ラーメン店が全国に何万軒とある中で、「手打ちラーメン」の店はそんなに多くはない。技術が必要というのもあるのだろう。ご当地ラーメンの中で手打ち麺の代表的なところは「白河ラーメン」と「佐野ラーメン」。いずれの地も水が美味しいのが特徴だ。
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| 「とら食堂」のラーメン |
白河は元祖である「とら食堂」を代表として、“手打ち中華”と呼ばれている。白河の店の多くが手打ち麺を使っており、そのため1日に出せる数が限定の店もある。太麺で太さがまちまちなものもあり、これぞ手打ち・手切りの特徴と言えよう。手揉みによる縮れを加えた、もちもち感たっぷりの麺は、そのまま食べても美味しいくらいだ。
白河では麺打ちで木の棒を使う場合が多いのに対して、「佐野ラーメン」は青竹を使用するところが特徴だ。孟宗竹を使い、そこに足をかけて、体全体で打つ、と言った方が正しい。
麺の中に気泡を残すことにより、その反発力がコシになる。茹で時間が短くて済むのも特徴だ。また、加水率が高いので、柔らかい麺も多い。店によっては、とろける感じの麺すらある。固めの麺に慣れている人は、面食らうだろう。
白河ラーメンは最近、ようやく首都圏にも進出してきた。横浜の「白河中華そば」や東京都国分寺の「孫市」、東京都世田谷区梅丘の「一番・胤暢番」、埼玉県富士見市の「もめん」がそうである。
しかし、佐野ラーメンはなかなか難しいようで根付かない。その理由が麺にあると思われる。環境が違うことで思うような麺ができないのではないかと思う。過去にあった何軒かは、撤退してしまった。
しかし、そうは言っても東京にも手打ち麺の店はある。それらは白河とも佐野とも違う流れだろう。中野区新井の「高揚」。青竹を使うのだが「佐野」という言葉は出てこない。40年以上の歴史を持つ中国料理店である。白河や佐野と同じように水にこだわり、浄水器はNASAなどでも使用している高性能なものを使用している。
同じく竹を使った手打ち麺が、渋谷区神泉町の「芳来」だ。ここは、竹を使いながらも麺の仕上がりは佐野とはまったく違った麺になっている。割と細めの縮れ麺。
ご主人のキャラクターでマスコミ登場回数が多い「桃桜林」も手打ちの本格派だ。最近リニューアルした。昼、店内で麺を打ち、夜に店を開ける。強力粉にかん水、塩、卵を加えて3時間かけ、38食分を作る。これが1日分の精一杯。餃子の皮も手作りで大きく、小麦粉の美味しさに感動させられる。
注文してから麺を打ち始める「とがの」
東京都あきるの市にある「三幸」は、細麺もあるが、太麺はきしめんを彷彿とさせるかなり幅広の手打ち麺だ。1日に20〜30食限定というレアものである。そのさらに隣の西多摩郡には「たちばな家」がある。ここは店内でも、実際に麺を打っている。手切りなのに、その奇麗にそろった切り口はお見事である。
見ても楽しめる手打ち麺が小平の「なにや」だ。無添加の自然派手打ち中華麺の店。かん水の代わりに、ほうれん草と小麦粉で打つ麺は緑色。国内で数少ない翡翠(かわせみ)麺打ちのひとり。材料は国産・無添加・低農薬にこだわっている。月に一度、高麗人参麺も出る。
プリプリの手打ち麺を新宿で、しかも400円で食べられる店がある。それが「若月」だ。思い出横丁(通称、しょんべん横丁)にあり、朝10時から夜中の1時まで新宿の様々な人達の口に入っている。店の2階で麺を打っているらしい。この麺を使った焼きそばも大変美味しい。
手打ちと言えば、中国からの流れも忘れてはならない。そもそも「拉麺(らーめん)」の“拉”の字には「伸ばす」という意味がある。それを店内で実演しているのが、東京では日暮里の「馬賊」、新橋の「餓王」、錦糸町の「山東省」、東銀座の「ヤンヤン」など。
これは、麺帯を両手で持って伸ばし、あるいは、板に叩き付け、どんどんと伸ばしていく手法である。1本が2本に、そして4本、8本、と増えていき、ある程度の本数になったころにラーメンに適した太さになっている。独特の食感で、日本の文化と言うより、中国的ラーメン文化だと思う。
同じような作り方で私がビックリした店は、高知市の「とがの」。注文するとおもむろに麺を打ち始める。そのため少し待つが、茹で上がりまでの時間は短く、なんとも出来たてのホヤホヤの麺はたまらない食感であった。“手打ち”にもいろいろあるものである。
■とら食堂
電話 0248-22-3426
住所 〒961-0017 福島県白河市大字双石滝ノ尻1
営業 午前11:00〜午後2:30、午後4:00〜午後6:00
日・祭日は通し営業、月曜日休業
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