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ラーメンは文化だ!
プロフィール
アジア各国における日式ラーメンブームの裏側

2003/08/19

 今から3年前の2000年、台湾における日本のラーメンブームの噂をあちこちで耳にするようになった。幸いにして台北を訪れる機会に恵まれ、この目で確認したところ、あるわあるわ、街中いたるところに“ラーメン”の文字。聞くところによると、当時すでに台北市内だけでラーメン専門店は100店に迫る勢いで、ブームに乗って専門のガイドブックまで出版されていた。

海外のラーメンガイドブック
 その後調べを進めていくと、台湾だけでなく香港や中国など東アジア全体で、日本のラーメン(中国語圏では日式ラーメンという)店が増加しているのが確認できた。これらアジア諸国はもともと独自の麺文化を有しており、ラーメンを受け入れやすい素地があったことがラーメンブームの基礎となったようだ。

 さらに、今回のラーメンブームには日本から輸入され人気を博していた「トレンディドラマ」の影響が大きかったと言われている。

 確かに、90年代半ば以降に作られたトレンディドラマでは、“ロングバケーション”にしても“ビューティフルライフ”にしても、ラーメンを食べるシーンがやたらと多い。アジア諸国でこれらのドラマを目にした人々にしてみれば、憧れのキムタクや山口智子らが嬉々として口にしている丼の中身に、興味を掻き立てられても無理からぬところだったのであろう。

間違いだらけのラーメン認識

 それでは、アジア以外でのラーメンの人気はどうか? 試しにGoogle(英語版)で“Ramen”を検索してみると、42万件以上がヒット。中には、”The Official Ramen Home Page”を謳うページもあり、期待して覗いてみると、中身は全編に渡ってインスタントラーメンの麺を使った奇妙奇天烈なレシピのオンパレード。 

文化を感じる正統派ラーメン(萬金)
 “The Book of Ramen”という御大層なタイトルの本も中身は似たり寄ったりで、“Noodle Gaspacho”や”Chili Con Ramen”などスープに入った麺料理の形態を保っていれば、まだいい方で、中には“ラーメンラザニア”や“肉詰めピーマン”の具の代わりにラーメンをピーマンに詰め込む、ラーメンに対する冒涜というべき凄まじいレシピが堂々と披露されている。

 この惨状を見る限り、言葉としては伝番していても、ラーメンが文化として正しく認識されていないことは明らかであろう。そこで、Cook's Thesaurusと言う世界中の食材を集め、解説しているサイトで改めて“Ramen”の項を確認すると、ご丁寧にもインスタントラーメンの麺のイラスト付で以下のような説明がつけられている。

 「日本人サラリーマン及びアメリカの大学生の主食。主にスープやサラダに使われる。インスタントラーメンの麺の塊は、使っても捨てても良い調味料の袋と一緒にセロファンのパッケージに入って、大抵のスーパーマーケットで手に入る。麺は通常乾燥前に油で揚げられるため、油分が多い。調理時間は2分から3分。」(筆者訳)

 ここでは、ラーメンが「インスタントに調理できる麺である」と断言している半面、料理名そのものであるとの言及は一切ない。先ほど紹介したおぞましいラーメン料理のレシピの数々は、この「ラーメン=インスタントに調理できる麺の塊」という誤解に基づいているといっても間違いではなさそうである。

 実は、ラーメンに対する誤解はこの程度ではすまない。数々ある誤解の中で、特に興味深いのは、セロファンの袋(又はカップ)に入っているインスタントの麺モノは全てラーメンだと思っていることであろう。

 台湾の牛肉麺であろうが、ベトナムのフォーであろうが、全て十把一絡(じっぱひとから)げ。中には“うどんラーメン”なる我々が聞いたら「ハァ〜??」なるものや、ソース焼そばを汁そば風に調理した食後レポートまでを紹介しているWebページまであったりするので、笑いを誘うとともに、驚愕の念を禁じえない。

評判の悪い海外のラーメン屋さん

 かように「ラーメンといえばインスタントの麺を意味する」と言うのが、アジア以外の世界の常識であるが、日本人居住者や観光客の多い欧米諸国の都市には、ラーメンが食べられる店が少なからず存在する。

 現在確認が取れているだけで、その数300店弱。だが、それらの店を訪れた日本人からの評判は総じて芳しくない。専門店だけで数万軒あるといわれている日本で磨かれた舌を満足させるラーメンを、海外でも期待する方がそもそも間違いであるのだが、それ以上に海外のラーメン屋さんが背負っているハンデは我々が想像するよりずっと大きい。

 その際たるものが、ローカライズ。ビジネスとしての展開である以上、現地で受け入れられる味、すなわち現地人の好みに合わせた味にせざるをえず、結果として、日本人の口に合わない味付けになってしまっているケースが多数見受けられる。その他にも、製麺屋がないため自分の思う麺が使えない、出汁材の確保がままならないなど、海外で展開するラーメン屋さんに関しては同情の余地は大きく、一概にダメと決め付けることはできない。

 一方で、海外におけるラーメンの評判を決定的に貶めている存在がいる。主にアジア系の経営者が展開する、メニュー名だけのイミテーションラーメンである。彼らの作るラーメンといったら、美味い不味いを論じる以前に、食べ物であるかさえも疑わしいシロモノである。

 ラーメンの話から外れて恐縮だが、昔、自分が住んでいたアメリカの田舎町に、ある日、日本料理屋ができた。それまで、アメリカ飯の単調な味に辟易していたためモロ手を挙げて歓迎した。

 NYで日本料理屋を営んでいたときにスピルバーグもお気に入りだったという触れ込みの韓国人がつくる“Udong(うどん)”たるや、そもそも出汁をとること自体を知っているのかと疑いたくなるような、野菜のゆで汁に塩で味付けしたようのような薄〜い汁に、グニャングニャンに茹でられた小麦粉の固まりを浮かべた、思い出すことすら躊躇されるような凄まじいモノであった(そういえば、具には生のピーマンやにんじんが豪勢に使われていた)。

 このような食べ物としての成立していない「なんちゃって日本料理」に海外でお目にかかった人は決して少なくないと思うが、あの不味さの根源に、なんでもかんでも見様見真似でコピーすることに罪悪感を持たない一部アジア人の悪癖があることは見逃せない。

 比較的少ない食材で成立するうどんですらあの有様なのだから、出汁材が多く調理工程が複雑なラーメンを、予備知識もなくちゃんと作れるはずはなく、“Oh, My God!”なイミテーションがラーメンの名の元に全世界的に広められていることは想像に難くない。

“ラーメン”を世界に誇るために

 ラーメンが日本で誕生してほぼ百年。これまで述べてきたとおり、“Ramen”という言葉自体はインスタントラーメンを媒体として、広く世界に広まったが、一方で大いなる誤解を生まれるがまま放置してきたのが現状である。実は、海外に向けてラーメンをキチンと紹介した本さえないのである。

 私のところには海外から、「ラーメン屋を開きたいがシェフを紹介して欲しい」、「ラーメンの作り方を学びたいが日本語はできないので英語で学べるところを紹介して欲しい」などの問い合わせが連日のように舞い込んでくる。

 日本が世界に誇る文化、ラーメンの一段の発展ためには、海外からの人材受け入れが可能なラーメン職人の育成機関や、ラーメンの魅力を正しく伝える海外向け情報発信が必要な時期に差し掛かっている。

(小関 敦之)

「超らーめんナビ」
 株式会社エディアが運営する携帯電話向けのラーメン情報サイト。Ezweb(トップメニュー⇒生活情報を調べる⇒グルメ⇒超らーめんナビ)、J-SKY(J-skyメイン⇒グルメ・ショッピング⇒グルメ⇒超らーめんナビ)の公式サイト。位置情報付データで全国のラーメン情報を紹介するほか、掲示板ではラーメン好きの人のためのコミュニケーションで連日盛り上がりを見せている。
エディアのWebサイトへ


=読者からのコメント=

■書かれていること一つ一つに納得。ことはラーメン、日本料理に限らず、比較文化論的としてもすばらしい文章だと思います。もっと正しい日本文化をきちんと伝えるための努力をするべきではないかと思いました。
(binfuji:49歳:コンサルティング会社経営)

■海外のラーメンの味ですが、数年前出張で行ったマニラ(フィリピン)の「新宿ラーメン」はまあまあだったと思います(日本の下手なラーメン屋より美味しい)。出張期間中(最長40日)ほとんど毎日夕食に利用しました。また、「一本槍」「ラーメン亭」もまあまあだったと記憶しています。値段も日本並みでした。
(ますパパ:45歳:製造業技術職)

■このことに限らないのでしょうが、日本人の発信能力が問われているのでしょうね。お高くとまった能や狂言みたいな物を説明できることも必要なのかもしれませんが、それよりも先にラーメンや流行のTV番組のような生きた文化も説明できるようになりたいものです。
 それの裏返しで、普段ワインを誉めそやしているくせに、ニューヨークで流行したSakeだよと言われた途端にその日本酒銘柄を認めてしまうなんていうみっともなさもなくしたいものです。
(榎本和泉守:37歳:営業)

■まあ、日本でも「インド人もびっくりの、インドカレー。牛肉100%!!!」なんて実話もありますけどね。とはいうものの、アメリカの複数の都市で食べた日本料理店の「とりの照り焼き」は、いずれもまともなタレではなく、でんぷんでとろみを付けたなにやら甘辛い「あん」がかかっているだけで、まともに焼いてあるようには見えなかったり(焼き色が全くない)、ラーメンも、なんだか違うというものがいっぱいでしたが。
(無記入:39歳:電子技術者)

■米国でも最近になってようやくラーメン専門店の進出が実現していますが、自分が住んでいた当時(7年程前)は日本食メニューの一つとして片手間的に取り扱うお店が多く、そのような環境ではなかなか我々が知り得るラーメン文化の奥深いところまでは伝承されづらかったのかと思います。
 今日TVでベルギーの「やまと」というラーメン専門店のことが紹介されていましたが、違和感無く極自然にベルギーの人たちに受入れられておりました。
 連日地元の方の行列が絶えないその影には、チャーシューの代わりにトンカツをのせたり、クレソンを添えて清涼感を出すなど、ベルギーの方の嗜好を考え、いろいろとアレンジ(工夫)をされている店主のご苦労を感じました。しかしこうした努力が現在この「やまと」に通うベルギー人たちに日本人と同等の「ラーメン」に対する価値観を育んだのだろうと思えてなりません。
 この番組を見た後、「ものをよりおいしく食べたい」という願望がその土地の食文化の気風にあるとすれば、本物を正確に伝えることで外国にも必ずやお国自慢のラーメンが生まれるものと強く感じました。
(戸崎誠:42歳:工業用計測器メーカ勤務)


小関 敦之

小関 敦之  1965年生まれ。早稲田大学教育学部卒・米国イリノイ大学MBA。銀行系シンクタンク勤務を経て、現在、大手広告代理店のマーケティング部門勤務。新商品開発・コミュニケ−ション戦略の立案などを通じ、食品・飲料メーカーのブレーンとして暗躍中。生来の“美味いモノ好き”で、オフィス近くにある築地市場を食卓代わりに完全掌握。2003年4月、TV東京TVチャンピオン築地王選手権で、並居る強豪をぶっちぎって優勝。初代築地王となる。日々の築地的美食生活を綴ったホームページWeb 築地市場を食べつくせ!の日記コーナーは、2万数千の登録がある日記リンクサイト“日記才人”で、常にアクセス数上位にランクされる人気。ラーメンに関しては、英語で唯一の総合ラーメン情報サイトWorldRamen.netを主宰し、日常的に海外ラーメン事情のウオッチ。この分野では、他の追随を許さない絶対的第一人者。
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