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ラーメンは文化だ!
プロフィール
ラーメン業界激震の名古屋にひっそりと店を出した旭川の名店

2003/07/29

 今、名古屋のラーメンシーンが激動している。先行する麺文化がある地域にはラーメン文化は育ちにくいという定説。うどん文化圏の大阪や高松などが代表的な例。きしめんや味噌煮込みうどんなどが定着している名古屋もまたしかりであった。しかし、ラーメンブームもピークを迎えていたここ数年、日本中にラーメン店は増え続け、少しずつではあるが独自のラーメン文化が芽生えてきている地域も現れている。

 かつては名古屋のラーメンというと「寿がきや」というチェーン店のライトトンコツラーメンを思い浮かべる人が圧倒的に多かった。続いて「台湾ラーメン」というネーミングの激辛ラーメンが(台湾にあるラーメンではなく名古屋で生まれたもの)ご当地ラーメンとは言えないものの、名古屋の「地ラーメン」という感じで広がっていった。

 そのほか、千種の「好来」から広がっていった薬膳系ラーメンなども名古屋のラーメン勢力分布図の中に名を連ねた。そして最近は萱場の「三吉」から枝分かれしていった無化調系(化学調味料を一切使わない)のラーメンも着々と増えている。もともと札幌ラーメン、博多ラーメンはもちろんのこと、近県の飛騨高山ラーメンやら京都ラーメンなど、各地のご当地ラーメンも名古屋に広がりつつあった。そんな名古屋に、ここ数年、ご当地ラーメンやご当人ラーメンの有名処が旗を上げ始めている。

 博多「一風堂」、北海道「むつみ屋」等のチェーン展開や、池袋「大勝軒」ののれん分け店、藤沢「支那そばや」佐野実氏直伝の味「支那そばや大黒」など蒼々たる顔ぶれがあっという間に名前を連ねていた。さらには博多「一風堂」社長の河原成美氏がJR名古屋駅構内に「駅麺通り」というご当地ラーメン六店舗の集合体をプロデュースして大きな話題を呼び大行列を巻き起こしている。今まさに名古屋のラーメン業界は激震の状態となっている。

 そんな中で地味だが確実に実力を持っているご当地ラーメンの店が今年の4月に静かに名東区にオープンした。旭川ラーメンの「蔦亭」がその店である。茶色く濁ったトンコツ醤油味で鰺の丸干しなど魚の風味が加わるいわゆるスタンダードな旭川ラーメンの範疇に入る味わい。しかし、極力自然な食材を吟味して使い、火加減を調整しながらスープを採る料理性の高い手法は、最近流行のご当人ラーメンと呼ばれるスタンスそのものである。

 私は以前から、ご当地の中のご当人ラーメンということで、「蔦亭」には注目していた。本店は旭川駅からちょっと離れた、川村アイヌ記念館の敷地内に立地している。店名の通り蔦の絡まる外壁を横目に店内に入ると喫茶店風のお洒落で落ち着いた造りの中に、ビートルズグッズがちりばめられている。ご主人の加藤暢彦氏は予想に違わぬ熱烈なビートルズファン。味造りも店作りもご主人の顔(魂)が見える、ラーメン好きの心にグッとくる店であった。

 そんな店が名古屋に進出するという噂を聞き、味を優先するなら麺の輸送の問題もあるし、店舗を増やすと、ご主人の顔が見えにくくなってしまうということで私は少なからず不安視していた。名古屋は名東区の郊外に立地し、蔦は絡まっていないものの旭川同様、見た目もちょっとお洒落な建物。店内もラーメン店というよりは、ちょっと気のきいた隠れ家レストランといった雰囲気。

 さて、気になる味はというと旭川で頂いた時と同様、ピュアな食材の自然な旨みを感じるご当人系旭川ラーメン。標準的な旭川ラーメンよりは味けも脂も控えめでインパクトはないかもしれないが、奥ゆかしい控えめな旨みがスープを啜るごとに増してくる。

 問題の麺は、本店では旭川の老舗である加藤ラーメンのものを使っているのに対して、地元の製麺屋にレシピ発注しているという。加藤ラーメンの水分の少ない粉の旨みを活かした麺は名古屋では出来ないのではないかと思いきや、それほど違いが気にならないくらいにうまく再現している。水分が少ないからスープが麺に良く染み込むし、縮れているから麺にスープが良く絡む。麺とスープの調和という点では、旭川の麺は非常に理にかなっている。

 具はチャーシュー、メンマにノリとネギというシンプルなスタイル。しかし、チャーシューは肩ロースを使用し、肉の旨みが逃げない程度に仕上げている。メンマは乾燥物を数日掛けて水で戻しており、繊維質を残して軟らかい歯ざわりで、塩抜きしただけのものや市販のものとは全く出来が違う代物である。メンマなんてラーメンのパーツの中では最も脚光を浴びないものの一つだが、そんなものにまで力を入れている店は信頼出来る。

 聞けば、店主の加藤氏は元々名古屋の出身で、この場所で商売をしていた、お兄さんが先日なくなったとのこと。兄の面影と志を忘れないために旭川の店はお弟子さんにまかせて、自ら名古屋に戻ってきた加藤氏。真面目に地道に名古屋にその味と魂を根付かせられるよう応援したい店である。

(武内 伸)

■蔦亭 名古屋店
名古屋市名東区猪子石原1-1401 TEL052-779-2282
11時〜14時30分、17時〜22時 火曜休(8月は無休)


「超らーめんナビ」
 株式会社エディアが運営する携帯電話向けのラーメン情報サイト。Ezweb(トップメニュー⇒生活情報を調べる⇒グルメ⇒超らーめんナビ)、J-SKY(J-skyメイン⇒グルメ・ショッピング⇒グルメ⇒超らーめんナビ)の公式サイト。位置情報付データで全国のラーメン情報を紹介するほか、掲示板ではラーメン好きの人のためのコミュニケーションで連日盛り上がりを見せている。
エディアのWebサイトへ


=読者からのコメント=

■で おいしいの?
(シュウ:31:IT関係)

■ラーメンと卵のことなら徳島ラーメンがおもしろいですね。スープの中に生卵がポチャンと入ってるのが標準みたい。食べるときまず卵をよけてストレートで食べて後半、卵をまぜて食べます。濃いスープが生卵とよく合います。スープ自体は和歌山ラーメンと驚くほど似ていますが生卵と豚バラ肉が独特です。徳島ラーメンは卵抜きでは考えれないほどマッチしてます。
(てら:45:ネットワークエンジニア)

■大勝軒は終わってる。
 ご主人が病院へ行く前までは良かったが今ではのびたラーメンを出されてはたまったもんじゃない。
 Simple is Bestで最近美味しかったラーメンといえば佐賀ラーメンでしょ。 本当に美味しい東京醤油ラーメンは皆無に近くなってきたね〜さすがに化学調味料をバンバン使うような食べるとしたがちょっとしびれるラーメンは減ってきたけどね
(シュウ:31歳:IT関係)


武内 伸

 有限会社ラーメン総合研究所所長。麻布高校在学中、ラーメンに目覚めメモをつけ始め、その数25年間で3165軒、5779杯。日本大学理工学部卒業後建設会社に勤め、1991年TV東京TVチャンピオン第二代ラーメン王となる。1995年11月に新横浜ラーメン博物館に入社。広報担当としてテレビ出演、執筆活動などを通じてラーメンの魅力を世に広める。2003年2月新横浜ラーメン博物館を退社。2003年5月に有限会社ラーメン総合研究所を設立して現る在に至る。集英社OH!スーパージャンプの連載漫画「ラーメン人物伝'一杯の魂'」の原作を担当。単行本第一巻も発売中。8月18日発売号より第二章に突入。第一話は「春木屋」の巻。その他少年チャンピオン「虹色ラーメン」の製作協力。東急沿線ケーブルテレビのイッツコムで「イッツ365武内伸のラーメン百景」レギュラー出演など執筆・出演等を現在も行っている。
バックナンバー
■[2004/4/27]
・「おばあちゃん生き甲斐系の店」

■[2004/4/20]
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■[2004/4/13]
・「期間限定メニューの効果」

■[2004/4/6]
・鶏ガラスープの時代は来るか

■[2004/3/30]
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■[2004/3/23]
・いま栃木のラーメンが面白い!

■[2004/3/16]
・ラーメン店のブランド戦略

■[2004/3/9]
・「古い店をもっと愛して」

■[2004/3/2]
・ラーメン店 修業すべきか?独学か?

■[2004/2/24]
・「ご当地ラーメンと町おこしラーメン」

■[2004/2/17]
・二郎インスパイア系の出現

■[2004/2/10]
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■[2004/2/3]
・2大国民食の狭間に:カレーラーメン

■[2004/1/27]
・ハワイ ラーメン事情

■[2004/1/20]
・カップ麺プロデュース体験記

■[2004/1/13]
・「ラーメン名店に名サイドメニューあり」

■[2004/1/6]
・2003年ラーメン界の動向

■[2003/12/22]
・2003年ラーメン業界を振り返って

■[2003/12/16]
・「浪花麺だらけ」の裏事情

■[2003/12/9]
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■[2003/12/2]
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■[2003/11/25]
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■[2003/11/18]
・進化する函館ラーメン

■[2003/11/11]
・外国人ラーメン武者修業者歓迎!

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■[2003/10/28]
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