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温暖化は防止できる? 「海外で温暖化防止?」(前編)

2008年1月31日

CO2削減の方法のひとつに、CDMがあります。CDMは、Clean Development Mechanismの略で、先進国が新提供し、途上国でCO2防止策を行って、削減できた場合、その削減量を、資金を出した先進国の削減量と見なすという考え方で、京都議定書の中に盛り込まれています。

日本のような先進国がCO2排出削減を行うためには、このCDMのために資金提供する方法と、もうひとつ、「ホットエア」を買うという方法があります。こちらは、主にロシアや東欧諸国が持っている「排出削減目標に対する余剰分」を金を出して買うという方法です。

先進国は、現代文明の生活を支えるために大量のCO2を排出しているわけですが、その排出を自国内で減らすことが困難な場合、CDMとホットエア購入というふたつの方法のいずれかなら、自分のところで削減したと見なされるというやり方です。

この「自前でやらずに海外から<買ってくる>」というやり方は、環境問題に関心がある人でもなかなか理解しにくいしくみなので、今回はそれをなるべくわかりやすく書いてみます。

まず、CDM。言葉だけではわかりにくいので、具体的な例を考えてみましょう。

日本国内でCO2排出を削減しようとして、森林を増やそうとすると、日本では森林に戻せる土地がすでに少ないので、まとまった森林を確保するのが難しく、植林をするにもコストがかかります。赤道に近い国と比べれば日照が少なくて気温も低いため、そのぶん、木の成長力も低くなります。

これに対して、亜熱帯の途上国、たとえばインドネシアやフィリピンなどで植林をすれば、林業や焼き畑のために伐採された裸地があちこちにあるので、まとまった広さに植林が可能です。人件費も安いので植林コストも下がり、途上国に雇用を生むこともできます。日照が豊富で気温が高いので、成長力もあり、旺盛にCO2を吸収します。

こう考えれば、日本で森林をつくるより、途上国でつくったほうが、吸収するCO2 1kgあたりのコストはずっと安くつくことがわかります。そこで、日本のお金で途上国で植林プロジェクトを行い、そこで吸収された分のCO2を日本の削減量と見なすというのが、CDMの考え方なのです。

日本に削減義務があるのに、国内でやらないのはおかしいという考えもありますが、一方で、温暖化は地球規模の問題なので、地域にこだわらず、持てる資源でもっとも効率のよい結果を出す方がいいという考えもあり、京都議定書ではこのような考えに基づいて、CDMを認めています。

とはいえ、京都議定書でもCDMは、まずその国が国内での削減努力をした上に行う、補助的な手法と位置づけられており、CDMを削減方法の中心に据えることは想定していません。CDMを使ってCO2排出削減を行う場合は、国内での削減努力のバランスを考え、趣旨にあった使い方をするべきです。

そうしないと、今後、途上国にも削減義務がかかるようになったとき、低コストで行える削減方法がすでに先進国によって「刈り取られている」状況になっていて、途上国に見合わない高コストな方法で削減努力をしなければならないという可能性があるのです。これではあとになって途上国から批判が出る結果になるでしょう。

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