ビジネスイノベーターは、nikkeibp.jpビジネススタイルに変わりました。こちらをクリック。

ビジネス イノベータートップへ

ーーー
編集部からのお知らせ

ーーー
連載企画
「IT」と「環境」
まれる心、
企業生き残りの代償


境生活のススメ

塊消費動向研究所
--シニアを“生かす”
ビジネスの可能性


門「近自然学」
〜豊かさと環境の
両立は可能だ


"ビジネス基礎力"向上計画
〜ワンランク上の
プロを目指す


"会社"に頼らない生き方を探れ!

代リスクの基礎知識

「環境」を考える
(日経エコロジー)


ーーー
日経ビズテック創刊!
雑誌関連のお知らせ

ラム・ショーケース

島の眼

ーーー
今週の市場データ

ーーー
読者から
 (Reader's Opinion)

ーーー
仕事の本棚

ーーー
オフタイム・クリエーター
新ワークスタイル研究

出張、リデザイン

充実空間


ーーー
from nikkeibp.jp 倶楽部

ーーー
アーカイブ

ーーー

お問い合わせ

ビジネス イノベーター
spacer
nikkeibp.jp

ラーメンは文化だ!
プロフィール
「期間限定メニューの効果」

2004/04/13

 ここ数年、かなりいろいろな店で見るようになってきた期間限定メニュー。以前は冷やし中華ぐらいだったが、むしろ最近の話題の店では、冷やし中華を見ることはむしろ少なくなってきた。

 その期間限定メニューと言うものの多くは、冷やし中華とはまったく性質の異なるものである。何が違うのか? 一言で言ってしまえば、冷やし中華は「実」、最近の期間限定メニューは「名」が主体であることが多いのである。

冷やし中華とは狙いが違う

 そもそも冷やし中華は、熱いラーメンの売り上げが夏場に落ちていくので、冷たいメニューを出すことによって客離れを防ぐことを目的としてここまで広まったのではないかと考えられている。夏の暑い日に「冷やし中華はじめました」の紙を見れば、冷たい麺にさっぱりとした味、涼やかなビジュアルを思い描ける。熱いラーメンを意識することなく、夏でもラーメン屋に入店することができるのである。

 それに対して期間限定メニューはどうだろうか? 店頭に期間限定メニューを始めたと書いてあってその店に入る人はどのぐらいいるだろう? 「限定」という言葉に弱いと言われる日本人であるが、単にそれを見ただけでその店に入る人は少ないだろう。かなりのラーメン好きぐらいではないだろうか。

3つの効果

 それでは期間限定メニューにはどんな効果があるのか? 何よりも、まず思い浮かぶのは常連を離さないという目的だろう。

 いくらその店が好きだと言ってもしょっちゅう同じ店で食べていたらさすがに飽きというものも生じてくる。ましてラーメン業界は次々に新しい店が開店し続けているし、味もどんどん進化する。そして、また新しい味が出てくる。時々違う味を食べたくなるのは極自然の心理だろう。

 次には話題性の効果。有名店が期間限定で面白いメニューをやっているとなれば、飛びつくラーメンフリークはかなり多い。新しい情報はインターネット上でも重宝され、それが美味しい、もしくはインパクトがあれば、評判が評判を呼んで、かなりの話題にされる。

 そしてこの話題性とも関連するが、マスコミへのアピールにもなるのだ。マスコミも常に新しい話題を求めている。どんなに美味しい店でも、そして常に改良して美味しくなっていってる店でも、目に見える動きがなければなかなか続けて取り上げてはくれない。

 定期的にお店側から話題を提供すればマスコミとしても取り上げやすいというもの。例えば、これが単に冷やし中華だったとしたら、マスコミに取り上げるられるのが難しくなるのはちょっと考えれば分かるだろう。

店側にもメリット

 さらに隠れたメリットの一つとして、店側のモチベーションを高く保つという効果がある。ずっと同じものを作り続けるのでは、良い意味でも悪い意味でも、どうしても慣れが生じてしまう。そこに新しいものを作るといく作業が加えるだけで、その慣れに刺激を与えることができる。

 もちろん、これらのメリットなどとは関係なく、単純に店主の遊び心、客を喜ばせたいということでやっている店も多いのだが。

 ところで、「期間限定」にしなくても、「新メニュー」を加えれば、その利を得られるのではないだろうか? そうはいかないのが現実だ。もし「新メニュー」として始めてしまうと、新しいものをやる度に、どんどんメニューが増えていってしまう。そしてその新メニューをやめたいとなった場合、あまりに早く終了してしまうと、「こけた」というイメージが付いてしまう。

 その点、もともと「期間限定」としておけば、言ってしまえばいつでもやめることができる。評判がよければ「好評につき期間延長」などとすれば、続けても文句を言われることは少ないだろうし、そのメニューもよりアピールすることもできるのだ。

 いつでもやめることができるというメリットは大きく、それによって「ちょっとぐらい外しても構わない」というチャレンジングなメニューに仕上げることもできるのである。

時には落とし穴も

 メリットばかりを挙げてきた「期間限定メニュー」であるが、デメリットも存在する。当然のごとく通常メニュー以外のことを始めるわけなので、その分、仕込みの手間が増える。もちろんその分コストもかかる。普段と違うものを仕入れれば、原価率はどうしても上がってしまうだろう。

 食材以外でも、メニューの掲示や食券機への対応などの手間とコストが発生する。そして、営業中のオペレーションも乱れやすくなってしまう。まだ営業が落ち着いてない店が、新メニューや限定を始めることによって、オペレーションがめちゃくちゃになってしまっているのはよく見る光景である。

 そして、いちばん起こりやすい問題が、「限定」に気を取られるあまりに通常メニューの方がおろそかになってしまうことである。あくまで余裕のある範囲でやらなければ、メリットの多い限定メニューもマイナスにばかりなっていってしまうのである。

 また、最近は雑誌などと連動して限定メニューを取り入れるという企画が多い。これは、その雑誌で確実に取り上げてくれるというメリットこそあるが、逆に言えば、他のメディアには取り上げてもらえないという欠点もある。

 そして、それが評判を呼んだとしても、その半分はその雑誌の企画と共に終わってしまう。実際に雑誌側は自分の雑誌さえ売れればよいという考えである場合がほとんど。店側は決してマイナスにならないように、これらのことを留意したうえで参加してほしい。

地方にも広がり見せる

 さて、期間限定メニューを始める店が増えてきたのはなんと言っても「麺屋 武蔵」の影響が大きいだろう。他の店ではまず食べることができないような斬新な限定麺を春夏秋冬と出し、ものすごい行列店になってもフリークに足を運ばせる。その度にマスコミにも登場し、常にラーメンの先駆者であり続けることによって、トップの位置を維持し続けているのだ。

 武蔵の限定メニューではその度にいろいろな練り込み麺を使用する。いろいろな店が練り込み麺を使用するようになったのも武蔵の影響と言ってよいだろう。ただし、どんなに優れた限定麺を作っても食べに来る人のほとんどが通常メニューを食べているのも武蔵の特徴である。あくまで通常メニューあってこその限定麺であるのだ。

 期間限定をやっている店の中でも面白いのが「虎心房」。何せ店主のきまぐれによって始まり、きまぐれによって終わる。しかしこの限定がまたどれも完成度が高く、店主のセンスの高さをうかがわせる。「春の潮」や「カレーつけめん」などフリークを虜にした限定メニューは数多い。この店のファンは、いつやっているとも知れないそれらの限定メニューを求めてついつい足を運んでしまうのである。

 初台にある「一福」の「囲炉裏麺」はもともとTVの企画にあわせて作った冬のみの期間限定メニューであった。このメニュー、かなり美味しいのは間違いないのだが、その分かなり仕込みにも手間がかかり、もうけもほとんどない。

 しかしあまりに客の評判がよく、要望が多かったため、次の冬にも同じメニューをやることにした。そうすると、TVやマスコミでたくさん取り上げられることに。

 そして冬の間だけだったのが、「遠くから来てくれたのに無いと申し訳ない」「食べて喜んでくれるから」と、とうとう通年メニューに。それで実際お客さんも増えてきているというから、計算ではない、女将さんのお客さんに対する思いやりが、ヒットを生んだ何よりの要因と言えよう。

 首都圏で多かった期間限定メニューもいまや関西をはじめ、地方に飛び火しつつある。食べ手としてはこれからもたくさんの斬新な限定メニューが出てくることを期待したい。
(小林 孝充)

※「超らーめんナビ」iモード版についてのお知らせ
 EZweb、J-sky(現Vodafone live!)に続き、iモードでも「超らーめんナビ」がご利用いただけるようになりました。iモードにつきましては、このコーナーで執筆していただいています、大崎さん、武内さん、河田さんをはじめとするラーメン界の達人8名にプロデュースをお願いしました。ぜひお試しください(「超らーめんナビ」編集部)。


「超らーめんナビ」
 株式会社エディアが運営する携帯電話向けのラーメン情報サイト。Ezweb(トップメニュー⇒生活情報を調べる⇒グルメ⇒超らーめんナビ)、J-SKY(J-skyメイン⇒グルメ・ショッピング⇒グルメ⇒超らーめんナビ)の公式サイト。位置情報付データで全国のラーメン情報を紹介するほか、掲示板ではラーメン好きの人のためのコミュニケーションで連日盛り上がりを見せている。
エディアのWebサイトへ


小林 孝充

小林 孝充
1974年生まれ。栃木県出身。TVチャンピオン第7代の現ラーメン王(第8回ラーメン王選手権優勝)。
 学生時代に新横浜ラーメン博物館の一風堂でラーメンを食べて開眼、社会人になると本格的に食べ歩きを開始する。年間1000杯以上食べるという強者。
 ラーメンサイト「こば’ず ほ〜むぺ〜じ」を主宰。「茨城のうまいラーメン」本制作に携わるなど、執筆活動にもいそしんでいる。『茨城のうまいラーメン』製作&執筆、週刊現代ラーメン本発売日制覇などを行い、TVチャンピオン第8回ラーメン王選手権では見事優勝。現在のラーメン王となっている。
 得意エリアは関東全域で、苦手なエリアがないのが特徴。ここ数年で着々と全国を制覇しつつある。
 ラーメン以外のサイドメニューまで押さえているのも特徴で、自身のHPではラーメン屋のサイドメニュー用の会議室も提供している。
登場誌:茨城のうまいラーメン1&2、これが群馬のうまいラーメン、つくば食事典、東京一週間、横浜Walker、関西Walker、新潟こまち、週刊現代、週刊ポスト、GetNavi、Gainer、オリコンウィークリー他。「TVチャンピオンラーメン王 小林孝充が選んだ栃木のおいしいラーメン63」という本を下野新聞社から出版。
 はんつ遠藤氏、山本氏で明星食品カップ麺「ぶっちぬき」を共同開発。
バックナンバー
■[2004/4/27]
・「おばあちゃん生き甲斐系の店」

■[2004/4/20]
・ラーメンフリークが作るラーメン店

■[2004/4/13]
・「期間限定メニューの効果」

■[2004/4/6]
・鶏ガラスープの時代は来るか

■[2004/3/30]
・テレビに愛されるラーメン

■[2004/3/23]
・いま栃木のラーメンが面白い!

■[2004/3/16]
・ラーメン店のブランド戦略

■[2004/3/9]
・「古い店をもっと愛して」

■[2004/3/2]
・ラーメン店 修業すべきか?独学か?

■[2004/2/24]
・「ご当地ラーメンと町おこしラーメン」

■[2004/2/17]
・二郎インスパイア系の出現

■[2004/2/10]
・「最強のラーメンファミリー〜丸長のれん会」

■[2004/2/3]
・2大国民食の狭間に:カレーラーメン

■[2004/1/27]
・ハワイ ラーメン事情

■[2004/1/20]
・カップ麺プロデュース体験記

■[2004/1/13]
・「ラーメン名店に名サイドメニューあり」

■[2004/1/6]
・2003年ラーメン界の動向

■[2003/12/22]
・2003年ラーメン業界を振り返って

■[2003/12/16]
・「浪花麺だらけ」の裏事情

■[2003/12/9]
・“曖昧な”国の“曖昧な”ラーメン

■[2003/12/2]
・新旧せめぎあう広島のラーメン

■[2003/11/25]
・全国・手打ちラーメンいろいろ

■[2003/11/18]
・進化する函館ラーメン

■[2003/11/11]
・外国人ラーメン武者修業者歓迎!

■[2003/11/4]
・チャーシューのこだわり

■[2003/10/28]
・日本のラーメン文化の起源

■[2003/10/21]
・佐賀・人情ラーメンとの出会いと、確信した加水率の秘密

■[2003/10/14]
・“サムライ・ラーメンシェフ”奮闘記

■[2003/10/7]
・ラーメン「こだわり」の波、全国へ

■[2003/9/30]
・滞在型ラーメン店の試み

■[2003/9/22]
・シーラカンスのような横浜ラーメン

■[2003/9/16]
・映画「タンポポ」が残した功罪

■[2003/9/9]
・激増するラーメン・テーマパーク

■[2003/9/2]
・ラーメン屋に行列ができる理由

■[2003/8/26]
・インスタントラーメンに関する一考察

■[2003/8/19]
・アジア各国における日式ラーメンブームの裏側

■[2003/8/5]
・ラーメン店における空間のおもろしさ

■[2003/7/29]
・ラーメン業界激震の名古屋にひっそりと店を出した旭川の名店

■[2003/7/22]
・半熟玉子の百年

■[2003/7/15]
・“家系”ラーメンの総本山「吉村家」とその弟子たち

■[2003/7/8]
・なぜか注目を浴びない伝統の味わい「日本橋こんどう軒」

■[2003/7/1]
・ラーメン新時代


日経BP社 www.nikkeibp.co.jp

サービスよくあるご質問 | 記事に関するお問い合わせ
会社案内日経BP社案内 | プライバシーポリシー | 著作権・リンクについて | 広告ガイド
© 2005 Nikkei Business Publications, Inc. All Rights Reserved.