強力なリーダーシップで、リコーを環境経営のトップ企業に育て上げた。あるとき、省エネや省資源活動は生産性向上の活動と同じと気づき自信を持った。(聞き手/斎藤正一・本誌副編集長 写真/尾関裕士)
――環境活動を現場に根づかせたいと思っても、多くの企業は掛け声倒れに終わっています。リコーが「環境経営」を定着させた秘けつは何ですか。
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| 桜井正光氏/リコー社長 |
桜井 環境経営は、環境保全と経済的な価値の増大を両立させることです。これを徹底してやらなければまずいんだ、という背景を全社員に理解してもらうことが第1。次に、やればできることを分かってもらうために、小さなことでもよいから実績を出す。理念だけの話ではないことを実感させるんです。
3番目には、それを実現していく計画と管理、推進、評価というPDCAサイクルをきちっと回していく。こんなこと聞かれたことがないから、今、ちょっと頭にあるものを出したけれども、実にこの三つだと思うね。
――多くの企業の皆さんは、いきなりリコーのレベルの活動をするのは難しいと思います。まず、何を心がけるべきでしょう。
桜井 環境経営に行く前の段階として、当社でも環境保全のステップを設けています。我々の現在の環境への取り組みも、環境保全と環境経営のレベルにあるものが項目ごとに並存している状態です。環境保全の段階の狙いは、我々は地球の住民であることを社員に理解してもらうことです。地球が傷めば、大変な被害者になる。だから、責任をもって地球を保全する必要があるんだと。原点にさかのぼって訴えるわけです。
この段階で特に大切なのは、全員参加の活動にすることです。他の企業で案外やっていないのは、日常活動に環境活動を落とし込むことですね。
――確かに今回の取材で訪れた工場や販売会社は、どこでもゴミの分別などをしっかりとやっていました。
桜井 ゴミの分別活動のほかにも、例えば事務部門では、伝票の間に黄色い紙が入っていて、その黄色の紙のところまできたら、黄色の紙を総務に持っていって新しい伝票を発注するとか、日常、すごく細かいことをしている。だけど、これが癖になると、だれも面倒臭いと思わないんだね。
(日経エコロジー4月号に全文が掲載されています)
【略歴】
桜井正光(さくらい・まさみつ)/1942年東京都生まれの63歳。早稲田大学第一理工学部を卒業後、同年、リコーに入社。92年取締役、94年常務を経て、96年に社長に就任。リコーヨーロッパ社長を務めるなどし、環境問題への関心が高い。