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歴史のしがらみ
雲仙観光ホテルが誕生したのは昭和10年(1921年)だが、その創設者の橋本喜造が編んだ『雲仙大観』にこうある。 「日没後になると冷気を催し、夜間は夜具を要するほどである。雲仙の夏季は東京の10月初旬の気候と略同一であって、理想的の静養地であり」 海抜660メートルの雲仙町は、真夏でも摂氏30度を越えることはなかった。思い出すだけで汗がにじみ出る香港やマニラの夏……。あの高温多湿は、まして乾燥地帯で育った西洋人には耐え難い。大正12年の雲仙岳への登山者数を見ると、外国人576人のうちイギリス人が271人と最も多く登録されている。大半は上海、香港、マニラの商人とその家族であった。朝霧に包まれる爽やかな雲仙はまさに理想郷。憩いのリゾート、快適な楽園、東洋のニースとして、大陸までその名はとどろいていた。 ![]() がっしりとした格調高いエントランスから一歩中に足を踏み入れると、 まるでタイムスリップしたようなエキゾチックな空間が広がる。 |
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