ラーメン特集のスペシャル番組はもちろんのこと、「庶民派グルメ」の代表として、回転寿司・丼物・うどん・カレー・焼肉を従えて登場することもあるなど、テレビにラーメンが出ることは多い。料理番組やニュース番組へ登場も頻繁だ。だれでも気軽に食べられ、幅広い味があることがテレビでも好まれるのであろう。
「ラーメン特集」はなぜ多いのか?
絶えざる人気を背景にして、2002年12月31日、紅白歌合戦の裏番組にラーメン特番が登場した。しかし視聴率では悲惨な結果に終わり、当時は「ラーメンバブルの終えん」「ラーメンブーム終わりの始まり」などと騒がれた。
ところが現在でも、ラーメンはテレビ番組に根付いている。歌番組や格闘技のような華やかさはないが、日本人の心をとらえるコンテンツであることは確かである。
ラーメン番組にもいくつかのスタイルが存在する。ここでは6種類に分類して紹介するが、単純に区分けできるものではなく、複数の要素を組み合わせた番組がほとんどである。
「ラーメン特集」のパターン
1.ランキング
テレビのラーメン特集でいちばん注目を集めるスタイルである。様々なジャンルのラーメンを一気に紹介できるし、カウントダウン形式は途中からチャンネルを合わせた人を釘付けにできるなど、テレビには都合のよいスタイルと言える。
ここで問題になるのはランキングの決定方法。主観である美味しさを基にランクを付けることは不可能で、しばしば使われるのは、「アンケート」や「ハガキ・メールで投票」である。しかしこれも主観の積み重ねに過ぎないし、取材方法によって結果は異なる。
また、取材拒否店が紹介されないという点も大きく影響を与える。「取材はすべてお断り」「テレビは影響力が大きすぎるのでお断り」という店以外に、「各自が努力している店をテレビがランキングするのは失礼だ」と思っている店主も少なくない。
2.ラーメン創作勝負
新作ラーメンを創造している店主も多い。その制作過程を対決物として紹介する番組もある。過去の料理漫画でも描かれてきた料理対決が実物となれば視聴者の関心を集めやすい。店としても、知名度を上げ、番組で創作したメニューを販売すれば客数アップも狙える。
その一方でテレビ局側には、様々な素材を用意するなど準備作業が膨大であること、ラーメン店側には本当に作りたい物よりも「テレビ映え」するものを求められる、といった課題がある。
3.激戦区
ラーメン店が集まった街やラーメン集合施設など、複数店のラーメンを紹介するスタイルは、ニュース番組でおなじみのスタイルである。同じ街で一気に取材ができるので、制作スタッフにとっては好都合だが、アクセスの良い場所にある店が集中する傾向がある。
4.名店ヒストリー
名店の歴史や道のりを紹介するスタイル。再現ドラマなどによる演出も可能だが、それだけの歴史を持つ店は多くないため、常にラーメン番組を見ている視聴者からは、「同じ店ばかりが出てくる」という指摘もある。
5.修業、開店ストーリー
数多く開店するラーメン店の中から、話題の店が開店するまでを追跡したり、その修行の様子を紹介するもの。ただラーメンを紹介するわけではなくドラマチック。シリーズ化も可能なため、見る側も楽しめる。
このスタイルでいちばんの人気企画に「ガチンコラーメン道」がある。ここで教官役を務めた「支那そばや」の佐野実氏はさらに知名度を上げ、この番組から誕生した店も話題になっている。
テレビでは修行中にいろいろなことが起こるが、実際の修行は地味な作業の積み重ねである。普段は温和な人物でも、カメラの前では過剰な演技をしてしまうこともあるようだ。
6.隠れた名店、新店
テレビでいちばん求められるのが「新しい情報」である。だれも知らない新しいスタイルのラーメンであればなおさら話題にできる。そこでメディアは新しい情報を求めるのだが、新しければ味は二の次と、新店のラーメンを食べずに取材を申し込むスタッフがいたり、隠れた店だからと取材拒否店にカメラを持ち込んで強引に申し込むスタッフもいたりする。
「ラーメン特集」の楽しみ方
ランキング番組が放映されると、「あの店が1位だけど、本当にいちばんうまいのか?」「3位の店の方が5位の店よりうまいのか?」という質問が私にも寄せられる。
民放は話題を提供することで視聴率を得、スポンサーを集めることが仕事であり、美味しいラーメンを紹介することは彼ら本来の業務ではない。ランキングを鵜呑みにせず、ラーメン店を紹介してくれるカタログ程度に考えて視聴するよう心がけたい。ラーメンの美味しさは、テレビでも評論家でもなく、食べた人の心の中にあるのだから。
ところで、日ごろラーメン特集を見ている私にとって、不満に思っていることが一つある。これだけ多くのラーメン特集がありながら、現在、東京の地上波キー局でラーメンをテーマにしたレギュラー番組がないことである(CSや地方局では実例があるが)。制作は大変だと思うが、一度実現してほしいものである。もちろん、その際の協力はやぶさかでない。
(山本 剛志)
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