三菱鉛筆「芯が自動的にとがるシャープペン」(2) 書いた字に違いがでるという本質で勝負したかった
(聞き手:林田 孝司=フリーライター)
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自動的に芯先がとがるという新機構を備えたシャープペンシル「クルトガ」はヒットし、成功を収めた。しかし、単純に新機構があったから売れたわけではない。そこにあるのは、長い目で見た「クルトガエンジン」という芯を回転させる機構への強い思い。メカニズムのおもしろさだけでは売りたくない──。これからのスタンダートとして、正統派のシャープペンに育てるための戦略をとった成果だった。
筆圧が弱い人でも強い人でもちゃんと使えるように繰り返し試す

自動的に芯がとがるシャープペン「クルトガ」の開発を担当した、三菱鉛筆・横浜開発センター課長代理の中山 協さん
芯の動きを横の回転に変えるための歯数が20ではダメだから、もっと多くしろといっても簡単ではない。機構の大きさ自体が変わらないので、歯数を増やすということは、それだけ精密な工作が必要になります。それに、あまり歯数を増やして回転を細かくし過ぎても、芯の回るテンポが遅くなります。そうすると、結局は偏減(かたべ)りの傾向が強くなり、本末転倒になってしまう。よりよい書き味を求めて、歯数を調整したり、ちょっとしたチューニングを施したりしながらの開発でした。
歯の数が決まれば、これは売れるぞと自信をもったり、強度不足が判明すれば、商品化は無理なんじゃないかとへこんだり。一喜一憂しながらの毎日でしたね。実際に最終製品となった「クルトガ」ほど精度は良くない試作品で社内モニター調査をしたんですが、結果は散々でした。回転する機構は理解してもらったのですが、書き味に関しては「ギシギシして書きづらい」とか厳しい意見が多かったですね。
結局、開発期間を半年延長して、書きやすさをブラッシアップしました。結果的に売れたのは、書きやすさにこだわったおかげだと思います。試作段階のペコペコしたものじゃ、きっと売れなかったでしょう(笑)。
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