「能力評価」を反映しない成果主義は不満高める

2005/03/17

組織・人事コンサルティングのクレイア・コンサルティング(本社:東京都港区)は2005年3月7日、大卒会社員を対象に実施した成果主義に関する意識調査の結果を発表した。成果主義においては、能力評価と連動することによって「処遇への不満」を抱く社員が少なくなること、反対に、短期的な結果に偏った成果主義では「処遇への不満」が増加することが分かったという。
調査は、3大都市圏の大卒社員1000人(男性91%、女性9%)を対象に実施。評価と処遇が上下に大きく変動する人事制度を「成果主義」と定義し、能力評価も処遇に反映する「能力反映型」成果主義型と、短期的な結果評価を中心に処遇を上下させる「短期結果型」成果主義型に企業を分けた。そのうえで、それぞれの社員が人事処遇にどの程度不満を感じているかを分析した。
それによると、「能力反映型」企業では、不満を持つ社員が30%前後と少なかった。いっぽう「短期結果型」企業では、不満を持つ社員が50〜60%と非常に多く、「不満なし」の4倍に達した。旧来型の年功主義の企業と比べた場合の給与・賞与への不満者の比率は、「能力反映型」企業では半分以下、「短期結果型」企業は20〜25%も高かった。
また、部下に対してキャリアアップの支援などを行う上司がいるとした回答は、「短期結果型」企業では20%程度だったが、「能力反映型」企業では50%程度に達し、上司が部下育成や能力開発を積極的に行っていることがうかがわれた。部下を育成する上司が居るとの回答は、年功序列型企業でも「能力反映型」成果主義の企業と同程度。「能力重視」と「格差がつく成果主義」を組み合わせることで、上司は部下育成に真剣になると考えられる。
このほか、成果主義企業では、「社内で勝ち組と負け組が明確に選別されている」と感じている社員は40%を超え、年功主義企業(12%)を大きく上回った。さらに、全体の25%が「勝ち組」意識を持っているのに対し、10%弱が「負け組」意識を持っていた。
クレイアによると、「勝ち組」は今後のキャリアパスや身につけるべき能力を明確に認識しているが、「負け組」は今後のキャリアパスが不透明で、自らに必要な能力も把握できいていない点が大きく異なるという。
同社は「成果主義によって社員のやる気を引き出すためには能力評価や人材育成のような長期的視点が不可欠であり、種まき(育成)することをせずに果実(成果)だけを刈り取ろうとするタイプの成果主義は、大幅なモチベーションダウンを引き起こすことが明らかになった」としている。詳細レポートは無料で配布する。
(遠藤 剛=Infostand)
=読者からのコメント=

■今までの経験から言うと、年功序列を守りたいのに成果主義を導入した企業は、能力がある人には難しくて成果が上がりにくい仕事を与え、能力のない人には簡単で成果の上がる仕事を与えているところがありました。これでは、成果主義を導入した意味がありません。
解決策としては、能力のある人に成果を上げさせることができなかったら、上司の仕事の配分の仕方に問題があるとして、上司の評価を下げればよいと思う。これは、社員対外注の関係でも同じでしょう。外注には成果の上がりにくい仕事が回されることが多いようです。
(おぼち:40歳:システムエンジニア)
■「能力がある人には難しくて成果が上がりにくい仕事を与え、能力のない人には簡単で成果の上がる仕事を与えているところがありました」。ここまでひどいことはないにせよ、上司が仕事の難易度を評価できないがために、不公平が生じているのは否めません。
ソフトウエア開発の現場で上司が満足にソースコードも読めない人だと、現在が完成間近なのか、それとも既に破綻しているのかさえも把握できません。ひどい場合には、そのプロジェクトに入った時点で既に末期症状が出ており、失敗がほぼ確定している場合さえあります。その後に、その人の活躍で奇跡的な立て直しに成功したとしても、上司がそれを奇跡だと理解しなければ評価しないでしょう。そして同じ失敗が二度三度と繰り返されるのです。
成果主義を導入するのであれば、最低でも評価される側に仕事を選ぶ権利を与える。そして、評価を下す側である上司自身を評価し、上司としてふさわしい能力を持たない人間を排除する仕組みが必要です。
また、ソフトウエア開発における「高い能力」は、失敗とそれに伴う多額の損失を未然に防ぐことにあります。しかし、未然に防いだとしても、それは売り上げとして一切計上されず、「直接的な売り上げは出ていないから給与には反映しないよ」と言われれば、高い能力を持つ人は丸損です。
高い技術で失敗を防ぐ有能な技術者より、低い技術でストレートに失敗して多くの残業手当をもらう無能な技術者の方が頑張っているように思われ、手取りも多くなるという現状は明らかに間違っています。
(匿名:SI)
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