花王「蒸気でホットアイマスク」(1) たび重なる事業撤退に遭い、3度目の正直に賭ける
(聞き手:長田 美穂=フリーライター)
花王の「めぐりズム 蒸気でホットアイマスク」が売れ行き好調だ。アイマスクに使い捨てカイロを組み込んだ、という表現がぴったりだろう。パッケージを開けると、目に当たる部分にくるまれた発熱体がおよそ40度に温まる。さらに使い捨てカイロと異なるのは、発熱体から蒸気も出るという特徴があるところ。2007年10月の発売から08年6月までの間に、180万箱(1箱は5枚入り、実勢価格498円)を販売、計画の1.3倍の売れ行きだという。
この商品の開発チーム主要メンバーの1人、パーソナルヘルスケア研究所・副主席研究員グループリーダーの鈴木敦さんは、並々ならぬ決意でこの商品に賭けていた。というのは入社以来、鈴木さんの手がけた商品は、なぜか不運にも、市場から消える運命を歩むものが相次いでいた。今度こそ、との思いの強さには、ただならぬものがあった。
粉状から薄い紙状の発熱体に変更し、耳にかける形式を採用

花王パーソナルヘルスケア研究所・副主席研究員グループリーダーの鈴木敦さん
「蒸気でホットアイマスク」は、蒸しタオルを目に当てたときの気持ちよさを、手軽に味わえるようにという発想からうまれた商品です。
現代社会における疲れ目の最大の原因は、パソコンです。職場のみならず家庭にも、パソコンは普及し、より小さな文字を凝視する携帯電話でのメールチェックも、日常動作に組み込まれる時代になりました。
だから、蒸しタオルで目を温める。
2007年10月の発売以来、計画の3割を上回る売れ行きです。実勢小売価格が498円なので1枚およそ100円。使い捨てカイロの20枚398円、498円という価格に比べれば安くはありません。
けれども、まったく他に例のない商品なので、その価値を市場で認めてもらえたのでしょう。
9月5日には、リニューアルして、アロマの香り付きのもの2種類と香りなしの計3種類に。いずれも発生する蒸気の量を従来品の3倍にしました。

「めぐりズム 蒸気でホットアイマスク」。9月にリニューアルし、アロマの香り付きなど3種類をそろえた。従来品に比べ、発生する蒸気の量が3倍になっている
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