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ラーメンは文化だ!
プロフィール
ラーメンフリークが作るラーメン店

2004/04/20

 ラーメン屋を始めた動機に「ラーメンが好きだから」と答える店主は多い。各地を食べ歩いて自らが望む味を探し出し、新しい店舗を構える人は、昔から少なくなかった。最近では単にラーメンを食べてきたというだけでなく、インターネットなどで情報交換をしているラーメンフリークからも、自ら店を開店し、繁盛店にしている人も増えている。

1.「花の季」

花の季 ばかうまラーメン
 「TVチャンピオン」のラーメン王選手権(第2回)が1992年に放送された。この番組で優勝したのが、この連載にも参加している武内伸氏であるが、彼と決勝を戦った2名がラーメン店を開業し、現在に続く繁盛店にしている。

 菊池氏は栃木県宇都宮市に「ばかうまラーメン花の季」を開店。印象的な太麺と、それに負けないだけの素材を集めたスープで、駅から遠く離れた店に行列を作った。サイドメニューの名物「チェンピン」を開発したり、ラーメンの味自体にも改良を続け、2003年からは麺も自家製に変更。随所に存在感があふれるラーメンは、全国区と呼べる味になった。

2.「ぜんや」

 一方の飯倉氏はラーメン王選手権出場後も開店の準備をしつつ独学でラーメンを学び、1999年埼玉県新座市に「ぜんや」を開店。メニューは塩ラーメンだけ、1日100食限定でありながら、平日から行列を作る大人気店となった。その後も100食限定を崩さず、常に最良の味を出すことで行列を維持している。

 「花の季」「ぜんや」とも駅から遠く、わざわざ行く気にならなければ気づかないかもしれない店だが、自らが信じる味で人気店になるだけでなく、その力を維持している。

3.「はっち」

 「年にラーメンを1400杯食べる大学生」として雑誌に紹介されたのが店主の高橋氏である。もちろん食べるだけでなく、インターネットの掲示板でも情報交換を行っていた。

 それだけラーメンに惚れ込んだ高橋氏が、横浜の商店街の一角に「すっごいよ」を開店させたのは2000年のこと。大学を休学してまで取り組んだ彼のラーメンは、店名の通りにすごい濃厚スープで、作り手としても皆の度肝を抜いた。

 その後川崎に移転して「はっち」という店名に変更。味も、それまでの豚骨ベースから魚出汁、魚粉をブレンドしてインパクト溢れるスープに変わり、駅から近くない場所であるにもかかわらず行列店を生み出した。

4.「渡なべ」

 店主の渡辺氏は高校時代から放課後にラーメン店へ立ち寄っていて、大学生になってからは食べ歩きも本格的に。インターネットの掲示板でも積極的に情報交換を行っていた。大学卒業を機に、自分が好きなラーメンを職業にすべく、ラーメン店のプロデュースを始めた。

 1軒目の「麺や楽」(神奈川県伊勢原市)が話題になると、本人が店主となり「渡なべ」を高田馬場に開店させた。豚骨魚介系と評される味は、最近の新店のトレンドとも言えるものを作り出した。その後も「ごきげんや」(川越市)や「ぷかぷか」(中目黒)など、数多くのプロデュース店を誕生させたが、その味は様々であり、渡辺氏が食べ歩きで培った引き出しの広さを感じさせる。

5.「亀我楽」

 食べ歩きを主にするラーメンフリークもいれば、ラーメンの自作をメインにするラーメンフリークも多い。この店の店主はラーメンを自作する人たちが集まる掲示板で情報交換するだけでなく、自作する人たちの集まりでラーメンを披露していた。

 その実力は自作する人たちの中でも定評があったが、聖蹟桜ヶ丘の路地に自分の店を構えたのが2003年。知名度こそ高くないが、その実力は地元で人気浸透ぶりに現れている。

6.「きら星」

 そんな中、私がいちばん期待している新店が4月下旬に開店する。店主は、多摩地区を中心にラーメンを食べ歩いてきた星野能宏氏。彼は「TVチャンピオン」ラーメン王選手権(第6回)で、私とともに決勝に出場したほどの実力の持ち主である。大学生だった当時から自分のラーメン店を開店させることを目標にしていて、就職先も素材に直接触れられる食品会社を選んだ。

 その後ラーメン店で修行を重ね、自分の名から1文字を入れた「きら星」を武蔵境に開店させることになった。この文章を執筆している時点ではその味は不明だが、若いころから真剣にラーメンと向き合ってきた星野氏のこと、ラーメンシーンにきら星のごとく輝く店に入る活躍をしてくれるものと思う。

7.ラーメンフリークが作るラーメンの特徴

 ラーメンフリークによって作られるラーメンが、他の人が作るラーメンと大きく異なるわけではない。ただ、ラーメンの細かな違いを意識するラーメンフリークは、素材や調理法を工夫しながら、少しでも美味しく食べてもらおうとしている。また、ラーメンに様々な美味しさがあることも知っているので、一度作った自分の味に固執するのではなく、さらに良い味を求めて改良していく傾向にある。

 さらに、数多くのラーメン店を知っていることは、ラーメン店の厳しさを知っていることでもある。本気でラーメンの道を進む彼らの、そして新たなラーメンフリークによるラーメン店に注目してほしい。

(山本 剛志)

■花の季
栃木県宇都宮市新里町1606-13
028-665-5517

■ぜんや
埼玉県新座市野火止4-9-8
048-477-2232

■渡なべ
東京都新宿区高田馬場2-1-4
03-3209-5615

■亀我楽
多摩市関戸2-39-15.
042-376-8462

■きら星
東京都武蔵野市境南町3-11-13
0422-30-0233

※「超らーめんナビ」iモード版についてのお知らせ
 EZweb、J-sky(現Vodafone live!)に続き、iモードでも「超らーめんナビ」がご利用いただけるようになりました。iモードにつきましては、このコーナーで執筆していただいています、大崎さん、武内さん、河田さんをはじめとするラーメン界の達人8名にプロデュースをお願いしました。ぜひお試しください(「超らーめんナビ」編集部)。


「超らーめんナビ」
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山本 剛志

山本 剛志  1969年東京生まれ。早稲田大学卒業。新横浜ラーメン博物館で出合った「新福菜館」と「こむらさき」の2杯に、ラーメンの奥深さと幅広さを感じ、以後精力的にラーメンを食べ歩いている。
 2000年1月に、テレビ東京系「テレビチャンピオン:ラーメン王選手権」に優勝。ラーメンサイト「ら〜マニア共和国」主宰。普段は会社員として働いているので、平日は東京や横浜周辺の食べ歩き、週末は全国各地に出向いている。
 ラーメンがブームを超えた日本人のソウルフードになっている事を、肌と舌で感じ取っている昨今、これだけ人を魅了するラーメンとがっぷり取り組もうと思ううちに、4年で3701杯のラーメンを食べていた。たくさん食べることが目的ではないが、食べたくなるラーメンの作り手に感謝する日々が続いている。
バックナンバー
■[2004/4/27]
・「おばあちゃん生き甲斐系の店」

■[2004/4/20]
・ラーメンフリークが作るラーメン店

■[2004/4/13]
・「期間限定メニューの効果」

■[2004/4/6]
・鶏ガラスープの時代は来るか

■[2004/3/30]
・テレビに愛されるラーメン

■[2004/3/23]
・いま栃木のラーメンが面白い!

■[2004/3/16]
・ラーメン店のブランド戦略

■[2004/3/9]
・「古い店をもっと愛して」

■[2004/3/2]
・ラーメン店 修業すべきか?独学か?

■[2004/2/24]
・「ご当地ラーメンと町おこしラーメン」

■[2004/2/17]
・二郎インスパイア系の出現

■[2004/2/10]
・「最強のラーメンファミリー〜丸長のれん会」

■[2004/2/3]
・2大国民食の狭間に:カレーラーメン

■[2004/1/27]
・ハワイ ラーメン事情

■[2004/1/20]
・カップ麺プロデュース体験記

■[2004/1/13]
・「ラーメン名店に名サイドメニューあり」

■[2004/1/6]
・2003年ラーメン界の動向

■[2003/12/22]
・2003年ラーメン業界を振り返って

■[2003/12/16]
・「浪花麺だらけ」の裏事情

■[2003/12/9]
・“曖昧な”国の“曖昧な”ラーメン

■[2003/12/2]
・新旧せめぎあう広島のラーメン

■[2003/11/25]
・全国・手打ちラーメンいろいろ

■[2003/11/18]
・進化する函館ラーメン

■[2003/11/11]
・外国人ラーメン武者修業者歓迎!

■[2003/11/4]
・チャーシューのこだわり

■[2003/10/28]
・日本のラーメン文化の起源

■[2003/10/21]
・佐賀・人情ラーメンとの出会いと、確信した加水率の秘密

■[2003/10/14]
・“サムライ・ラーメンシェフ”奮闘記

■[2003/10/7]
・ラーメン「こだわり」の波、全国へ

■[2003/9/30]
・滞在型ラーメン店の試み

■[2003/9/22]
・シーラカンスのような横浜ラーメン

■[2003/9/16]
・映画「タンポポ」が残した功罪

■[2003/9/9]
・激増するラーメン・テーマパーク

■[2003/9/2]
・ラーメン屋に行列ができる理由

■[2003/8/26]
・インスタントラーメンに関する一考察

■[2003/8/19]
・アジア各国における日式ラーメンブームの裏側

■[2003/8/5]
・ラーメン店における空間のおもろしさ

■[2003/7/29]
・ラーメン業界激震の名古屋にひっそりと店を出した旭川の名店

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・半熟玉子の百年

■[2003/7/15]
・“家系”ラーメンの総本山「吉村家」とその弟子たち

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■[2003/7/1]
・ラーメン新時代


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