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ラーメンは文化だ!
プロフィール
“サムライ・ラーメンシェフ”奮闘記

2003/10/14

 外務省発表の「在留邦人総数の国・都市」ランキングによると、海外で日本人の多い国はアメリカが31万6000人弱でダントツのトップ。次いで、ブラジル、中国、イギリスと続く。都市別では、ニューヨーク、ロサンゼルス、香港、ロンドンの順で、14位のサンフランシスコまで、1万人以上の日本人が暮らしており、これらの街にはそれぞれ複数のラーメン専門屋がある。

 国や都市によって多少の違いはあるが、海外ではラーメンはまだまだ現地の人に日常的に食べられている訳ではないので、在留邦人はお店にとって重要なお客さんである。そのため日本人の多い街ほどラーメン屋が多いという図式は合点がいく。

 しかし、中には例外もある。在留邦人数2位のブラジルには戦前・戦後多くの日本人が豊かさを求めて渡っていった。最大都市のサンパウロには、昭和30年代の日本にタイムスリップしたかのような街並みの世界最大の日本人街もあり、1万6000人以上の日本人が暮らしている。

サンパウロの街並み
 実はこのサンパウロには、最近までラーメン専門店は一軒もなかったのだが、ようやく2000年10月、ある日本人ビジネスマンの手によって、待望のラーメン屋さんが誕生した。お店の名前は「あすか」。ご主人は在ブラジル歴が25年を超える伊藤武氏。

 伊藤氏は某電機メーカーの現地法人で社長を務めた後、一念発起してそのままブラジルでラーメン屋を始めた。ブラジルでラーメン店を始めた理由は、伊藤氏ご本人の弁によると「いい思いをさせてくれたブラジルへの恩返し」とのこと。

あすかの店内に飾られている額
 元々、飲食店の経験のなかった伊藤氏はラーメン店を始めるにあたって、いったん日本に帰国。ブラジルに本物のラーメンの味を伝えるため、日本のラーメン店で修行し、一からラーメン作りを身につけたというから、気合の入りようが半端ではなかった。

 ラーメンに適した小麦粉がなかなか見つからないなど、食材の確保には今でも苦労が絶えないようだが、努力の甲斐あって、伊藤氏の作るラーメンは現地の日本人および旅行者からも、なかなかの評判を獲得しているようである。

あすかの外観
 さて、「あすか」が“需要対応型”だとすれば、うって変わって在留日本人が4000人に満たない街で、日本人客をあてにせずに孤軍奮闘、現地のお客さんの舌とハートを虜にしている“需要創造型”の店もある。

 お店があるのはベルギーのブリュッセル。日本では今ひとつ馴染みが薄いが、ブリュッセルは住民一人当たりのレストラン数が世界一といわれる、知る人ぞ知る食通の町である。この街で唯一のラーメン屋が「やまと」である。

 シェフの稲垣祐二氏は日本のホテルでコックの修行をした後、知人の紹介で30年前にブリュッセルへ渡り、現地で和食レストランの料理人となる。“小さなパリ”とも呼ばれる美しい街・ブリュッセルに魅了された稲垣氏は、いつかこの地に自分の店をオープンすることを決意。十数年の時間(とき)を経て、1987年に念願のお店「やまと」を開店する。

 「やまと」のラーメンは醤油味と味噌味があり、いずれも評判が高いが、中でも人気なのがチャーシューの代わりにトンカツをのせた”みそかつラーメン”である。日本人のわれわれには“色モノ”にしか見えないが、そのボリューム感が受けてか、実にお客さんの9割を地元のベルギー人が占め、時には行列すらできる人気店となっている。

 評判の主はベルギー人だけではない。大体において海外のラーメン店に対する日本人の評判は芳しくない。ラーメン専門店自体が珍しく、食材の確保にもハンデのある海外で、日本の熾烈な競争を勝ち抜いたお店のラーメンに慣れた日本人の舌を満足させるのは容易なことではない。

 従って、評判が芳しくなくても何ら不思議なことではないのだが、こと「やまと」のラーメンに関しては、現地で実際に食べた日本人からも賞賛の声以外聞いたことがない。それどころか、休みの日ともなれば数百キロの道のりもなんのその、隣国からも日本人駐在員が嬉々として殺到するというから驚きである。

 今回ご紹介した2軒以外にも、週末のカフェに屋台を持ち込みラーメンを振舞うベルリンの「Cocolo」や、アメリカに住む日本人に徳島ラーメンを認知させるためにシリコンバレーでお店を始めた「徳島ラーメン」など、ラーメン好きなら聞くだけでワクワクしてしまうような活躍をされている“サムライ・ラーメンシェフ”達が世界中で活躍している。

 残念なことに、いまだそれらの店のほとんどに訪れる機会には恵まれていないのだが、いつか世界一周の航空券を握りしめ、彼ら“サムライ・ラーメンシェフ”達のお店を訪ね歩くのが夢である。いつになるかは自分自身すらまったく想像さえもつかないが、夢実現の日までお店を続けていてもらえるよう、海外で活躍されている“サムライ・ラーメンシェフ”達には心よりエールを送らせていただきたいと思う。
(小関 敦之)

【あすか】
住  所 :Rua Galvao Bueno, 466 ? Liberdade Sao Paulo SP
電  話 : 11-3277-9682
営業時間 : 11:00-14:00, 18:00-22:00
休 業 日 : 月

【やまと】
住  所 : Rue Francart11, Bruxelles
電  話 : 32-02-5022893
営業時間 : 12:00〜14:00、19:00〜22:00
        (土曜日18:00〜21:30)
休 業 日  : 日、月、木の昼 (夏季冬季休みあり)

※「超らーめんナビ」iモード版についてのお知らせ
 EZweb、J-sky(現Vodafone live!)に続き、9月16日からiモードでも「超らーめんナビ」がご利用いただけるようになりました。iモードにつきましては、このコーナーで執筆していただいています、大崎さん、武内さん、河田さんをはじめとするラーメン界の達人8名にプロデュースをお願いしました。ぜひお試しください(「超らーめんナビ」編集部)。


「超らーめんナビ」
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エディアのWebサイトへ


=読者からのコメント=

■サンパウロの「あすか」にせよ、ブリュッセルの「やまと」にせよ、現地のポピュラーな料理と比較した、ラーメンの提供価格を教えてほしかった。美味しいにせよ、まずいにせよ、価格との兼ね合いで、やむを得ない場合もあるでしょう。
 「あすか」については、ラーメンに適した小麦粉云々、という苦労話が紹介されていますが、ではブリュッセルではどうなのでしょう。
 ラーメンという単一の商品の国際比較をなさっているのならば、都市は違えども、設問をそろえて、比較できるように、まとめるのがスジと思います。
(ガンプ:--:BB関連)

■世界各地のいろんなところで活躍している日本人がいることに感動を覚えました。
 日本人駐在員だけでなく現地の人に受け入れられているといのがうれしいですね。いや〜いい話だ。
 サンパウロやブリュッセルに行った際はぜひ、食べてみたいものです。情報をありがとうございます。
(霞町:35歳:建設会社のネットワーク管理者)


小関 敦之

1965年生まれ。早稲田大学教育学部卒・米国イリノイ大学MBA。銀行系シンクタンク勤務を経て、現在、大手広告代理店のマーケティング部門勤務。新商品開発・コミュニケ−ション戦略の立案などを通じ、食品・飲料メーカーのブレーンとして暗躍中。生来の"美味いモノ好き"で、オフィス近くにある築地市場を食卓代わりに完全掌握。2003年4月TV東京TVチャンピオン築地王選手権で、並居る強豪をぶっちぎって優勝。初代築地王となる。
 日々の築地的美食生活をつづったホームページ「Web 築地市場を食べつくせ!」の日記コーナーは、3万以上の登録がある日記リンクサイト"日記才人"で、常にアクセス数上位にランクされる人気。ラーメンに関しては、英語で唯一の総合ラーメン情報サイト「WorldRamen.net」を主宰し、日常的に海外ラーメン事情のウオッチ。この分野では、他の追随を許さない絶対的第一人者。
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■[2004/3/9]
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■[2004/3/2]
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■[2004/2/24]
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■[2004/1/27]
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