今回のテーマは、コメントが少ないまま終わりそうな気配ですね。納得感がないというより、議論しにくいテーマだったということかもしれません。来週、11月30日は第5週のため、休載にします。
商社/流通業界
商社や流通といった業界は、自分たちではモノをつくらず、モノや情報を動かすことで収益を上げる業態です。こういった業態の方から「うちはメーカーさんと違って、やれることが限られている。オフィスの省エネやゴミの分別以上にはなかなかできることがない」という話をよく聞きます。
しかし、流通や商社にもできることはまだまだあります。簡単に言えば、「環境によい製品やサービスを積極的に取り扱い、その分野の売り上げシェアを増やす」ということです。
流通、特にスーパーマーケットでは既に動きが始まっていて、ここ数年、その動きがより顕著になっています。例えば西友では、石けんなど、環境負荷の低い生活雑貨のプライベートブランド商品「環境優選」を展開していました。最近では目新しさがなくなり、売れ行きの伸びが鈍っていたのですが、商品の環境的なメリットをより分かりやすくPOPで表示するといった活性化策をとったところ、再び伸びに転じました。
次々と新商品を出したり、新ブランドを展開するなどの努力をしなければ、短期間で陳腐化してしまうのが今の時代です。環境商品も、より環境によいモノ、より詳しい説明など、てこ入れを続けなければ、売り上げが落ちていくのは当然です。
環境商品であっても、投入しておしまいではなく、他の商品と同じように、売るための努力を続ける必要があります。流通業の持つノウハウを駆使して、消費者にアピールしていくことが重要です。またそれを続ければ、環境商品のマーケットをもっと拡大することができます。
商社も同様です。商材に環境によいモノをそろえ、他の商品と同じように、選択肢の一つとしてきちんと顧客に対する説明を行うことで、今以上に環境製品やサービスが売れる可能性はあるでしょう。顧客の中には「環境によいモノを選びたい。しかし、何がいいのか分からない」という声があるのも事実で、そういうニーズを確実に拾い上げる機会を積極的につくるべきです。
不動産/住宅業界
不動産や住宅業界は、これから環境への貢献が大きな競争力になるでしょう。
セキスイハイムが「光熱費ゼロ住宅」という広告を展開しています。ミサワホームもずっと早くから類似のコンセプトの商品を展開していて、省エネ性能と太陽光発電、オール電化機器の組み合わせで、エネルギーコストが小さい≒CO2発生が少ない住宅を提供しています。
この連載でも触れてきた通り、住宅の省エネ性能を上げる余地はまだまだ大きいので、ハウスメーカーだけでなく、マンション、設計事務所、工務店なども積極的に取り組んでいきたいところです。
特に影響力の大きな、大手ハウスメーカー、マンションデベロッパーの果たす役割は大きく、「省エネ」や「低光熱費」といった環境性能をアピールするだけでも、マーケットにインパクトを与えることができ、中小の同業者が積極的に取り組む状況をつくり出すことができます。
今後は、供給エネルギーを太陽光だけでなく、バイオマスの木質ペレットやバイオガス、風力などで発電したエネルギーに広げるなど、より多様なアプローチが求められます。
その一方で、建材にも注目する必要があります。住宅業界は大量に木材を消費します。その木材の供給元によっては、シベリアのタイガを破壊してしまうといった問題を内包している可能性があります。国内の林業が産出した再生可能な木材や、集成材を積極的に採用して、伐採した木を徹底的に使い切るようにする(需要側でプルする)ことも有効です。
これらを積極的に行うことで、価格は高くなるでしょうが、付加価値を持った商品づくりにつながります。「高いモノ」=「売れない」という短絡的な思考を捨てて、「どんな環境メッセージなら、消費者は歓迎するのか?」という発想が必要です。
マスメディア/出版/コンテンツビジネス
メディアやコンテンツビジネスでも、同じように、まだまだできることがあります。
この連載も、日経BP社の考えのもと、環境に関する情報を発信して、読者に受け入れられています。「日経エコロジー」という雑誌を収益の出る雑誌に育てたことも大きな貢献と言えます。
紙を使う業界でもあるので、使用する紙を削減する、再生紙と大豆系インク(有害化学物質を含まないインク)を使う、といったことが有効です。単行本業界では、まだまだ再生紙の利用が少ない状態です。これは編集者に、「再生紙を使うことで自分も環境に貢献できる」という理解がないことが大きな原因です。実際、価格面でも性能面でも、再生紙や大豆系インクは十分競争力があるので、使う意志とちょっとした工夫で、再生紙の需要を伸ばすことが可能です。
もちろん、再生紙を使うより、紙自体を使わない方がさらによいわけです。この連載のようにインターネットによる情報提供の方が、コスト面でも省資源の面でも、合理的です。
紙より、パソコンの方が資源もエネルギーも必要だという意見もあります。しかし、パソコンはすでに仕事や生活のために多くの仕事をしているので、情報インフラとしてフルに使い切る方が、結局は省資源になると考えられます。
アート業界
最後に、絵画や彫刻、演劇、音楽などアート業界やアーティストにも、同じようにやるべきことがあります。
代表的な例が、熱帯雨林保護のメッセージを発信しているロック歌手スティングです。政治的なメッセージによってファンを選別することをよしとしないアーティストも少なくありません。しかし、成功し、ファンの心をつかんだアーティストであれば、合理性のある環境メッセージを発信することはリスクになりにくいでしょう。
また、スティングほど明確な行動を取らなくても、音楽会社などのプロデュース企業は、環境保護のチャリティ事業を積極的に展開することで環境経営を実現できると思います。
前回、今回と見てきたように、各業界で、「フェーズ2」としてできることはまだまだたくさんあります。というより、フェーズ2はまだ手つかずの状態です。あなたの会社では、どんなことができるか、ぜひ考えてみてください。「何をしたらいいか分からない」という場合は、ご相談いただければ(その旨、メールをいただければOK)、一緒に考えていきたいと思っています。
さて今週は、先週に引き続き、業界別の「フェーズ2」のヒントをお送りします。
(渡辺 パコ=知恵市場)
■冒頭の書き出し、「商社や流通といった業界は、自分たちではモノをつくらず、モノや情報を動かすことで収益を上げる業態です」を見て、筆者の取材不足と思い込みのような内容を把握してしまいました。
「商社や流通」と一括りにしてしまう表現は今や勉強不足を物語るのみです。
「ユニクロ」のビジネスモデルをどうとらえられていますか?
「総合商社」に分類される大手商社が、製品、原料の生産にどのように深く関与しているか?
今回の記事で、渡辺さんの不勉強と無知をさらけだしてしまったように思います。
(田舎のプレスリー:--:投資事業会社)
■「ユニクロ」や「総合商社」が狭義の流通業の枠に留まらない活動をしていることは事実でしょう。しかし、そういった先進的な企業が存在するからと言って、「お前は不勉強だ」とあげつらうことに何の意味があるのでしょうか? 私には単なる揚げ足取りにしか思えません。
一部にそういった例外はあるにせよ、多くの商社や流通業が「狭義の流通業」の枠を脱していないのは事実ではないでしょうか。少なくとも本コラムの命題に関連する部分においては「うちはメーカーさんと違って、やれることが限られている」という認識の企業が多いわけですよね。
「でもやれることはあるんだ」というのが著者の渡辺さんの主張であり、その実例として西友を挙げられているわけです。実例紹介では登場していませんが、ユニクロや総合商社も同様に評価してよいと考えます。
渡辺さんは不勉強どころか、そういったことを理解なさった上で今回のコラムを書かれていると感じました。
一体どこをどう読んだら「無知をさらけ出してしまった」と読めるのか、田舎のプレスリーさんの読解力は、私の理解の外にあるようです。
(ZED:35歳:電子機器製造)
=筆者から=
この記事は、ある程度、業界を類型化して書いたものですから、「勉強不足」と思われた部分もあるかもしれませんね。商社や流通のビジネスモデルが多様化していることはよく知っています(知らなければ、ビジネススクールで講師を続けることなどできません)。
一方で、商社や流通業界の環境担当の方の口から「うちはものをつくらないので、環境問題でできることは少ない」という言葉を聞くことが珍しくありません。「環境問題」というくくりになったとたんに、自らのビジネスの本質に目を向けなくなってしまう事情があるのかもしれません。
(paco)