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ラーメンは文化だ!
プロフィール
外国人ラーメン武者修業者歓迎!

2003/11/11

 最近はラーメン屋さんも、店主個人にスポットを当てて紹介されるケースが多いが、これは何もラーメンの世界に限ったことではなく、料理界全体の傾向でもある。

 もともと裏方であった料理人に、スポットライトが当てられるようになったのは、記憶に新しいTV番組「料理の鉄人」のヒット後のことである。

 日本で一世を風靡したこの番組は、アメリカでも放送され、エミー賞の候補にもなるほどの評判を獲得。後にアメリカ版のリメイクが作られたことは、日本では意外と知られていない。

 今、改めて日本での放送を思い返してみると、この番組に登場したフレンチ及びイタリアンの実に多くシェフ達が、自分の腕に磨きをかけるべく、若き日に本場に修行に出かけていたのが思い出される。

 このように料理を学びに本場まで出かけていくパターンを“武者修行型”と呼ぶとすると、異国からシェフがやってきて自分の国の料理を訪問国で紹介するタイプを“宣教師型”と称することが出来る。

 これまで、この連載で紹介してきた海外のラーメン店は、そのほとんどが“宣教師型”であり、日本でラーメン作りを学んだ外国人が自国に戻ってラーメン店を始めた“武者修行型”のケースは、筆者の知る限り一軒もない。

クリス・ストーリー氏
 今回は、その極めて珍しい“武者修行型”の先行事例として、これから正に自分の母国にラーメンを広めようとしている、ある外国人ラーメン店主を紹介したいと思う。彼の名はクリス・ストーリー氏(以下、クリス氏)。現在、神奈川県横須賀市の大津で「Tan×2 Peking」というラーメン屋を営んでいる。

 アトランタ出身の生粋のアメリカ人であるクリス氏が、最初に日本にやってきたのは6年前。アメリカ海軍の一員として横須賀に駐留したのが最初である。この時には、まだラーメンといえば「プラスチックの袋に入ったインスタントの麺」としか知らなかったとのことで、まさか将来自分がラーメン屋を開くとは夢にも思っていなかった。

 3年間の海軍生活を終え、一旦はアメリカに帰国。その間に日本で知り合った現在の奥様と結婚。奥様の希望もあって一年後に日本に再来日することになるのだが、クリス氏は当時日本語が全然出来なかった。当然、日本ではなかなか仕事が見つからず、見かねた奥様のお父さんのお店で働くことになる。

 クリス氏のお義父さんは、横須賀の衣笠で「Peking」という中華料理屋を営んでおり、クリス氏はそこで皿洗いなどをしながら日本語とラーメンの作り方を覚えていったそうだ。クリス氏にインタビューをした際に、盛んに「日本語をマスターするのが大変だった」という話が出た。

Tan×2 Peking外観
 ラーメン作りを覚えた際に苦労話が出ないので不思議だったのだが、実はクリス氏、海軍時代も調理担当だったということで、料理はお手の物。お義父さんの手ほどきを受けながら、ラーメン作りの技も難なく吸収していったらしい。

 「Peking」で働き始めて2年ほどした頃、「Peking」の横須賀中央店を奥さんと二人で任されることになり、自分達だけでお店を切り盛りする機会を与えられた。ここで、自分達だけで店をやる自信をつけたクリス氏夫妻は、その頃タイミングよく売りに出ていた現在の店を“居ぬき”で購入し「Tan×2 Peking」を始めることとなった。

 その後は、“アメリカ人シェフのいるラーメン屋さん”という珍しさも手伝い、開店から1年3〜4ヶ月という短期間に「どっちの料理ショー」や「アド街っく天国」などの人気番組を含めて4度のTV出演を果たし、6度にわたって新聞記事に取上げられるなど、地元では有数の話題のお店となって今に至っている。

煮豚ではない分厚い“焼豚”がのる“醤油ラーメン”
 さて、クリス氏のつくるラーメンだが、もともとラーメン作りを覚えたのが中華料理屋ということもあって、クリアーで油少な目の、中華料理屋でよく見かけるタイプのアッサリ味。醤油ラーメンで700円と、お店の立地にしては強気の値付けだと思いきや、煮豚ではなくキチンとローストした分厚い焼豚が4枚も乗って、食べ応え満点。700円も納得のボリュームであった。

 来年の2月には同じ横須賀市内で2号店をオープンすることが決まっており、更に、来年中に、アメリカのニューヨークかロス・アンジェルスにもお店をオープンすべく、現在物件を調査している真っ最中ということである。

 クリス氏の場合、たまたま知り合った奥様が中華料理屋の娘さんだったことから、ラーメン屋を自分の職業とするに至った訳で、必ずしも自ら進んでラーメン屋さんを目指していた訳ではない。その意味では完全な“武者修行”型とは言えないが、日本で学んだラーメンの味を本国に持ち帰るパターンとしては“武者修行”型と同じ結果をもたらす事例といっていいだろう。

 実はクリス氏、筆者の主宰している英語での総合ラーメンHP“World Ramen.net”の掲示板に、「日本でラーメン屋をやっていること」・「日本語ができない人で、ラーメン屋をやりたい人のお手伝いをしたい」旨の書き込みをしてくれたことがある。その書き込みの後は、それこそ世界中から、連日、ラーメン屋さん開業にあたってのアドバイスを求めるメールが後を絶たなかったという。

 弟子入り希望者はいつでも歓迎らしいので、「もしかしたらクリス氏の店が、世界中からラーメンの作り方を学ぶ“武者修行”希望者のメッカになる日も来るかも知れないな」と、話を聞いて思ったりもしたのだが・・・よくよく話を聞いてみると、問い合わせをしてくる人の大多数が、実際にはインスタント以外のラーメンを食べたことがなく、クリス氏がラーメン店経営の実態を説明するとスゴスゴと断念してしまうらしい。

 ともあれ、クリス氏のアメリカでの成功を期待したい。

(小関 敦之)

【Tan×2 Peking】
住  所 神奈川県横須賀市大津町5-3-25
電  話 046-823-9989
営業時間 平日 11:30〜15:00、17:30〜0:00
     土日 11:30〜0:00
定 休 日 月曜

※「超らーめんナビ」iモード版についてのお知らせ
 EZweb、J-sky(現Vodafone live!)に続き、9月16日からiモードでも「超らーめんナビ」がご利用いただけるようになりました。iモードにつきましては、このコーナーで執筆していただいています、大崎さん、武内さん、河田さんをはじめとするラーメン界の達人8名にプロデュースをお願いしました。ぜひお試しください(「超らーめんナビ」編集部)。


「超らーめんナビ」
 株式会社エディアが運営する携帯電話向けのラーメン情報サイト。iモード(メニューリスト⇒グルメ情報⇒超らーめんナビ)、Ezweb(トップメニュー⇒生活情報を調べる⇒グルメ⇒超らーめんナビ)、Vodafone live!(J-スカイメイン⇒メニュー更新⇒Vodafone live!⇒メニューリスト⇒生活情報・公共⇒グルメ⇒超らーめんナビ)の公式サイト。位置情報付データで全国のラーメン情報を紹介するほか、掲示板ではラーメン好きの人のためのコミュニケーションで連日盛り上がりを見せている。
エディアのWebサイトへ


=読者からのコメント=

■米国の東海岸でも、西海岸でも、日本式のラーメンを食べる米国人は沢山いますが、そのスープの味に引かれてリピーターになる人が結構いる筈です。この方々が必ずしも、純日本式のスープを好むものでもないが。

クリス氏が習ったのが、中華料理屋なので、さっぱりベースのスープというが、やはり日本で人気のスープ味をじっく研究した上で、自分独自のスープ味を作って欲しい。
たまた習ったのが、サッパリ系だからといって、それをそのままにしておくのでは、研究不足の謗りも免れない、と私は思います。
(ガンプ:--:BB)

■外国人ラーメン武者修行を読んで、とある方から聞いたラーメン好きのドイツ人のことを思い出しました。宮崎在住のこのお方、ご縁があって21歳のドイツ人青年を2ヶ月間ホームステイさせていたそうですが、ラーメンが旨い旨いと、ラーメンあれば他に何もいらないというラーメン狂い!?で、挙句にはドイツでラーメン屋を開業しRichになるんだ! と大志を抱いてワーホリで日本を巡っているんだとか…。動機は何であれ、ラーメン屋開業を目指す同士としては「好きこそ物の上手なれ」で是非夢を実現してもらいたいものです。
 もちろん筆者主宰のHP“World Ramen.net”もちゃんと紹介しておきました。
(戸崎誠:43歳:会社員)


小関 敦之

1965年生まれ。早稲田大学教育学部卒・米国イリノイ大学MBA。銀行系シンクタンク勤務を経て、現在、大手広告代理店のマーケティング部門勤務。新商品開発・コミュニケ−ション戦略の立案などを通じ、食品・飲料メーカーのブレーンとして暗躍中。生来の"美味いモノ好き"で、オフィス近くにある築地市場を食卓代わりに完全掌握。2003年4月TV東京TVチャンピオン築地王選手権で、並居る強豪をぶっちぎって優勝。初代築地王となる。
 日々の築地的美食生活をつづったホームページ「Web 築地市場を食べつくせ!」の日記コーナーは、3万以上の登録がある日記リンクサイト"日記才人"で、常にアクセス数上位にランクされる人気。ラーメンに関しては、英語で唯一の総合ラーメン情報サイト「WorldRamen.net」を主宰し、日常的に海外ラーメン事情のウオッチ。この分野では、他の追随を許さない絶対的第一人者。
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■[2004/3/9]
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