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第4回
今さら聞けない疑問にズバリ答える 環境Q&A

2007年1月12日

企業の環境担当者が受け持つ範囲は、廃棄物から地球温暖化、化学物質まで幅広い。環境法や海外の環境規制も次々に変わる。今回「チーム・マイナス6%」に関連してエネルギー・地球温暖化にテーマを的を絞る形で、今さら聞けない10の質問と分かりやすい答えを厳選した。目からウロコの回答も少なくないので、環境担当の初心者からベテランまで、ぜひ役に立ててほしい。

文/斎藤正一、吉岡 陽(日経エコロジー)、土屋晴子、イラスト/サカモトキョーコ

 

Question

京都議定書の約束を
守れなかったらどうなるのか?

Answer

規定上、超過分の1.3倍が次の削減目標に上積みされるが、ポスト京都の枠組みが変われば、“ご破算”になる可能性も。道義的責任の側面が強い。

京都議定書で日本が約束した温暖化ガス削減目標を、国内の削減努力だけで達成することは容易ではない。

CDM(クリーン開発メカニズム)を利用し、途上国での削減分を排出権として確保する努力が始まっているが、量的に頼れるほどはない。

経済規模の縮小で余剰排出枠を大量に持つロシアなどから、国際排出権取引の仕組みを使って、排出権を購入すればお金で解決できる可能性はある。しかし、実質的な削減努力を伴っていないロシアに税金が流れることに対し、国民の理解が得られるかどうかは微妙な問題だ。

京都議定書では、目標を順守できなかった場合、超過した排出量の1.3倍分が第2約束期間の排出枠から差し引かれる、と規定している。

●京都議定書の目標を達成しても温暖化ガスは増加する

京都議定書は発展途上国に削減目標を課しておらず、順守されても温暖化ガスは増えるなど、その有効性を疑問視する声が多い。

つまり、2008~12年の第1約束期間で削減できなかった分に加え、ペナルティーとして30%を余計に次の約束期間に削減しなければならない。だが、第2約束期間で京都議定書の枠組みを継続し国別に削減目標を課すことになるかどうかは、現状では全く見えないのが実情だ。

一部で主張されているように産業別でCO2排出の原単位目標を設定し、CDMで省エネ技術の移転を促すような仕組みになれば、国別の削減目標はなくなり、不順守だった場合の現在の規定は意味がなくなる。

また、仮に京都議定書の枠組みが続き、第2約束期間にペナルティーが課せられたとして、再び削減目標が守れなかったらどうなるのかについては、まだ議論すらされていない。

京都議定書は、気候変動枠組条約に基づいて採択された、国ごとに削減目標を設けた国際協約。これに近い国際協約には、オゾン層の破壊を抑制するためにフロン類などオゾン層破壊物質の全廃を目指したモントリオール議定書がある。ただ、同議定書は企業に対する規制で、しかもほぼ順守されている。

京都議定書のように、国に義務を課した国際協約が守られなかった場合、その順守性をどう担保するかは全く前例がないのだ。産業構造審議会で環境政策に関する座長を務める茅陽一東京大学名誉教授は、「京都議定書のような国際協約を守れなかったとしても、経済制裁を受けるわけはないし、その順守性は突き詰めれば道義的な責任になる」とした上で、「(第1約束期間の目標を順守できそうにない日本は)恥の上塗りにならないように新たな枠組みでの国際協調を模索すべき」と主張する。

結局、日本が京都議定書を守るか否かは、「京都の名を冠した国際協約を、日本が自ら達成できないようでは、国際社会から非難される」という道義的、倫理的な側面が強い。

とはいえ、第1約束期間を守れない場合、ポスト京都を巡る議論で日本政府の発言力は低下するだろう。日本企業にとっても、環境先進国ニッポンを目指すなか、国際的にイメージ悪化は免れない。海外で環境ビジネスを展開する上で、少なからず影響が出てくる可能性もある。

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