花王「蒸気でホットアイマスク」(2) 「社内失業」から一転、背水の陣で再び開発に挑む
(聞き手:長田 美穂=フリーライター)
これまで手がけてきたフロッピーディスク、蒸気の出るアイマスク「アイフィール」ともに、事業撤退の憂き目に遭ってきたという花王パーソナルケア研究所の鈴木敦さん。2002年には「社内失業」してしまったが、「もう一度、目を蒸気で温める商品を作りたい」と思いを募らせた。
背水の陣で鈴木さんが取り組んだのは、アイマスク用の「撚れない発熱体」の開発と、目を温めることが体によい効果をもたらすことを科学的に実証する作業だった。
以前のフロッピーディスクを担当していた技術者に協力を仰ぐ

「蒸気でホットアイマスク」の開発を担当した、花王パーソナルヘルスケア研究所・副主席研究員グループリーダーの鈴木敦さん
「めぐりズム蒸気でホットアイマスク」の発熱の原理をご説明しましょう。使い捨てカイロも同じですが、鉄粉が空気中の酸素と反応して、酸化する時の熱で体を温めるという仕組みです。鉄粉に、塩類や水を混ぜておき、酸化のスピードや温度をコントロールします。
「ホットアイマスク」で目指したのは、椅子に座ったまま使っても鉄粉が下に片寄らない、「撚れない発熱体」の開発です。
私はフロッピーディスクでの経験から、一つのアイデアを思いつきました。
フロッピーディスクの記録部分は、磁性塗料という、磁石の粉をPET(ポリエチレンテレフタレート)フィルムに塗りつけて、円盤状に打ち抜いて作ります。同じように、鉄の粉を一定の厚みで塗りつける技術があれば、「撚れない発熱体」が作れるのではないか。
こう考え、かつてフロッピーディスクでコーティングを担当していた加工・プロセス研究所の技術者グループに相談しました。すると、彼らも「それで試してみよう」と。
(全 5 ページ中 1 ページ目を表示)
あなたのご意見をコメントやトラックバックでお寄せください
この連載のバックナンバー バックナンバー一覧へ 画面先頭に戻る
- クルっと回って芯がトガる新機構を開発、成熟市場へ (2008/09/26)
- 「社内失業」から一転、背水の陣で再び開発に挑む (2008/09/12)
- たび重なる事業撤退に遭い、3度目の正直に賭ける (2008/09/05)
- 飛ぶのも大変、買うのも大変 売るのも大変なヘリコプター (2008/08/28)
- 世界最高クラスのエンジン 手にしたらフワッと浮いた (2008/08/22)

