【お知らせ】 ビジネスイノベーターのオフタイム・クリエーターの連載は、2005年4月から
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「住む」の第2回目は、物件の購入についてである。新卒なら賃貸からスタート。ひとまず自立ということで、住み慣れた自宅、あるいは4年間住んだ学生寮的な部屋を出て、社会人にふさわしい物件を探すことになる。
そうして数年が経過すると、今度は、このまま賃貸にするか、そろそろマンション(あるいは狭い一戸建て)を購入するかという選択を迫られる。おおよそ結婚か昇進したときである。
・賃貸かマンション購入か
いちばん大きな問題は、物件を自己所有するか、賃貸で通すかということである。
身軽な人生を目指すツワモノは、賃貸住まいで2年に一度は引越しを慣行し、その都度不要な荷物を処分したりする。中には、「ヒロシです」ではないが、「生活観のない部屋を目指し、生活できなくなった」という笑い話が当たっていなくもないような知人を時々見かけたりする(笑)。
筆者も社会人としてスタートしたときには、一貫して賃貸派で通そうと誓っていた。親が海外を定期的に転勤していたためか、実家という概念がない。また、就職後に諸先輩らを見ていると、家を買うために無理して借金をするのは、就職している企業に束縛されるような感覚があった(これについては後半で説明する)。
そもそも、同世代に比べて就職したのが遅かったし、バブルによって、しっかり不動産が値上がっていた時代だ。わずか数年で急騰したから、なんだか「損」をした気分にさせられた。
実際、経済学的には、不動産は購入したときの価格ではなく、将来の価値で決まるのだし、差益か差損をどう考えるかなのだが、個人的な動きは鈍かったわけだ。
それでも、賃貸にはこだわり、おしゃれな土地柄で自らが気に入る物件、かつ駐車場が付いているものを探した。特に若いうちは、マーケティングの勉強になるからと自由が丘にこだわったのだが、自由が丘は全体的に家族向けと単身向けが多く、適当な駐車場付きの物件が少ない。駐車場にするスペースも住宅にすれば、賃貸としての稼働率を稼げるからだ。自分の欲しい間取りでの競争は激しく、さらに良い条件となるとまばら。物件探しには苦労した。
・大家の豹変
ある物件では、大家さんが年を取り、“豹変”してしまったケースがある。自宅に同居している長男一家から催促されたのか、契約を更新したばかりというのに、突然、なんの通告もなく出て行ってくれと言われたことがある。資産継承のために急に処分する必要に迫られたのかもしれない。引っ越しを含め交渉してくるのだが、かなり辛らつなことを言われ、相当難儀したことを覚えている。
こちらは、業務が多忙なのに、なぜ引っ越さなければならないのか? 大家側から交渉されているときに、こちらが居座っているようなことも言われた。「賃貸契約しているではないか」と思い、理不尽な気持ちにさせられた。
人の良さそうな大家さんだったが、時と場合で豹変する様は、まさにバブルの影響そのものだったのだろう。といっても、当時はバブルも半分崩壊していたので、大家が何かを焦っていたのだろう。その真相は不明である。
・年を取ったときのこと
そこで考えたのは、元気なうちはよいが、年をとったとき、だれが心地よく貸してくれるのかという問題だ。もちろん、高齢社会に突入するのだし、高齢者を対象にしたマンションが登場するだろう。しかし、年収以外に、年齢で選別されてはたまったものではない。貸す方と借りる方では、法律の改正もあり、貸す方がますます強くなる時代である。
もう一つは、元同僚を見てのこと。元同僚は両親が公務員で、都心のど真ん中の宿舎で快適に暮らしていたのだが、父親の定年退職に伴って郊外のマンションに移っていくこととなった。「退職したらただの人」というわけで、半年ぐらい、一家がバラバラに住み、マンション探しに苦労する姿を目の当たりにした。
なるほど、人生不確実ではある。賃貸でも大変なことはあるし、マンション所有の方が堅実なのかなぁと、考えを改めた。バブルが崩壊し、そろそろ値ごろ感が出てきたときでもある。転勤や転職を含め、不確実ではあったが、物件購入に走りますか、ということに相成った。
・頭金を貯める
こうなると、まずは頭金をかき集めることが必要になる。若いうちから100平方メートルの高級マンションなどをいきなり購入できなる人はそう多くない。貯金をしつつ、50平方メートル超からスタートし、家族が増えたら、マンションの価値をあまり下げずに、次の物件(70〜75平方メートル前後)を探し、今ある物件を売るのが一般的だ。
賃貸でも敷金・礼金を含め、いくらか出て行く金があるが、自己所有しても様々な税金がのしかかかる。
で、頭金だが、これがなかなかたまらない。仕事を探すときに、初任給が高い方が良いか、あるいは将来の転職に有利なスキルを獲得できるか、という判断を迫られるケースはよく目にする。これに加え、いつごろマンションを購入するかという点も影響するのだが、それは後から、実際にマンション所有を考え始めるころに気がつくことが多い。
もう一つは、会社が、若い人たちに、手厚い保護を与える場合がある。少なくない額の賃貸への補助が会社から出る場合だ。こうなると、高い家賃だが、半分以上は会社が補助しているので、なかなかやめられなくなる。そのとき、家賃分を貯金に回す謙虚さが必要なのだが、やはり辛抱しないと頭金は作れない。
購入可能な物件は、頭金と、毎月返す住宅ローンの金額(つまりは家賃相当のところ)により決まる。購入と賃貸とのどちらが得かは一概には言えず、気に入った物件であれば、とんとんかなぁと感じたりと、判断が難しいところである。
・会社から借りる
バブルのころには、会社が積極的にお金を貸してくれたため、より大きな物件を購入する社員も多かったと記憶している。ただ、大きな物件を購入すると、決まって地方に転勤になったり、無理な仕事を押し付けられるという「ジンクス」もあったので、そうしたものには手を出さないことを肝に銘じていた。
本コラムは一貫して、個人個人のマイペースを追求しているので、細かい話はしないが、企業と対等に交渉し、自らの都合に合わせたワークスタイルを確立できることが肝要だ。
そもそも、会社から借りたお金は、次に転職を考える際には、会社を離れるのだから返す必要が生じる。その場合、次の会社が貸してくれるか、あるいは金融機関から借りてきて返さなければならない。
ところが、昨今の転職は、ポジションやスキルにこだわる転職が多いため、年収は一時的に下がるか、同程度の場合が少なくない。こうなると、家を購入するときの審査にまったく通らなくなる。勤務年数も1からカウントし始めることになる。
ということで、自宅所有を考える場合、いまの会社にどのくらいの期間勤めるのか、時間軸が大事になる。毎月きっちり返すお金とともに、今借りているお金の信用はどこから来て、次の信用をどこから保証してもらうのかが、働き方の一つの尺度になると言える。
(以下、次号に続く)