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しかしここに新たな不安材料が出てくると言えるだろう。Appleのパソコン製品がシェアを伸ばすこと自体は好感すべきことだが、付加価値が高く、高収益を稼ぎ出せる従来のビジネスモデルに何らかの影響を及ぼすのではという懸念だ。Appleの新戦略は利益率の大幅な低下につながるのではないか──。そんな懸念材料が投資家の不安を募らせている。

Appleについては、もう一つ懸念されていることがある。これはどのメディアも今必ず触れていること。Steve Jobs氏の健康状態だ。先の開発者会議に登場した同氏は、驚くほどにやせていた。同氏のがんが再発したのではないかという心配が広がっている。Appleは決算発表時に、「Steveの健康状態は個人的な問題」と回答した。これがいっそう不安を大きなものにしているというのだ。

Windows IT Pro Magazineの著名記者、Paul Thurrott氏は次のように述べている。「Jobs氏はAppleの貴重な財産。株主、ファン、アナリストが、同社の共同設立者で技術指導者の健康状態について知りたがるのは無理もない」(Windows IT Pro Magazineの記事)。筆者も同感だ。Jobs氏はAppleを象徴する人物。Appleの企業文化そのものだ。Apple製品の愛好者、開発者、そして投資家など、同社にかかわりを持つ人で、Jobs氏の健康状態を心配しない人はいないだろう。

今は不安材料に注目が集まる

Google、Microsoft、Appleと、ハイテク・セクターを代表する企業の業績と投資家の反応を見てきたが、好業績を発表したいずれの企業も、投資家を満足させられていないという現状が分かった。好調分野の躍進が大きいことが、停滞する分野をかえって目立たせ、投資家を納得させられないのだろう。特に今の景気動向を踏まえれば、わずかな不安材料が一点でもあれば、そこに注目が集まる。これら業界巨人の好調な業績結果をもってしても、まだまだ力不足といった状況だ。今後、より多くの企業が業績を回復し、いかに自信を示せるか、それが重要になってくるのだろう。ハイテク・セクター全体が復調を見るにはもう少し時間がかかるのかもしれない。

小久保 重信(こくぼ・しげのぶ)

ニューズフロント社長。1961年生まれ。翻訳者、同時通訳者を経て、1998年より日経BP社のWebサイトにてITニュースを執筆し、報道の世界へ。2000年に株式会社ニューズフロントを設立。英語力を持つIT専門記者を育成し、米国ニュースの速報業務を組織的に手がける。同社は2003年に国内ニュースの配信に進出し、現在はビジネスパーソン向けに幅広いジャンルのニュースを執筆している。http://www.newsfront.jp

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