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スコットランドの北の最果てに、ロイヤル・ドーノックというゴルフコースがある。ネス湖のあるインバネスよりもまだ北にあって、7月中旬にもなると、日没は夜中の11時頃だ。 僕にとって、このドーノックでの出来事は、その後のゴルフ観を大きく変えるものだった。あるホールで一緒に回っていたカメラマンが第1打を左に引っ掛けて、その第2打をユーティリティの2番アイアンで狙った。僕は、その様子をフェアウェイで見ていた。海から太陽が落ちようとしていて、シルエットに近いシーンだった。彼が放ったボールは絶妙の球筋で、グリーンに向かっていった。そしてグリーンの手前にバウンドした。僕は、そのときピンに絡みつくイメージが浮かんできた。夕暮れどきで、その先の行方は定かではなかった。彼は、意気揚々と歩いていく。僕は、ボールをグリーン左に曲げた。第2打地点から見ると、フェアウェイの高さとグリーンの高さはほぼ同じだった。そこから転がせば、なんとかなる、という気持ちで歩いていくと、なんとグリーンの左サイドは地獄のような底に見える地形だった。たぶん、普通なら地獄とは思わないだろうけれど、僕の心情はまさに落胆だった。その地点からグリーン面までは、砲台でまったく見えない。 ![]() ところで、ピンに絡んだはずのカメラマンのボールが見当たらない。グリーン手前でバウンドしたボールのキックは、なんと僕と同じ地獄の底に落ちていた。落胆よりも憔悴に近い表情だった。 そのとき僕は、ふと思った。 あー、今日のゴルフの神様は、僕たちにテーマを与えてくれたんだ。ナイスショットばかりの人生なんてつまらない。キックの行方次第で、運と不運はいつでも豹変する。そう思ったときに「少し気軽に愉しんでみなさい」と啓示を頂いた気分になった。気が楽になった。 |
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