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ひとつには、こんな状況を子供ながらにまのあたりに見てしまったからだと思う。 ある日私は、ラウンドを終えてクラブハウスの玄関の前で、親父の車を待っていた。するとイガグリ頭でキャディ・バッグを持ってポツンと立っている私を見て、ある知らない人が「オイ、お前。ちょっと何時か見て来い!」と言ったのである。私は、キョトンとしながらも、言われるままにハウスの中にある時計を見に走って行った。そして戻って来た。時間をその人に告げているときに、親父が車で玄関までやって来た。するとどうだろう。その人は、掌をかえすようにコロっと態度を変えて、親父にペコペコ頭を下げ、揚句の果てには私にまで「坊ちゃん、坊ちゃん」を連発するのである。 私は、このことがあってから世間に対する見方が大きく変わったのである。 ![]() 何ということだろう。人間は、こうもその人、そしてその人の地位や何かで変わるものだろうか。まざまざと見せつけられたのである。“人間”という不可解なものを。ちょうど小学校6年から中学というと、子供は思春期を迎える。だから余計に私の中にガーンとノック・アウト・パンチをあびせられたのだった。 そう言えば……とハッと気がついたのである。そう言えば、それまでにも似たようなことがあった。いや、はっきり覚えていない。「何かおかしいな」と子供ながらに感じていた。そんな霞のかかったことが、くっきりと輪郭をあらわしたのであった。そして、このことは何をするにも、まっ先に頭の中に飛び出して来たものだった。 人間不信に陥らざるを得なかったのである。 次回10月28日更新につづく |
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