大学におけるMOT教育の先駆的な試みである東工大プロジェクト・マネージングコースは、10月4日(土)からいよいよ後期の授業が始まります。事前準備もかね、9月27〜28日に湘南葉山で合宿を行います。この合宿には、学生7人と客員教授5人のほかに、社会人による「応援団」のメンバーを入れて21人が参加します。
合宿ではまず、学生の状況をよりよく知るために、専攻の技術研究に関する内容の詳細を発表してもらいます。そのあとはディベートのセッションです。テーマは、米国大手電機事業のG社が対日戦略の本格的な展開のために日本の財閥系総合機械メーカーを買収すべきかどうか、です。学生たちはG社の取締役会のメンバーになったつもりで、この提案についての是非を議論します。
その後の特別講演は、フィデリティ投信の蔵元康雄氏にお願いしています。蔵元氏は日本株の投資アナリストとして30年以上の経験を持ち、現在は日本証券アナリスト協会の理事も勤めていらっしゃいます。大ベテランの企業の目利きとしての長年の経験から興味深い話がいろいろ聞けると思いますが、特に有望企業の発掘の歴史をうかがうのは楽しみです。
蔵元氏は京セラやセコムなどを株式未公開会社のころから注目して調査し、投資の推薦もされています。なぜこれらの企業に着目したのか、経営者や商品・技術、ビジネス・モデルなどのどこをどう評価して取り上げたかなど、大変興味あるテーマです。学生たちは前期の「実践事業戦略」のコースで、起業と成長プロセスを学ぶ対象企業として京セラを取り上げていますので、今回のお話に大いに興味を持つでしょう。
後期の「実践事業戦略(2)」では、技術の事業化を演習します。現在、学生たちは東工大のTLO(技術移転機関)に登録されている技術の中から事業化に有望なシーズを見つけるべく作業しています。学生のプレゼンテーションから3つの技術を選び、事業化のチームを作ります。このチームで商品化計画、市場調査、競争分析や資金繰り、設備投資、経営陣・人員・組織などの具体的なプランを描きます。
3人の学生が1つのチームを作り、それぞれに担当教官としてフィスコ社の三木社長、エンジェル・インベストメント社の田野取締役と私が当たります。また、各チームには三菱商事の若手がサポートするという贅沢な布陣です。どのような結果になるか未知の世界への冒険ですが、チャレンジすべきと思っています。
20回にわたって連載してきた「MOT事始め」は、今回が最終回です。この連載コラムに書くことは、私自身にとっても頭と心の整理になる良い機会となりました。この間に3回ほど、海外出張の飛行機の中でパソコンに文章を打ち込むという懐かしい思い出もできました。拙い文章をお読み頂いただけでなく、貴重なコメントをお寄せくださりありがとうございました。
* 本連載でご紹介している「プロジェクト・マネージングコース」のWebサイトでは、学生の受講レポートや教官との質疑応答の様子を、フォーラムで公開しています。ビジネスの最前線に触れながら、学生たちが何を考え、学んでいくかを、多くの方にご覧いただきたいと思っています。簡単なゲストメンバー登録で、どなたにもご利用いただけますので、下記サイトにぜひお立ち寄りください。
●プロジェクト・マネージングコース オフィシャルサイト
(門多 丈=三菱商事・金融事業本部長〔東京工業大学・客員教授〕)