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パーク&ライドの目的は渋滞解消から環境対策へ

「パーク&ライド」を一言で説明すると、駅やバス停など公共交通機関の乗り場までは自分のクルマで出向き、その周辺の駐車場にクルマを停めて(パーク)、そこから公共交通に乗って(ライド)、目的地まで移動する方法を指す。その起源は意外に古く、モータリゼーションが本格化した1950年代に米国とドイツで同時発生的に誕生したとされる。当初、パーク&ライドの目的は、市街地に周辺部からクルマが通勤や通学で入ってくることで生じる渋滞を緩和させることだったり、多数のクルマが比較的狭い市街地を走行することで歩行者が危険にさらされるのを守ることだったりしたが、1970年代のオイルショック以降は「省エネルギー」という目的も新たに加わった。

わが国では1960年半ばから、高度経済成長を背景に自家用車が爆発的に普及し、米国やドイツと同じく急速にモータリゼーション化が進む。しかし、急増する交通需要に対して道路や駐車場の整備は後手に回り、東京をはじめとする都市部において慢性的な渋滞と駐車場不足に悩まされる事態が増えていった。

そのような状況下、日本でもパーク&ライド導入の気運が高まっていく。交通政策の一環として、地方自治体で盛んに導入されるようになるのは1990年代半ばのことだ。それから現在まで10年間以上にわたり、各地で数多くの社会実験、実証実験が行われてきたが、実際に定着したパーク&ライドの事例(成功事例)となると、残念ながらあまり多くない。最近では、一昨年に開催された愛知万博(『愛・地球博』)で導入されて話題を集めたが、期待ほどの成果が挙がらなかったとする向きもあり、「日本にパーク&ライドが根づいた」とは言い難い。

しかし、都市部が抱える様々な問題に対して、パーク&ライドが有効であることも事実である。例えば、土日・祝日などで都心部の商業施設(デパートなど)の前に駐車場待ちのクルマが長い列をつくり、周辺一体が交通渋滞に陥るケースは結構見られる光景だ。もし、そのうちの何割かがバスなどの公共交通を利用すれば、渋滞はある程度緩和されるだろう。ちなみに、国土交通省の調査によると、渋滞による損失時間は国民一人当たり年間約30時間にのぼるという。

また、地方都市ではモータリゼーションがバスなどの公共交通網衰退の一因とされている。パーク&ライドによって公共交通の利用頻度が高まれば、そういった事態にも歯止めをかけられるかもしれない。クルマを持たない、あるいは事情によって持てない人々にとって、公共交通は移動のほとんど唯一の手段だけに、都市計画を考えるうえで、この点は軽視できるものではない。

環境負荷の低減という意味でも、パーク&ライドの果たす役割は大きい。公共交通への乗り換えを促して個人個人のクルマの利用を減らすことができれば、二酸化炭素の排出量も自ずと減る。また交通渋滞によって、クルマのエンジンがアイドリング状態になることでガソリンが消費されていくのは、誰がみてもムダだ。パーク&ライドを上手に導入することで交通渋滞が減れば(緩和されれば)、この問題も解消できる。

こうしたことから、最近ではパーク&ライドの導入や推進の目的に、「環境負荷軽減」や「エコロジー対策の一環として」、あるいは「地球温暖化につながるアイドリングを減らしましょう」などを掲げる自治体も増えてきた。京都議定書を批准したわが国は、二酸化炭素をはじめとする地球温暖化ガスの排出量を2012年までに6%削減しなければならない。もはや待ったなしの状況にある今こそ、パーク&ライドの導入と活用を再考すべきときといえよう。

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