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「名経営者が失敗する“本当”の理由」を失敗本の著者に聞く

2004/10/26

 米ダートマス大学ビジネススクール教授であるシドニー・フィンケルシュタイン氏にインタビューするため、ニューハンプシャー州ハノーバーにある同大学を先ごろ訪れた。ダートマス大学は、ハーバード大学やコロンビア大学など米国東部の名門私立大学8校で構成されているアイビーリーグの一員である。

 フィンケルシュタイン氏は6年もの歳月をかけて「名経営者が、なぜ失敗するのか?」(原題:Why Smart Executives Fail)を著した。モトローラやジョンソン・エンド・ジョンソンといった米国企業のほか、ソニーや雪印乳業、2000年にルノーに買収された韓国サムスン自動車、など約60社を取り上げ、これらの企業が犯した失敗の原因を分析している。

 フィンケルシュタイン氏の分析は独自性に富んでいる。まず著書の冒頭で、企業が失敗する理由に関する七つの通説をすべて否定する。例えば「経営者が無能だった」とする通説がある。フィンケルシュタイン氏は、失敗した企業の経営者はすべて優秀であり、むしろ優秀であるが故に失敗を招くと指摘する。

 「経営者が優秀でも、不測の事態を予測できなかった」という通説についても、同氏は次のように否定する。「失敗した企業の経営者は、重要な産業の変化が起きつつあることを知っていた。しかし、その変化の可能性を検討したうえで無視した」。

変化に対応できる企業風土が必要

 大学の研究室で会ったフィンケルシュタイン氏に、「約60社に上る企業の実例の中で最も印象に残っている企業はどこか」と尋ねた。

 同氏が真っ先に挙げたのは、モトローラだった。同社はアナログ方式の携帯電話機で世界市場のトップを独走しながら、デジタル方式への転換で出遅れ、フィンランドのノキアなどの台頭を許した。

 アナログ方式で世界のトップに立ったのだから、当時のモトローラ経営陣が無能だったわけではない。しかも米国の大手電話会社は、繰り返しモトローラに、デジタル携帯電話へ転換するように求めていた。ところが同社は聞き入れなかった。自社のアナログ技術を過信して「ユーザーが求めているのはデジタル化ではなく、デザインの良い高性能のアナログ携帯電話機だ」と思い込んでしまった。

 「市場の変化に目を背けたのは、モトローラの経営陣ばかりではない。携帯電話機部門の社員たちも同様だった」。フィンケルシュタイン氏はこう指摘し、次のように続ける。「変化に柔軟に対応する企業風土を築くことが欠かせない。経営トップだけでなく中間管理職もそうした風土づくりに尽力すべきだ」。

 フィンケルシュタイン氏のインタビューの詳細は、11月上旬に発売する日経ビズテック第4号の特集「誤算に学ぶ」で紹介する予定である。

(中野目 純一=日経ビズテック記者)

=読者からのコメント=

■>「変化に柔軟に対応する企業風土を築くことが欠
>かせない。経営トップだけでなく中間管理職もそ
>うした風土づくりに尽力すべきだ」。

 TOPが変わったところで、組織全体に変化がいきわたらなければ、企業風土は現実と遊離してしまう。言われてみれば自明の理である。組織が大きければ大きいほど、暗黙知である組織風土を変えるのは難しい。

 特に日本のように、組織風土がTOPの認識と離れることが多い国では、難しいと思う。本記事の詳細が待ち遠しい。果たして日本でも役立つ内容なのか。

(匿名:40歳:開発)


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