン面が、筆で左右に「一」という数字を書いたほどしか見えない。手前には小さい池がある。でも、池はしっかりと見えているのにグリーン面が、紛れもなく「一」である。



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