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ラーメンは文化だ!
プロフィール
ラーメン新時代

2003/07/01

はじめに

 携帯電話の情報サイトでラーメンサイト「超らーめんナビ」を立ち上げてから、5年が経とうとしている。きっかけはラーメン好きな友人の、趣味で集めたラーメン情報を使って何かできないかという軽い誘いからなのだが、反応は想像以上だった。

 ラーメンサイトの運営をしているという話をすると、ほとんどの人が目を輝かせて、自分のお気に入りの店や、自分がいかにラーメンが好きであるかを語りだす。これには本当に驚いた。掲示板での大論争はいつものことだ。

 この仕事に携わってから、ラーメンに情熱をかけるたくさんの方に出会うことができた。彼らの口からラーメンを語るとき、一杯のラーメンに奥深さを感じずにはいられない。

 この連載では「ラーメンの達人」と言われる方々にラーメンの魅力について存分に語ってもらうことで、「ラーメン」たるものを今まで以上に堪能していただけることを期待している。

(「超らーめんナビ」企画 稲垣 麻里子)

ラーメン新時代

 ラーメンが日本に登場してから、ほぼ百年。当然、百年もの年月があればラーメンも変わる。ただ、日本のラーメン史上で一番大きな異変があったとすれば、それは1996年。

 1996年は、ラーメン界にとってラーメンルネッサンスと呼んでもいいぐらい大きな河を渡った年といってもよい。 

 ラーメンの歴史が百年ともなれば、創業50年以上の老舗も全国に多数存在する。そして、各地のご当地ラーメンは、そうした “老舗”を目標にあるいは、参考にして味を形成していった。“老舗”になるためには、それなりの年数と実績及びお客様の信頼が必要であった。

 しかし、 ここ数年の首都圏における“目指される店”はまだ創業して10年にもならない店が多い。代表的なところでは「麺屋武蔵」「青葉」「くじら軒」。まったくの偶然であるが、この3軒は1996年の創業で私は勝手に1996年組、と呼んでいる。

 3軒に共通することは、昔から日本人が好んでいた醤油と煮干しという2つの材料を活かし、それでいて新しい味を生み出したことである。かといって、極端に新しい味ではない。若い人にも年輩の方にも受け入れられる、いわば伝統の味と新しい発想の融合である。

 この3軒の店主はラーメン店での修行経験なしで店を始めた。だからこそ、固定概念にとらわれず、今までにない斬新な発想ができたといえる。レールから敢えて踏み外すことで新しい道を作り始めたのだ。

 「武蔵」は、サンマの煮干しをウリの一つにし、無化調・BGMにJAZZ・期間限定麺・おしゃれで綺麗な店内・元気の良さなどをラーメン業界に普及させていった。そのことによって、これまでのラーメンのステージ(ポジション)を上げるという役割を担った。

 「青葉」は、豚骨スープと魚ダシをブレンドすることで“Wスープ”という言葉を生み出し、こってり好きな若い人も和風が好きな年輩者も幅広く指示されるラーメンが完成した。Wスープ自体は決して新しい物ではない。

 「蜂屋」はそれを半世紀前からやっている。その素材の組み合わせのバランスが絶妙だったのであろう。創業から6年たった今、この「青葉」の味を目指すもしくは参考にしたお店が増えてきた。店で修行したわけではないので「青葉系」とは呼ばず、フリークの間では「青葉インスパイア系」と呼んでいる。

 「くじら軒」は、開店してまもなく行列店になった。その驚くべきは場所にある。これまで人気店というのは繁華街や交通の便がいいところが多かった。しかし、この「くじら軒」は、横浜市のセンター北駅という当時、駅前には何もなかった新興駅でしかも駅から徒歩10分くらいかかった。

 そういうところでも行列店ができる、という実績を作ったことは、後の「隠国」や「ZUND-BAR」 など、立地条件の悪さを克服して成功する店につながっていく。

 また店舗のコンセプトメーカーである「パシオ」とうまく組んだことで今後の「パシオ系」(パシオに店舗デザインなどを頼んだ店)という言葉の誕生にも寄与した。ラーメン店にもコンセプトが大事、というのを浸透させた。

 こうした先人の刺激を受けて、21世紀のラーメン界は20代の店主が続々誕生することになる。大学を出てラーメン店をやる、というのはあまり考えられなかったことだ。しかし、ラーメン店のポジションが上がったことによって、それが可能になってきたのではないかと思われる。

 20代のラーメン店主の代表は「中村屋」の中村氏。22歳で店を出し、大行列店を誕生させた。高座渋谷(神奈川県大和市)という都内の人には馴染みのない駅名すらも有名にしてしまったのである。

 化学調味料には一切頼らず、材料をたっぷり使って芳醇な味わいを出している。行列店になってもそれに甘えず、次から次へとアイデアを出し、工夫をし、改良し、より美味しいラーメンの提供を心掛けているのは素晴らしい。

 姉妹店である「ZUND-BAR」も開店し、凄い場所にありながら成功を収めている。この「若き天才」の出現により、ラーメン店を目指す20代の人に対して、大きな夢を与えているに違いない。

 現時点でも頑張っている20代店主(もしくは味を作った人)は何人かいる。「渡なべ」の渡辺氏、「はっち」(元「すっごいよ」の店長)高橋氏、「えにし」の角田氏など。

 まだまだここ数年は新しいラーメンの誕生を期待しても良さそうだ。

(大崎 裕史)

■「麺屋武蔵」新宿店
東京都新宿区西新宿7-2-6 TELl03-3796-4634  
11:30〜15:30、16:30〜21:30 日11:30〜16:00(麺切れ終了)  無休
■「青葉」中野本店
東京都中野区中野5-58-1 TEL03-3388-5552
10:30〜18:00頃(麺切れ終了) 木曜休
■「くじら軒」本店
神奈川県横浜市都筑区牛久保西1-2-10   TEL045-912-3384
12:00〜15:00、18:00〜21:00(スープ切れ終了)  月曜・金曜・第3火曜休


「超らーめんナビ」
 株式会社エディアが運営する携帯電話向けのラーメン情報サイト。Ezweb(トップメニュー⇒生活情報を調べる⇒グルメ⇒超らーめんナビ)、J-SKY(J-skyメイン⇒グルメ・ショッピング⇒グルメ⇒超らーめんナビ)の公式サイト。位置情報付データで全国のラーメン情報を紹介するほか、掲示板ではラーメン好きの人のためのコミュニケーションで連日盛り上がりを見せている。
エディアのWebサイトへ


=読者からのコメント=

福岡という街に生まれて、ラーメンといえば「とんこつ」という中で育ってきました。東京に来て、初めてラーメンにもイロイロ種類があるんだなーと実感。塩ラーメン、味噌ラーメン、醤油ラーメン‥
おいしいラーメンのこと、ここで聞けるのでしょうか? 楽しみです。
(ともみ:29:OL)


大崎 裕史

 1959年会津に生まれ。現在、広告代理店に勤務。2003年6月現在、全国の約5200軒9800杯のラーメンを食べ尽くしたという自称「日本一ラーメンを食べた男」。日本一のアクセス数を誇るラーメンサイト「東京のラーメン屋さん」「ラーメンバンク」を立ち上げ、「とらさん」の愛称でラーメン界の第一人者の一人として知られるようになる。オールアバウトジャパンのラーメン監修、出版分野でも「全国おいしいご当地ラーメン(竹書房)」のお店選定を担当、「東京のラーメン屋さんドットコム(JTB出版)」を監修、「無敵のラーメン論(講談社現代新書)」を執筆。テレビ番組ではNHK以外全キー局に100回以上出演。ラジオはTBS「サタデーウイズ」で準レギュラー。講談社の「東京一週間」では約5年に渡ってラーメンの連載を担当。「ラーメンビデオ」の企画監修担当し、進行に協力。他に多数の雑誌・新聞のコラムを執筆するなど幅広く活躍。
バックナンバー
■[2004/4/27]
・「おばあちゃん生き甲斐系の店」

■[2004/4/20]
・ラーメンフリークが作るラーメン店

■[2004/4/13]
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■[2004/4/6]
・鶏ガラスープの時代は来るか

■[2004/3/30]
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■[2004/3/23]
・いま栃木のラーメンが面白い!

■[2004/3/16]
・ラーメン店のブランド戦略

■[2004/3/9]
・「古い店をもっと愛して」

■[2004/3/2]
・ラーメン店 修業すべきか?独学か?

■[2004/2/24]
・「ご当地ラーメンと町おこしラーメン」

■[2004/2/17]
・二郎インスパイア系の出現

■[2004/2/10]
・「最強のラーメンファミリー〜丸長のれん会」

■[2004/2/3]
・2大国民食の狭間に:カレーラーメン

■[2004/1/27]
・ハワイ ラーメン事情

■[2004/1/20]
・カップ麺プロデュース体験記

■[2004/1/13]
・「ラーメン名店に名サイドメニューあり」

■[2004/1/6]
・2003年ラーメン界の動向

■[2003/12/22]
・2003年ラーメン業界を振り返って

■[2003/12/16]
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■[2003/12/9]
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■[2003/12/2]
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■[2003/11/25]
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■[2003/11/18]
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■[2003/11/11]
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■[2003/10/28]
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■[2003/10/14]
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