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ラーメンは文化だ!
プロフィール
「ご当地ラーメンと町おこしラーメン」

2004/02/24

 ラーメンに人気が集まる理由として、「ジャンルの幅広さ」が挙げられる。ラーメンに「正道」「邪道」などの決まりがあったら、ここまで人気を集めることはなかっただろう。

 そんなラーメンの幅広さを感じるのが「ご当地ラーメン」の多さだ。ご当地ラーメンの定義も明確なものはないが、主なもので19種類、地元で根強い人気を持つ「地ラーメン」も含めれば、50種類近くになる。ご当地ラーメンが観光資源になった町もあれば、「町おこしラーメン」を作って観光客を集めようとする町も出てきている。

ご当地ラーメンブームのはじまり〜札幌〜

 「ご当地ラーメン」という言葉を世に知らしめたのは「札幌ラーメン」といえる。味噌ラーメンで知られる札幌だが、その味が登場したのは昭和30年代のこと。

 発案者「味の三平」のご主人、故大宮守人氏は、「豚汁に中華麺を入れて欲しい」という常連客のリクエストと、「日本人は味噌を活用していない」という海外雑誌のコラムから、味噌ラーメンを考案したとされる。もっとも、本当に豚汁に中華麺を入れただけのメニューだったら、ここまで人気を集めることはなかっただろう。

 彼は味噌ラーメンがメニューに入るまでの間、味噌にあう麺、麺にあう味噌を研究したという。この新メニューが話題を集めると、札幌では味噌ラーメンをメニューに入れる店が急増する。

 昭和40年代、東京の百貨店の催事に登場したことをきっかけに、知名度は全国区に上昇した。以前は「ラーメン横丁」が有名だったが、近年では札幌市全域が激戦区になっている。

 「味の来来軒」のような味噌と野菜を炒めた伝統的スタイルだけでなく、豚骨スープと味噌味をあわせた「ラーメンてつや」、味噌の濃厚な味と、火傷しそうな熱さをもった「すみれ」「純連」など、様々なスタイルの味噌ラーメンがあり、現在でも新店が次々誕生している。

観光とラーメンの相乗効果〜尾道〜

尾道ラーメン 写真提供:尾道麺工房 こまつ屋
 以前から観光地だった町が、ご当地ラーメンでも脚光を浴びることがある。瀬戸内海に面し、風光明媚な広島県尾道市にも、独特のスタイルを持つご当地ラーメンが存在している。平たい麺に、澄んだ醤油色のスープ、背脂のミンチが振りかけられたものである。

 市内にある多くの店の中でも圧倒的な知名度を持つのが「朱華園」だが、この店は「尾道ラーメン」と評されるのを好まない。「尾道ラーメン」の名前は、朱華園や市内のラーメン店をモデルに、地元の土産物業者が使いだしたもの。特徴として「地元瀬戸内海の小魚」を使っているが、朱華園はスープに魚介出汁を使っていないため、「尾道ラーメンではない」という主張だ。

 そんな「朱華園の中華そば」や市内各所の尾道ラーメンは、地元の支持を集めつつ、全国から尾道へ来る観光客はもちろん、尾道へラーメンを食べに来る人も満足させている。

ラーメンという観光資源を発掘〜喜多方〜

 福島県喜多方市は、「蔵の町」として知られてきた町だが、市内にラーメン店が多いことをきっかけに、町おこしに成功した。市内のラーメン店有志が「喜多方老麺会」を設立。行政のバックアップを集めつつ、「ラーメンの町」として名を馳せることになった。

 喜多方ラーメンは、太く縮れた麺がすすりがいを感じさせるが、スープの味に決まったものはない。ラーメン店が多い町だが様々な味のラーメンを楽しめることが、観光客を呼び寄せた。週末には市役所の駐車場が無料開放されており、東京からドライブを兼ねてラーメンを食べに来る人も少なくない。

 「松食堂」「まこと食堂」「坂内食堂」など、店名に「食堂」とついた店がみられるのも特徴。喜多方の人にとって、ラーメンは食堂で食べる日常の一品なのだ。

町おこしラーメンは奮戦中

 全国各地のご当地ラーメンが話題になる中、「我々も町おこしを」と名乗りを挙げる町も珍しくない。ラーメン店が多くなかったり、特徴のあるラーメン店が少ない町は、すでにある「ご当地ラーメン」ではなく、新たに作った「町おこしラーメン」で勝負に挑んでいる。もっとも、全国に「町おこしラーメン」はたくさん誕生したが、観光資源になるほど定着したものは少ない。

 山形県米沢市には、ちりちりした麺とあっさり醤油味のスープが人気のご当地ラーメンがある。

 以前、町おこしを目指して新しいラーメンが誕生した。地元の言葉で「変わり者」を意味する「そんぴんラーメン」は、白濁したスープに山海の幸をたっぷり載せた物だった。地味に見えるご当地の味ではなく、豪勢な具と若者に人気のスープで話題を集めようとしたが、盆地の米沢で海産物を乗せる必然性のなさや、値段の高さが敬遠されたためか定着せず、東京に出店した店は閉店した。

 現在は、シンプルなご当地ラーメンの魅力を観光マップなどで紹介して、地道な歩みだが着実にファンを増やしている。

 「町おこしラーメン」の多くは、既存ラーメン店の新メニューとして、町内で一斉に開始されている。地元の特産品を載せたもの(埼玉県上福岡市の「きんぴらラーメン」や、栃木県栃木市の「夕顔ラーメン」など)や、地元の名物を具で表現しようとしたもの(石川県羽咋市の「UFOラーメン」など)がある。

 既存のラーメン店を振興させることが目的のため、麺やスープまで統一することができない。そこで具を統一しようとしているが、どんな遠い場所へもラーメンを求めるラーメン好きでも、「町おこしラーメン」に食指を動かす者は多くない。具に特徴があっても、ラーメン全体として満足できなければ興味の対象にはなりづらい面がある。

 そんな町おこしラーメンだが、2004年4月に気になる新作が誕生する。「気仙沼ラーメン」がそれである。宮城県気仙沼市といえば、ふかひれの水揚げで知られる街。もちろん「ふかひれラーメン」も「町おこしラーメン」に指名されたが、あわせて醤油ラーメンも発表された。

 こちらも気仙沼で獲れたサンマを使った、香味油をラーメンに載せているとのこと。具に使うより地味ではあるが、油はラーメンの表情を一変させる効果がある。新作の「気仙沼ラーメン」がどれだけ話題を集め、町おこしに寄与するか注目したい。

(山本 剛志)

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=読者からのコメント=

■あぁ、食べたい。でも北海道からラーメンのためだけに海は越えられない...
(snark)


山本 剛志

山本 剛志 1969年東京生まれ。早稲田大学卒業。新横浜ラーメン博物館で出合った「新福菜館」と「こむらさき」の2杯に、ラーメンの奥深さと幅広さを感じ、以後精力的にラーメンを食べ歩いている。2000年1月に、テレビ東京系「テレビチャンピオン:ラーメン王選手権」に優勝。ラーメンサイト「ら〜マニア共和国」主宰。普段は会社員として働いているので、平日は東京や横浜周辺の食べ歩き、週末は全国各地に出向いている。ラーメンがブームを超えた日本人のソウルフードになっている事を、肌と舌で感じ取っている昨今、これだけ人を魅了するラーメンとがっぷり取り組もうと思ううちに、4年で3701杯のラーメンを食べていた。たくさん食べることが目的ではないが、食べたくなるラーメンの作り手に感謝する日々が続いている。
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■[2004/4/27]
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■[2004/3/2]
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■[2004/2/24]
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・2大国民食の狭間に:カレーラーメン

■[2004/1/27]
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