1994年にオープンした新横浜ラーメン博物館の館内コンセプトは、昭和33年の町並みであった。このことはラ博の成功要因の一つであり、ラーメン界に与えた影響は大きかった。それ以来、懐かしさを感じさせる内装が流行するようになった。
懐かしくて新しい内装の流行
「くじら軒」「笑の家」「唐そば」「吉吉」など。これらの内装の共通点は“懐かしくも新しい”である。
「キリン食堂」は、お店の外観や店内には昔懐かしい(私でもわからないくらい古い)映画のポスターが貼られてる。ポスターや看板は昭和30年代の物。トイレには日劇ミュージックホールのポスターなども(変わったかもしれません)。水差しは金色のヤカン、店内にあるテレビは白黒で放送されている。
雰囲気だけでも楽しいが、ラーメンも抜群。醤油は和歌山の再仕込み湯浅醤油を使用、塩はクリスマス島の海塩。中華ソバは濃い醤油色で、潮ソバは塩ラーメンのこと。それぞれ麺も違う。奥にはテーブル席もあり、いろんなものを頼んでワイワイできるというのもこのスペースならではといえる。
斬新な空間で新しいターゲットの獲得
21世紀になり、「懐かしさ」の潮流は一段落したようである。そして、登場したのが、女性客をターゲットにした、今までのイメージを一新させるような斬新な内装。
相変わらず行列が絶えない池袋東口の人気店「光麺」。1996年に西口に開店した池袋の「光麺」は、中心ターゲットを女性に求めた走り的存在の店でもある。内装や接客、メニューやロゴマークなどにおいて、既存のラーメン店からは考えにくかったスタイルにイメージ転換を図った。
気鋭の新感覚デザイナーである橋本夕紀夫氏がデザインした店内は、まず、入り口を入っただけで驚く。目の前、店内中央には1階と2階をつなぐ透明なエレベーターがあり、これは、1階で調理されたものを2階へ運ぶためのものである。1階も2階もカウンター中心ではあるが、2階にはわずかながら、流行りの“個室”もある。なにかと圧倒されそうな雰囲気だ。ラーメンもこうした空間で食べるような時代になったのである。
デザートに杏仁豆腐やプリンを用意し、内装とデザートで女性客の動員に成功した。それが功を奏し、注目され、大行列店となっていったのである。さらに、そのスタイルを継承した新規開店が相次いだ。
“ラーメンカフェ”を標榜した「MATCH-BO」は、一見、ラーメン店には思えないモダンアートな空間。イタリアンレストランのような外観で男一人がふらっと入るには、気が引けるほどのものだった。
夜は各フロアがライティングされ、さらに雰囲気がアップする。1階はむき出しのコンクリートで無機質な感じ、3階は壁に和紙を使った温かいイメージ。おしゃれなコスチュームに身を包んだ若い店員がきびきびと動き、壁面には大型のプロジェクターでMTVが流れてまさに女性好みの空間。
和歌山ラーメンの名店でありながら、ジャンルにこだわらない創作料理を提供するダイニング空間との融合がおもしろい。選び抜いた地酒、地焼酎、泡盛とともに楽しめる創作メニューやデザート、飲み物が充実している。
2001年に開店した「ZUND-BAR」は、26歳の『ラーメン界、若き天才』と言われている「中村屋」店主、中村さんが手掛けた異空間ラーメン店。最寄り駅が本厚木とそれだけでも都内からは遠いのに、さらにそこからバスで30分、バス停から約10分歩いてやっとたどり着くような場所であるにもかかわらず、土日ともなれば100人以上の待ち人を作る店である(この店は名前を書いて待つシステムなので“行列”はない)。
外観は秘境の温泉地にしっとり馴染んでいる。しかし、店内に入るとびっくり。銀を基調にした近未来的な内装なのである。さらに、丼までもが銀のステンレス。「中村屋」においても、高座渋谷という都内の人には耳慣れない駅名を一躍有名にしてしまうほどの人気店。その実績を「ZUND-BAR」でも活かし、ベースのスープは同じでも「食べる環境によって、味覚は変化する」というのを体感できる。
(大崎 裕史)
■キリン食堂
神奈川県相模原市星が丘2-1-3 TEL042-754-4541
11:30〜翌2:00 (日・祝は12:00〜翌2:00) 無休
■光麺 池袋西口店
東京都豊島区西池袋1-22-6 TEL03-5911-7688
11:00〜翌5:00 無休
■MATCH-BO 池尻本店
東京都世田谷区池尻3-23-3 TEL03-3419-2446
11:00〜翌4:00 無休
■ZUND-BAR
神奈川県厚木市七沢1954-7 TEL046-250-0123
11:00〜15:00、17:00〜20:00(15:00〜17:00はティータイム)
水曜、第2・4木曜休
「超らーめんナビ」
株式会社エディアが運営する携帯電話向けのラーメン情報サイト。Ezweb(トップメニュー⇒生活情報を調べる⇒グルメ⇒超らーめんナビ)、J-SKY(J-skyメイン⇒グルメ・ショッピング⇒グルメ⇒超らーめんナビ)の公式サイト。位置情報付データで全国のラーメン情報を紹介するほか、掲示板ではラーメン好きの人のためのコミュニケーションで連日盛り上がりを見せている。
■エディアのWebサイトへ
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■ラーメンは店さえもなんでもありですね。札幌・狸小路にある山岡屋は、商店街のど真ん中にあるのに周囲30mに濃いスープの匂いを漂わせています。なかに入るといかにも味もそっけもない、少々くたびれたラーメン屋です。個人的にはこういう店のほうが落ち着けます。
(snark:39:無記入)
■味での勝負では差別化できなくなってしまったような気がします。結局究極の味を求めると、みんな同じ味にたどり着く。そういった状況下での差別化といえば空間をいじってみたり、設置物をいじってみたりという事になるんでしょうね。味に個性が消えつつあるのはさびしいことだと思います
(ば〜どまん:28:へっぽこ通信業)
■新横浜のラーメン博物館は、数年前に2回ほど行ったことがあります。どこかの路地裏のようなコンクリート製の壁面に一度張り紙をして、それをわざと雑に剥ぎ取って、下町のちょっと汚れた路地を作ってみたり、街頭テレビがあって、その下でラムネを売っていたり、どこから見つけてきたのか旧式の赤電話があったり・・・ 『昭和30年代の夕方の町並み』をよく作ったものだと、当時感心した記憶があります。「ラーメンのある風景」というのは庶民の世界なわけで、昭和三十年代を模した作りで一つのテーマパークにしたというのは、かなり画期的なアイデアだったのではないでしょうか。
(わたしも中年:無記入:電子技術者)
■おしゃれな外観として,本文中に紹介されている「吉吉」ですが,近頃閉店してしまったようです。ちょっと前まですごい行列だったのですが,味・サービスなどが伴わないと,良い外観といえども閉店に追いこまれてしまうという,外食店の厳しさを垣間見ました。ゆえに「味での勝負では差別化できない」とは言いきれない部分があると思うのですが。。。
(COUSCOUS:27:研究者)