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もう一つ大変だったのが、人それぞれの字を書くクセ。筆圧やペンの寝かせ方などが人によって全然違うんです。使う人たちの大部分が満足できるようにしなくてはいけない。これは一筋縄ではいきませんでした。特に筆圧が弱い人の場合、芯がしっかりと紙につかないので、芯がうまく上下しない。上下しないと回転しないでしょう。一時は、筆圧の強い人向けのシャープペンとして売り出したほうがいいのではないかと考えました。偏減りはどうしても筆圧が強い人におこりがちですし。

ただ、確実に市場が狭くなります。売り方も難しいですよね。いちいち説明員が筆圧を見て「お客さまには向いていないですよ」じゃダメ。シャープペンはパッと買えないと。したがって、筆圧が弱い人でも回る仕組みにする必要があったんです。

仕組みとしては、芯の上下を制御するバネの力を弱くすればいいのですが、弱くしすぎると筆圧が強い人にはフワフワした感触になって書きづらい。これは、機構的な問題というより、どんな強度のバネを採用するかといった感覚の問題。いろんな人に試してもらいながらバネの強度を決めたのですが、この力加減の調整がとにかく大変でした。試した数は数千本になると思います。

学生が画数の多い漢字をきちんと書けるように考えた

商品として満足のいくものが出来上がってからは、どういった売り方をするかで悩みました。どのユーザー層に訴求していくかを決めていくのですが、先ほども言ったように、前例がないのでここも未知数だったんです。

とりあえず、ターゲットは学生に決めました。学生は授業中にノートをとるでしょう。でも、ノートって7mm幅とか限られたケイ線の中で書かなくてはいけない。画数の多い漢字を0.5mmの芯で書く場合、線を10本引いただけで5mm。横線が10画ある漢字だと、7mm幅のケイ線には入りません。そうすると必然的に細く書けるシャープペンが好まれます。ボールペンでも、日本や中国など漢字圏は細字が好まれるといいますし、より字をたくさん書く学生なら細い字を書けるところに価値を見いだしてくれると思いました。

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